森玲奈

帝京大学共通教育センター准教授。早稲田大学システム競争力研究所客員上級研究員(研究院客…

森玲奈

帝京大学共通教育センター准教授。早稲田大学システム競争力研究所客員上級研究員(研究院客員教授)。専門は教育学、生涯学習、成人教育。学び続ける人とそれを包み込む社会に関心を持ち、研究と実践を続けている。HP➡https://harinezuminomori.net/

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プロフィール

森玲奈(もり・れいな) 帝京大学共通教育センター准教授。早稲田大学システム競争力研究所客員上級研究員(研究院客員教授)。 個人HP: はりねずみの道具箱(contactからご連絡いただけます) 博士(学際情報学)。 東京大学大学院学際情報学府博士課程満期退学。東京大学大学院情報学環特任助教、帝京大学高等教育開発センター講師、帝京大学学修・研究支援センター講師、准教授を経て2020年より現職。1977年12月東京都杉並区生まれ。 専門は教育学、生涯学習。学び続ける人とそ

    • オランダで終の住処を創る

      2012年11月に、私はオランダのアムストゥルーフェンという日本人街で行われたワークショップを見学した。名付けるならば<終の住処>について考えるワークショップとでも言えるだろう。吉良森子さんというオランダ在住の建築家の方にご紹介いただいた。   オランダに定住している日本人の中にも高齢者世代が出てきて、それは国内全土に広がっている。高齢になると日本語を話したいとか日本食を食べたいというのが出てくるのだそうだ。このような課題に対して、前述のワークショップを見学した2012年から

      • 「地域の物語を演劇にする2021」

        私は2021年春、科研費基盤Cという研究費に代表者として採択されました。タイトルは「大学生と高齢者が共に学ぶ学習プログラムの開発と評価」です。本研究では演劇を通じて、大学生と高齢者が交流し学ぶ活動を提案するというものです。演劇百貨店の柏木陽さんと協同しながら研究を進めています。2021年度から3年間の予定ですが、コロナ禍もあり期間を延長できないかなあと今は考えているところです。 この活動の下地になっている活動は2017年から毎年続けてきた「地域の物語を演劇にする」という実践

        • リヴァプール中央図書館

          ロンドンから北上して2時間程行くと、ビートルズ縁の地、リヴァプールがあります。海に面していてリゾート感がありますが、海商都市として栄えてきた背景を持ちます。2016年の夏に、マンチェスターからバスで日帰りしたのですが、Tateリヴァプールなどの美術館や博物館、科学館、とにかくミュージアムが多いので回りきれなかったです。 中でも特に印象的だったのは中央図書館でした。外装とのギャップがすごいです。 1875年に建てられた英国のネオクラシック様式の図書館です。ヨーロッパには壮麗

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        • 『Study部』共同運営マガジン
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          私の過去の取り組み:スマホを使った健康学習ワークショップ「すまけん」

          シニアは健康学習に関する意識が大変高い一方で、スマホの活用に関しては課題が多いことが指摘されています。スマホを持っていても、メディア・リテラシー学習の機会が学齢期になかった高齢者にとっては、情報の精査は困難です。 そこで、私は、 孫大輔氏、渡辺雄貴氏 、北村智氏、堀里子氏 と一緒に、「すまけん」というワークショップを開発しました。 健康情報について普段どう調べているかを共有した後、実際にスマホを使って情報検索します。さらに、専門家(医師・薬剤師)監修の資料を使ってのレクチ

          私の過去の取り組み:スマホを使った健康学習ワークショップ「すまけん」

          イタリアのレッジョ・チルドレン訪問

          イタリアのレッジョ・エミリア市にあるレッジョチルドレンという幼稚園は、世界的に有名で日本からも多くの研修者を受け容れている。 近年、世界最高水準の教育実践として注目を集めているレッジョ・アプローチの起源は、第二次世界大戦直後の北イタリア、レッジョ・エミリアで、村の人々が戦車や軍用トラックを売り払い、手づくりで始めた「自分たちの学校」でした。 そこに、ローリス・マラグッツイ(1920-1994)という素晴らしい教育者が加わり、独自の方向性とインスピレーションを与え開花していき

          イタリアのレッジョ・チルドレン訪問

          「アートベース百島」への訪問

          研究会で出張があった帰りに、リノベーションの事例として「アートベース百島」に立ち寄りました。私は、空き家のリノベーションに関心があります。今実践で関わっている東京の百草団地も、ショッピングセンターに空きが目立つようになってきているので、何かできないかとアイディアを練っていたころ、2017年5月のことです。ここは、観覧するためには事前予約が必要になっています。 アートベース百島とは、閉校になった尾道市百島の旧中学校舎を再活用し、アーティスト柳幸典と恊働者達による創作活動を通し

          「アートベース百島」への訪問

          チェスター大学訪問とワークショップの企画とコロナ

          チェスター大学には2度訪問している。実は、マンチェスター・カメラータでマネージメントをしていたNickが、チェスター大学のThe Philip Barker Centre for Creative Learningというところに転職したので、そこでの授業を見に行ったりするようになったからだった。 下記がNickである。 ワークショップはこの大学でもよく行われているらしい。2017年訪問時は、街の安全に関するワークショップを中学生に向けて実施するため、プレ実践を行っていると

