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【連載】120名以上のエンジニアのサポート経験が事業のアイディアへ。僕がエンジニア社長として事業創りに至るまで

いつも HarborS note をご覧いただきありがとうございます。今回は【連載】HarborS Pickup 第三弾 公開のお知らせです。

HarborS Pickupでは、エンジニアの人生にスポットライトをあてて、その方の多様なキャリアやライフスタイルをご紹介
しています。

HarborS Pickupを通して、読者の皆さまと “ロールモデルになるエンジニア” との出会いを願いつつソフトウェアエンジニアの輝く未来を創っていきたいという想いを込めて企画しています。ぜひ、ご一読くださいませ。

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◆ HarborS Pickup vol.3 GUEST ◆
inti株式会社 
代表取締役 兼 iOSエンジニア
山田 卓さん
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挫折率9割と言われるプログラミング学習。働きながら”独学”でiOSエンジニアになった山田さんのこれまで


ーー山田さん、本日はよろしくお願いします!早速ですが、これまでのご経歴についてお聞かせください

山田さん:僕は地方の理系大学を卒業後、新卒でEC系の企業へ入社しました。理系出身でしたが、就職活動の時にコミュニケーション能力を評価され法人営業からキャリアをスタートしました。当時、営業の仕事はそれなりに楽しかったのですが、僕のデスクの隣にSaaS開発のエンジニアチームがいていつも盛り上がっているんです。会社自体としては、ビジネス系の職種や営業メンバーが多い会社でしたが、システムを開発するエンジニアチームが輝いて見えて「自分もエンジニアになりたい」と憧れを持ち始めた社会人1年目でした。

ーー 営業さんが多い会社でエンジニアチームが盛り上がっているのは珍しい印象を受けました

山田さん:そうですね。正直、僕も驚きました。すぐ隣から見ていて「システム開発って楽しそうだな」「色んな人に使ってもらえるサービスを作るってかっこいいな」と、エンジニアという仕事への興味関心は次第に強くなりましたね。僕は、昔からやりたいことには積極的に挑戦をする性格なので、実は、会社に営業から開発に異動させて欲しいと上司に打診をして転部届を出したんですよ(笑)。

ーー え!? いきなり転部届ですか!?

山田さん:まぁ、案の定受け入れてもらえず(笑)。僕は、暫くしてから転職を決意しました。ご縁もあって、当時はまだ15名ほどしか社員がいなかったReproへ「CS(※1)エンジニア」として参画させていただきました。
Reproは、モバイルアプリのマーケティングプラットフォームを提供している会社です。CSエンジニアという仕事は、端的に言うと、CSに技術的要素を掛け合わせたポジションです。
顧客の質問にアンサリングするだけではなく、スムーズなサービス導入の実現、顧客が効率的にサービスを利用できるようにチャットでサポートを行ったり、顧客が抱えている不安を払拭し、課題抽出から解決に導くこともCSエンジニアのミッションでした。 (※1)Customer Supportの略


ーー 山田さんはユーザーに一番近い存在として重要な役割を担っていたのですね

山田さん:そうですね。ただ、僕自身は開発がしたくて転職したのですが、CSエンジニアはコードを書かないんですよね(笑)。ですが、開発業務自体は無いものの、SaaSのビジネスモデルやモバイルアプリなど、比較的プロダクトに近い場所で仕事をしたり、ユーザーとリアルタイムにコミュニケーションを取りながらサービス改善やユーザー体験の向上を目指していく仕事は、結果的に僕自身にとってはキャリアが前進した転職になりました。

ーー プログラミングはいつから始めたのですか?

山田さん:Reproに入社した頃ですね。主に、週末の時間を利用してプログラミングの学習を始めました。Reproがモバイルアプリのマーケティングサービスだったので、自然とSwiftの勉強から始めました。平日はCSエンジニアとしてスキルアップに励み、週末は約10時間ほどプログラミングの学習に時間を投下しました。プログラミングの学習を0から始めて、約1年が経過するタイミングで初めて自分で開発したアプリをリリースしました。


ーー 初めてリリースしたアプリは覚えていますか?

