見出し画像

摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~254


これからどうしよう……まだまだ食べられる気もするし、まだまだ食べたいものもある気がするけれど、この後電車に乗って家へ帰ることを考えると、何だか疲れてしまった、というか面倒くさい気がした。アイスコーヒーも飲んでしまったし、とりあえずこのお店は出ることにした。

「食べることに対して『面倒くさい』なんて、今までの私からしたらあり得ないよね。何だかおかしい」

何だか今日は、自分で自分のことを『おかしい』って思うことばかり。そのことすら、何だかおかしかった。

やっぱり今日は、相当疲れていたようだった。電車に乗って、運良く空いていた席を見つけると、頭で考えるより先に身体が動いていた。座って一息ついた直後から熟睡してしまったらしく、気が付いたら乗り換える駅を3つも乗り過ごしてしまっていた。

結構大きなパフェを完食してしまって、吐かずにいることがずっと気にはなっていたけれど、今は疲れて身体が重いのと、頭がうまく働かないこともあって、とにかく一刻も早く家に帰りたかった。

「おいしいものを、おいしく食べられたのだから、今日はカロリーとか太るとか、そんなことは気にしないようにしよう」

自分に言い聞かせるように、頭の中で何度もそう繰り返した。

やっと家に辿り着いた。玄関を開けると、ムッとする熱気が全身を包み込んだ。

「うわぁ、暑い……」

とりあえずシャワーを浴びることにした。

シャワーを終えて、髪を乾かして、ベッドに寝転んでスマホをチェックしていると、また強烈な睡魔に襲われた。

「まだ寝るには早いけど、今日はもう疲れたから、このまま寝ちゃおう」

昨日は、結局パフェを吐かずに食べることが出来た。別に、始めからそうすることを決めていた訳ではなかったけれど、お腹が空いていたことと、あまりの暑さと、それに疲れていたことが重なって、結果的にはそうすることが出来た。

家に居られなくて、あてもなく電車に乗ったこと

考え事をしていたら、先生のところの最寄り駅に着いたこと

お昼の時間帯で、どこのお店にも入れなかったこと

仕方なく歩き回っていたら、木陰のある公園を見つけたこと

公園の子供たちを見て、お腹が減ったらおいしいものをたくさん食べようと思ったこと……

これらは全て、偶然の出来事だった。偶然が重なっただけだったけど、結果的にはおいしいパフェを食べることが出来たし、吐くこともしなかった。

「うまくいく時って、案外そんなものなのかもしれない」


今日もありがとうございます。

この記事が参加している募集

#習慣にしていること

130,238件

#私の作品紹介

95,380件

よろしければサポートお願いいたします。いただいたサポートは、今後、摂食障害で悩む方々のサポート活動に、大切に使わせていただきます。