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出戻り小学生

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根っからの学校嫌いが大人になって、まさかの学校で働くことに…。 現場における謎と不思議、笑いと感動に溢れた日々の記録。 今でも、戻れるのなら戻りたい…。
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#時間

素敵体験、ら・ら・ら

 現在専任している大規模校は、クラス数が多いせいか、高学年に図書の時間が設定されていない。依って、余程のことがない限り、授業で学校図書館を使ってもらう機会がないのだが、この11月は、6年生のあるクラスが2度も、授業を希望してくれた。
 11月は読書月間で、準備やイベントで年間一・二を争うほど忙しい。空き時間が減るのは痛手とも言えるが、学校図書館は使ってもらってなんぼ。そもそも、読書月間であることを

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本の帯女子会

 市の財政難の煽りを受け、勤務時間と給料を減らされたことで、夏休みの図書室開放がなくなった。
 去年は開館期間中、毎日のように足を運ぶ児童もおり、今年も「イベント何するの?」と、年も明けぬ前から度々質問されていた。彼らの向上心と期待に応えたくて、色々と起案を温めつつあったのだが、明けてびっくり「ごめんなさい」である。というか、教育委員会、子どもに「ごめんなさい」してよっ!というのが本音だ。
 本の

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会議に出る ③

 今回の会議は現実として、ひとり一分と決めていても、五分、十分と間延びする議題に於て、タイマーを用いるなどの努力は見られたものの、他では明らかに、横道逸れて時間の無駄になっていると感じる場面の目白押しであった。
 無駄が多すぎる。それに時間が掛かり過ぎだ。
 市から、寄贈の本や、去年まで各校司書が単独で行っていたが、今年度は市で作成することになった増刷分の読書ノートが配布される。仕分けはこちらの作

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それぞれの春 ③

 Kさんが市立図書館で勤務していることを知っている司書が他にもいたかも知れなかったが、誰も何も言わなかった。知らないと考えるほうが妥当だとも思った。新年度は始まったばかりで、相互貸出を要する機会はまだ先であるようにも思える。また、勤務時間が削減されたことで、司書自ら赴いて資料を選定する時間が、どの学校でも確保出来ないのが普通になっていた。私が気軽に来られたのは、市立図書館から一番近い場所に学校があ

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任期満了まであと一年 ③

 次年度の任用について意向調査があったのは秋も盛りのことだった。
【任用を希望しても、同じ勤務形態で雇用されるとは限りません】というような一文が添えられていた気がして、ずっと違和感があった。【希望する】に〇をして提出したが、記入するとき、心の中では『同じ勤務形態でなければ希望しません』と思っていた。○を付ける場所が二択だけで、他に意見を記入する欄などは設けられていなかったため、氏名と○以外には何も

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