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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~227


摂食障害は、食行動の異常や、体重や体型に対する極端な拘りなどを伴う精神疾患の一種、つまり病気なのですが、考え方や性格的傾向も少なからず影響を及ぼします。ですから、頭では『摂食障害を克服したい』と考えても、その克服の過程において自分自身の『考え方の特徴』や『性格的傾向』が障壁となってしまう場合があるのです。あなたも、以前に『自分自身で作り出した壁』の話をされていたことがあると思いますが、そういった『見えない壁』の存在が摂食障害の克服を難しくしたり、あるいは時間がかかったりする要因でもあると、私は考えています。

「壁……先生、摂食障害は病気との戦いではあるけれども、自分自身との戦いでもあるのですね。自分自身の中にある『壁』を越えること、言うなれば自分自身を越えること、それが出来た時に、摂食障害は克服出来るのかもしれませんね」

そうですね、そういう言い方も出来るかもしれません。おっしゃる通り『痩せること』や『食べること』に対する考え方や価値観を見直す際には、今までの自分自身の拘りや譲れない部分について、自分と向き合い、どう折り合いを付けるか、という作業が必要になってきます。そういった作業は、ある意味『自分自身を越えること』を伴うのかもしれません。いずれにしても、摂食障害の克服には『これ』といった決定的な『何か一つ』が存在する訳ではありません。自分自身の考え方や価値観、性格的傾向、あるいは生活環境や人間関係など、いろいろなことと向き合い、見つめ直す。そういった、地道な作業が必要になります。そして、自分自身とじっくりと向き合うことや、今までの自分を見つめ直す必要があるから、そしてそのことに気付く必要があるからこそ、不幸にも摂食障害になってしまった、と言えるのかもしれません。

「確かに、摂食障害になってしまったことは、私にとって不幸なことでしたが、自分自身とじっくりと向き合ったり、今までの自分を見つめ直すきっかけにはなったと思っています。もちろん、摂食障害という地獄の苦しみのような経験ではなくて、別の形でそうしたかった、とは思っていますけど」

まあ、それはそうだと思います。しかし、既に摂食障害になってしまった以上『転んでもただでは起きぬ』ではないですけど、そこに自分なりの意義を見出して、自分自身とじっくりと向き合うことや、今までの自分を見つめ直すことについて、改めて考えてみる、ということも大切なことだと思います。


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