マガジンのカバー画像

出戻り小学生

51
根っからの学校嫌いが大人になって、まさかの学校で働くことに…。 現場における謎と不思議、笑いと感動に溢れた日々の記録。 今でも、戻れるのなら戻りたい…。
運営しているクリエイター

#ストレス

小学生の婚約発表

 滅多に来ないやんちゃくれの6年男子が、最近よくやって来る。こういうことは毎年あって、卒業が近付くと、何となく増えていく気がしている。
 しかし未だ卒業には早い。何となく来たい気分になったのだろうか…。
 よくわからないが、それほど読書家キャラでもないのに、一応毎回、律義に一冊は本を借り換えして行く。義務というか、癖というか、そんな感じで、どうしても本が読みたくて!とか、本を必要として…とかいう雰

もっとみる

それぞれの春 ③

 Kさんが市立図書館で勤務していることを知っている司書が他にもいたかも知れなかったが、誰も何も言わなかった。知らないと考えるほうが妥当だとも思った。新年度は始まったばかりで、相互貸出を要する機会はまだ先であるようにも思える。また、勤務時間が削減されたことで、司書自ら赴いて資料を選定する時間が、どの学校でも確保出来ないのが普通になっていた。私が気軽に来られたのは、市立図書館から一番近い場所に学校があ

もっとみる

卒業し損ね小学生 ③

 新年度初日の打ち合わせだけでなく、ありとあらゆる校内行事を放棄している。そもそも、参加したところで場違い感が半端ではないので苦にはならない。
 新学期に間に合わせるために、削減された勤務時間分の業務を穴埋めせねばならない。始業式や終業式は、司書一人が図書室に籠っていたところで、殆ど誰も気付かないような学校の規模。黙ってボイコットしたことは何度もあった。しかし入学式や卒業式は、雑務の振り分けがある

もっとみる