海外で感じた本屋の可能性
海外出張の折、必ず立ち寄るのがスーパーマーケットと本屋である。
前者は生活の姿を感じるためであり、後者は情報のキャッチアップのためである。初めてロンドンの書店に行った際、床に座って本を読みふける学生風の姿を見て驚いたのを覚えている。これはもう20年以上前なので写真も無いのだが、その後、ロンドンの美術館でも座り込んで模写をする美大生風の人を見かけ、これはよくある光景なのだと理解した。
本屋に話を戻すと、私は本屋というのは本を探し、そして「買う」場所だと思っていた。だから、売り物の本を読み耽る、長居する気満々の姿を見て驚いたのだった。
だが、昨今では、本屋に椅子が設置されていたり、カフェが併設されていたりするケースも少なくない。私がロンドンで最も馴染んでいる、UCLのそばにある本屋にも、カフェがついている。
日本でも蔦屋書店にはスターバックスがついているし、新宿小田急デパートの上にある本屋には本を買う前に持ち込めるサービスがある。
これだけならよくあることなのだが、どうも日本と海外では法律の違いがあるらしく、ロンドンの本屋では中古の本も新品と一緒に扱っているのだ。
これは面白くて、同じ本が、新品と中古であったなんてこともある。
また、コペンハーゲンの本屋では、トークイベントを行っていたのだが、予約制ではなく当日集まった人が参加できる仕組みになっていた。日本だったら、だいたい事前申し込み制だろう。(※このことに関しては以前別の記事で触れた。)
コペンハーゲンの本屋の風景は以下のようなものである。
また、イタリアでは中古の本のみを扱う本屋、Librolandia (Via Berto Barbarani, 28, 37123 Verona)にも入ったことがある。ここはヴェローナにあり、中古の本やCDなどを扱う会員制の古本屋となっている。会員になると、様々な文化活動(ヨガ、詩、言語学習、瞑想など)の紹介も受けられ、参加することができるようだ(店に入りたかったので、会員になったのだが、コロナで再訪できず残念だ)。
本屋にもいろいろなタイプがある。
本屋がコミュニティとして機能している事例は非常に興味深かった。本はAmazonで配達してもらったり、Kindleで電子で買ったりも多くなっている昨今の私であるが、たまには書店にも足を運びたい。その余裕を持っていたいと思うとともに、海外の書店は何故魅力的に映るのか、それは単に新規性だけではないようにも感じ、居心地の良さのようなものを追求した書店が出来たら良いなあと考えた。
既にあったら、他の面白い本屋も知りたいと思っている。