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何度でも読み返したいnote2

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。こちらの2も記事が100本集まったので、3を作りました。
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2022年3月の記事一覧

【エッセイ】人に愛される才能を持った君だから

このところリサーチに余念がない。 甥っ子2号が就職することになり、お祝いの品を探しているからだ。 今日も行きつけの美容院で聞いてみた。アシスタントの男の子は20歳で2号と歳も近い。 「うーん、スケボーがほしいっすね」 「ごめん、スケボー以外で」 スケボーを馬鹿にしてるわけじゃない。むしろめちゃくちゃカッコいいと思う。ただ甥っ子2号はとんでもなくどんくさい。小学校の運動会で大車輪のように転んだのを私は今も覚えている。 何をするのも遅かった。走れば転ぶ。ゲームをすれば負ける、も

向かいの人 観察日記(仮) ハルミさんが退職する

職場で向かいの席に座るハルミさん(もちろん仮名)は、感情表現が豊かな人だ。 わたし(石崎秋子)から見てそれはオムツのない排泄行為、「おもらし」である。 ‐ ハルミさんを観察するようで 臭いや音、表情でおもらしに気が付くと、心のおしりふきが自動反応してしまうわたしを観察する日記。 2020年8月に書き始めた「向かいの人 観察日記(仮)」 前回、続報を書いたのは 2020年10月29日。 あれから約1年半がたった今週あたま。 その知らせは突然だった。 月曜恒例のミーティング

何者かになるためじゃなく、ただ味わうために生まれてきた

とにかく、あたたかいものが好き。 春とかホットコーヒーとか猫とかお風呂とか。 許されるならずっと日向ぼっこしてたいし、 はっぴいえんどの「風をあつめて」とか聴いてたい。 心があたたかくなる瞬間も好き。 誰かと心通じ合えた瞬間とか、思わずクスッと笑ってしまう時とか お酒飲みながら語り合えた夜とか。 「こんな素敵な季節に生まれてきてくれてありがとう」 友達がずっと前に言ってくれた言葉。 なんてあたたかい言葉なんだろう。 なんだか嬉しくて、誕生日のたびに思い出すし、ずっと心

「OK」じゃない自分で「OK」なんだ。

「生きるのが本当に大変な人やよな」 これは私が何度も何度も夫に言われてきた言葉だ。 決して意地悪口調でもバカにしているのでもないが、少しの憐憫と愛しさとを込めて、あきれたように夫は言う。 私にとって人生は「非常事態」の連続だった。 いや、本当に何か大変なことが起こったわけではない。 私は日常の小さなことを「自分自身で非常事態にする」天才だった。 アメリカ人なら「オーマイガー!」を連呼するような毎日。(知らんけど) 「赤毛のアン」なら「人生でもっとも悲劇的な気分だわ」と嘆く

フェイラーの凄まじき商魂。ついてけない奴は置いてくぞ!

以前別の記事でもご紹介した、私がコレクションしているお高級ハンカチ「フェイラー」の商魂が逞しすぎる。 ※もし良かったらこっちも読んでみてね⇩ 1枚2400円プラス消費税と、ハンカチ一枚にしてはなかなかに高価格なフェイラーの中心購買層はやはりお金に余裕があるマダムたちだ。 次に、これまた豊かなご家庭で育ったお嬢様たちもいらっしゃる。 お嬢様たちは、おばあちゃまやお母さまが日常的にフェイラーを使用していることから自身も自然とフェイラーの顧客となる。 加えて最近は普通の若い女

仕事ならどんなに興味がなくても、興味のあるフリをしろ

前の会社の先輩に言われて、印象に残っている言葉。 僕は根本的に働くことが好きじゃない。 「好きじゃない」というのは≒「興味がない」とも言えると思う。 誰でも好きなものには興味があるし、興味があるものが好きなのだ。 コミュ障だけど口だけは回る不思議なタイプである僕は、興味がなく好きでもない仕事も口先でうまく誤魔化してきた。 でも、やっぱりそれはどこかで限界が来る。 前の会社では営業をやっていたけど、やっぱり顧客の情報を調べる人ほど成績が出せるのだ。 口先だけではお客様の要

パパが行くとおもしろい乳幼児健診

「乳幼児健診?いくいく!いってみたい!」 我が家には5人子どもがいますが、今まで定期健診や予防接種は奥さんに任せっきりでした。 今回がきっと最後になるだろうから、いろいろ経験してみたいと思い、先日、息子の予防接種へ行きました。 注射を何本も射たれ、ギャン泣きしたものの、思っていたよりスムーズに終えることができました。 案外いけるもんだ。 4か月の乳幼児健診も同じように甘く考えていました。 プロローグ しかし健診日直前、奥さんからその内容を聞くと 「だいたい2時間

80%の空が教えてくれたこと

今日を逃したらもうダメだ。 青空の下、洗濯物を干しながら思った。 このあと定期検診の母を病院に送り、父のお墓を掃除して、もう一度母を迎えに行く。残っているのは掃除機がけと食材の買い出し。あまり得意でない母とのおしゃべりも含めて妹に任せてもいいだろう。息子は部活があるから家に戻るのは5時過ぎ。急ぎの仕事はないし、要約筆記講座の課題は…まだ手もつけていないけれど、夜やればいい。 今日しかない。 * いろいろな事情が重なって、息子と私は今 実家で過ごしている。妹家族が同居中

窓際の後輩くんはお人好しすぎる

私がはやく職場に着いても、 もう既に一年後輩のヒロタくんは 席に座っている。 彼の席は事務室のドアを開けて真っ直ぐの 窓際にあるので、 部屋に入ると一目で 出社していることがわかる。 小柄に、おっとりした目の温顔で 小岩井のカフェオレをよく飲んでいる。 彼とは係が違うので 朝は特段会話するでもなく、 軽く挨拶を交わすくらいで私は席に着く。 静かな空間と朝の新しい空気の中だと 作業が捗る。 だから私も、早く出社するのは好きだ。 しがない経理職員の私の机には 気を抜くとすぐ

潤い

最近、怒涛。 怒涛の三月。いや、二月頃からもうその予兆はあったけれど、年度替わりの三月。三月って恐ろしい。 PTAの引き継ぎ資料作成、地区長の挨拶回りに卒園DVD制作、仕事は繁忙期。ランチが16時て。ドドド怒濤。 それらが一枚ずつ剥がれるように身軽になっていって、軽やかな四月を迎えられるようになるのだろうか、と訝しむ。あ、新入学児説明会も感染症対策で延期になってこれからなんだった。はぁ。 でも、そんな日々にも潤いはある。そしてそれは、思わぬところにある。 ――― 三男