          チェスター大学訪問とワークショップの企画とコロナ

          私が最も美しいと思った美術館:デンマークのルイジアナ美術館

          「ルイジアナ美術館は世界一美しい美術館」という記事をいくつか読んでいたが、私も本当にそう思った。コペンハーゲンから30分ほど郊外に向って電車に乗るとあるのが、ルイジアナ美術館である。少し不安になるくらい、駅からまっすぐ小径を歩く。途中にはお店等がなくなるので、結構心配だったが地図通りに。 私が訪問した2015年11月は、草間彌生の展覧会をやっていた。古い邸宅と草間彌生の奇抜なアートがここまでマッチするとは思わなかった。海が一望できる高台に立った大きな邸宅がそのまま美術館にな

          私が最も美しいと思った美術館:デンマークのルイジアナ美術館

          私の過去の取り組み:ライフシンキングワークショップ「ココロミ」

          なぜライフシンキングなのか 「人生100年時代」というフレーズを耳にされたことも多いかと思う。元は2016年英国で刊行され邦訳されたベストセラー、組織理論家リンダ・グラットン著『ライフシフト』という書籍の中で語られたことに端を発する。その後直ぐに、日本政府が「人生100年時代構想」と銘打ったことで、このフレーズは日本社会に鮮烈なインパクトを残した。 原点であるリンダ・グラットンは今後世界的に長寿化によって100歳まで生きることは珍しくなくなり、これまでの人生設計のモデルとは

          私の過去の取り組み:ライフシンキングワークショップ「ココロミ」

          「〈ラーニングフルエイジング〉プロジェクト」(帝京大着任してすぐ編)

          「ラーニングフルエイジング」とは、私の造語で、学ぶあふれる人と社会を目指した言葉である。私が2014年に帝京大学へ移籍したことを期に、研究のフィールドを帝京大学の近隣である百草団地に移した。百草団地は帝京大学とほぼ隣接する地域にあり、他の団地と同様に高齢化が進んでいる。 帝京大学の面接を受けに行った際、大学構内行きのバスに乗っている高齢の方の多さが気になった。 そこで、就職してからは、まずは授業の形をとって、アプローチを重ねた。「人間学基礎セミナーⅡ」という授業で、近隣の

          「〈ラーニングフルエイジング〉プロジェクト」(帝京大着任してすぐ編)

          「〈ラーニングフルエイジング〉プロジェクト」について(東大編)

          ワークショップ研究を10年続けたあと、私は博士論文提出を期に、2013年からシニアの学習に関する研究に大きく舵を切った。きっかけは、ワークショップ実践者の熟達過程(成長)を追って行く中で、人の長期に渡る学び、あるいは如何に人は輝き続けるのか、学び続けていけるのかに興味が変わっていったからだと思う。 40代を前にして、自分にとっても切実なテーマになってきていたからだと思う。40代になって同じ働き方はできない。そうだとするならば、私自身にどんな成長の仕方がありうるのだろうか。

          「〈ラーニングフルエイジング〉プロジェクト」について(東大編)

          カリフォルニア工科大学訪問と大学のコモンスペース

          カリフォルニア工科大学に当時お勤めだった南崎梓さんを訪ねてロサンゼルスにでかけたのが2017年8月のことである。 キャンパスを訪問して目についたのが、通路にある椅子・机の多さだった。 通路ですれ違った人が話し合える環境ができているなあと思った。 私は東京大学情報学環・福武ホールが出来たとき、学環コモンズのデザインに関わった(今はリニューアルされている)。以来、出張に行くと大学のコモンスペースを見せていただいている。 コモンズというほど大掛かりなものでなくても、椅子と机

          カリフォルニア工科大学訪問と大学のコモンスペース

          釜ヶ崎ココルームでの「けんきゅうのつくりかた」ワークショップ

          2017年に大阪の釜ヶ崎というところにある「NPO法人こえとことばとこころの部屋:ココルーム」で、「けんきゅうのつくりかた」というワークショップを行いました。 ココルームというのは大阪の釜ヶ崎というところにあるユニークなゲストハウスです。釜ヶ崎というのは、いわゆるドヤ街と言われているエリアで、私は大学院に入る前、似たような地域である横浜の寿町にある保育所でワークショップをしたことがあります。そういうこともあって、ココルームの存在を知ったとき、非常に親近感を持ち、関西出張があ

          釜ヶ崎ココルームでの「けんきゅうのつくりかた」ワークショップ

          ユタ州にあるブリガム・ヤング大学での研修

          帝京大学高等教育開発センターとブリガム・ヤング大学が協働で開催したInternational Educational Consultant 養成研修を受けに、2017年8月、アメリカのユタ州まで行きました。 ユタは山が多く、涼しかったです。研修は、基本的には、いわゆるファカルティ・ディベロップメント(FD)研修で、特別なことはなかったのですが、終わったあとに毎回聞かれる、宗教をどう大学で学ばせるかという議論が答えるのに難しかったことを覚えています。 ユタ州といえば、モルモ

          ユタ州にあるブリガム・ヤング大学での研修

          イタリアの成人教育機関「CPIA」訪問(2019年)

          2018年視察の続きです。 イタリアはEUの中でも移民の多い国で、特に南部には沢山の人がアプローチしてくる。中にはイタリア語がわからない者も多く、その人達は就労に苦労することになる。そこでイタリアはほぼ国費(教科書代だけ受講生が負担)で、義務教育(高校生程度)までの成人教育を、それを受けられてこなかった人々に提供している。 CPIAは、教育・大学・研究省によって設立された州立学校である。この学校は、イタリア人および外国人市民に成人教育サービスおよび活動を提供しており、すべ

          イタリアの成人教育機関「CPIA」訪問(2019年)