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超短編小説 「途中」

80
140字くらいの小説が入っています。よろしくお願いします。
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#ビール

あのころ僕らは親友だった(140字小説)

あのころ僕らは親友だった(140字小説)

彼を仕事のパートナーに選んだのにはいくつか理由がある。ひとつはもちろん彼が申し分のない能力を備えていたということ。加えて、彼は小柄で(僕は大きな熊が苦手なのだ)、何より、僕も彼もビールが大好きだった。僕らは仕事が終わると毎日ビールで乾杯した。そうだ、あのころ僕らは親友だったのだ。

日曜日の朝のゆで卵(140字小説*17)

日曜日の朝のゆで卵(140字小説*17)

日曜日の朝、目を覚ました私は、缶ビールを飲みながら、ゆで卵を十個茹でているところだ。ゆで卵は二つは私、残りはチンパンジーの悟の分である。悟はゆで卵が大好きで、食べているとき、とても幸せそうな笑顔を見せる。最近は殻を割るのは悟の役目だ。卵はもうすぐ茹であがる。世界はもうすぐ終わる。
#140字小説 #掌小説 #超短編小説 #ビール #ゆで卵 #チンパンジー #世界の終わり

うっかりした(140字小説*1)

うっかりした(140字小説*1)

山菜蕎麦が運ばれてきたとき、僕はうっかりビールの入ったグラスを倒してしまった。拭いてくれたお店の人に礼を言い、山菜蕎麦を食べようとすると、「クスクス」と笑い声がした。山菜蕎麦の椎茸だ。そうか、山菜蕎麦には椎茸がついてくるのだ。椎茸が食べられないのに、僕はまたうっかりしてしまった。
#140字小説 #超短編小説 #小説 #蕎麦 #山菜蕎麦 #椎茸 #ビール