山田さん:勿論です。実は、個人で開発したアプリをリリースする前に、一度だけハッカソンで開発をしたアプリをリリースした経験があります。駆け出しのエンジニアだった頃、SPAJAM2017にエントリーをしたのですが、その大会で優秀賞をいただいたアプリをリリースしたのが初めてですね。

ーー!!駆け出しエンジニアでSPAJAMで優秀賞!?
山田さん:SPAJAMは「温泉ハッカソン」というコンセプトで、本選は温泉地で開催されるハッカソンです。エントリー後は書類選考、地方予選、全国大会本選という段階があるのですが、僕たちは全国大会本選まで勝ち残り、最終的にSPAJAM2017で優秀賞を獲得しました。

SPAJAMは、24時間以内にチームでアプリを作成してプレゼンを行うハッカソンなのですが、僕たちのチームでは“AIを使ってTwitterアカウントのツイートからその人のあだ名を自動生成する”というアプリを作ったんです(笑)。

SAPJAMの選考でプレゼンをした際に、感触が良かったサービスだったので、ハッカソンが終了したタイミングで微修正を加えてApp Storeに公開しました。現在は、App Storeで公開していないのですが、当時、iOSエンジニアとして駆け出しの頃だったので、初めてアプリのリリースまでたどり着いた時の感動はよく覚えています。


ーー iOSエンジニアとして初めての成功体験ですね

山田さん:そうですね。アプリをリリースした後、エンジニアとして実際に開発をお手伝いする機会が増えて個人活動が活発化しました。

色んな経営者の方々とお仕事をご一緒させていただく中で、様々なビジネスモデルやサービスの初期フェーズに関わりながら、開発をする楽しさや、圧倒的なスピードで技術力が向上していくことを実感したので、転職活動は行わずに個人事業主として活動していくことを選択しました。この時、初めてコミュニケーション能力の重要性や法人営業を経験していて良かったと感じましたね(笑)。


ーー 早々に実績を残して独立!プログラミングの独学は挫折する方も多いと聞きますが、山田さんはどうでしたか?

山田さん:僕も挫折しそうになりました。僕は、営業から完全独学でエンジニアに成れたのですが、正直、独学をしていた1年間は地獄のようでした。2、3日ずっとPCに向かっていてもエラー1つ解決出来ず、完全に行き詰まってしまったり、頭には自分のやりたいことがあるのに、それらをコードで実現する方法がわからずモヤモヤしてしまったりと、常にストレスフルな状態だったと思います。プログラミング学習は、精神状態的にも追い込まれるものがありましたし、そのように感じている学習者の方は多いですね。なので、プログラミング学習者にとって共に伴走してくれるメンターの存在の必要性を強く感じています。

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「自分と同じ境遇のエンジニアの力になりたい」プログラミング学習者の課題を解決し実務で活躍できるエンジニアを増やす

ーー 今後、エンジニアの学習をサポートできる"エンジニア”の存在は、重要なファクターになりそうですね
山田さん:そうですね。未経験から完全独学でプログラミング学習を始め、エンジニアとして独立した僕自身の経験が、誰かの糧となったら良いなと思い、エンジニアに特化したメンターサービスに登録しました。メンターサービスに登録後は、約2年間で120名以上のiOSエンジニアのメンタリング活動を行ってきました。

メンタリング活動では、これからエンジニアを目指す方、既にエンジニアで技術力を高めたい方、エンジニアとして独立したい方を対象にメンタリングを実施し、それぞれ異なる課題や悩み、その方のプログラミング学習のステージに合わせたサポートやアドバイスを行ってきました。学習スタイルも、その人によって全く異なると思いますので、それぞれの個性や価値観、ライフスタイルに合わせた学習計画やキャリアプランをアドバイスすることが、学習者への支援の本質だと考えています。

実際に、メンターとして支援させていただいた大半の方が、プログラミング未経験から学習をスタート、3〜5ヶ月後にはiOSエンジニアとしてアプリをリリースして就職活動を開始、企業へ転職される方もいらっしゃいます。僕自身は、1年間地獄のような学習期間を過ごしていましたが、メンターがいることで、間違えなく学習の効率化と学習期間を短縮することが出来ます。
メンターの役割は、ただプログラミングを教えるのではなく、中長期的にアドバイスや助言を行い、1to1のコミュニケーションで精神的なサポートまでを行うことだと僕は考えています。


ーー プログラミングの教育者やメンターの質が問われる時代になりそうですね

山田さん:仰る通りですね。メンタリングの活動を通して感じたことは、いかにプログラミングの学習期間が楽しいかということ、一緒に学習し支え合う仲間の存在や、同じ境遇にいるエンジニア同士のコミュニティがあるか無いかで挫折率に影響が出ると思います。また、メンタリングの質を改善させるために、試行錯誤しながらコンテンツ作りを行ってきましたが、メンターである自分自身のスキル向上も非常に重要であると気づきました。
自分の実体験とメンタリングノウハウを、より多くへのプログラミング学習者へサービス提供をするために2020年9月から本格的に事業化に向けて動き出しています。


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全てのエンジニアのキャリアを加速させる。そのためにまずは個別最適化された学びの場を提供する

ーー 現在、取り組まれている事業についてお聞かせてください
山田さん:はい。2021年4月にiOSエンジニアに特化したオンラインプログラミングスクール事業をリリースします。現在は、その準備に追われています(笑)。独学でiOSエンジニアになり、フリーランス→起業というキャリアを歩んだ僕自身の経験を生かして、プログラミング未経験からiOSエンジニアとして活躍するまでの領域をサポート対象としています。

初学者へは、個別に学習計画からキャリアプランまでのロードマップをカスタマイズして作成、動画とテキスト教材による独自の学習コンテンツの提供からコードレビューを実施します。
既にiOSエンジニアとして活動されている方へは、継続学習のサポートを行い技術力向上を支援します。また、最近は起業したいエンジニアの相談も増加していますので、将来的には独立のサポートも実施予定です。

開発経験の有無や経験年数に限らず、エンジニアの表面的な課題や悩みを解決するのではなく、原因の根本は何なのかを掘り出し解決に向けて幅広くサポートしていくことを大切にしたいです。

ーー 今後の目標や構想についてお聞かせいただけますか
山田さん:はい。現在、数多くのプログラミング学習のスクールが立ち上がっています。しかし、未経験エンジニアが職に就けず市場に溢れていたり、仮に就職が出来たとしても、技術力が上がらないことで職場環境について行けず、折角エンジニアになったけれども、エンジニアという仕事を諦めてしまう方も増えています。なぜ、このような事が起きているかについて僕なりの意見はこうです。生徒とスクールのギャップ、つまり、ほとんどのプログラミングスクールは「生徒の卒業がゴール」になっているが、生徒からすると、「プログラミングスクールの卒業がスタート」になっている事に課題と捉えています。

また、エンジニアという職業は、生涯学び続ける必要があります。正直、スクールに通っている時より企業に就職した後の方が、何倍も何十倍も学習をしなければいけません僕はプログラミングを学びたいという顧客が欲しがるサービスではなく、本当の意味で顧客のためになるサービスの提供にこだわっていきます。ぜひHarborSさんともコラボレーションしたいですね。(嬉しいお言葉ありがとうございます。ぜひ、一緒にマーケットを創っていきましょう!)


ーー 最後の質問になります。山田さんにとってプログラミングとは何ですか?

山田さん:僕にとってプログラミングとは「自分らしさを教えてくれたもの」ですね。大学を卒業後、なんとなく社会人になって働き始めた僕ですが、同じ会社のエンジニアチームに感化されてプログラミングを始めました。学習を始めた当時は、本当に辛くて、前に進めない日もありましたが、諦めず地道に継続学習を行い、エンジニアとしてフィールドに立つことが出来てからは、本当に毎日が楽しくて自分らしく生き生きと働くことができています。

また、技術を使ってアプリやサービスの改善を図ったり、ユーザーの課題を解決に導くことや、世の中の利便性を高めることは確かに出来ますが、それ以上に一緒に働く仲間やクライアントに頼ってもらえたり、感謝されたりすることが僕自身にとっては幸せに感じることなんです。これは、エンジニアになってから気づいた事ですね。これからは、エンジニアという職業に少しでも興味関心、憧れを持っている方々に「エンジニアになる」という選択肢を、もっと気軽に、ポジティブに選んで貰えるようにサポート側としての活動に専念していきたいと考えています。

ーー 山田さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。HarborSも大学生向けのプログラミングコミュニティ[POSSE]を運営していますので、ぜひinitの皆さんとどこかでご一緒させてください

という事で、次回のHarborS Pickupは [POSSE]の代表を務める現役の大学生兼ソフトウェアエンジニア 林 千翼子さんの登場です🎉


エンジニア特化型コワーキングスペースHarborS

HarborSはコミュニティづくりを支援するコワーキングスペースです。毎週土曜日にもくもく会を開催していたり、ドロップインでの利用も可能なので、会員さん以外も気軽にお立ち寄りください。



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