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潤い

最近、怒涛。
怒涛の三月。いや、二月頃からもうその予兆はあったけれど、年度替わりの三月。三月って恐ろしい。
PTAの引き継ぎ資料作成、地区長の挨拶回りに卒園DVD制作、仕事は繁忙期。ランチが16時て。ドドド怒濤。

それらが一枚ずつ剥がれるように身軽になっていって、軽やかな四月を迎えられるようになるのだろうか、と訝しむ。あ、新入学児説明会も感染症対策で延期になってこれからなんだった。はぁ。

でも、そんな日々にも潤いはある。そしてそれは、思わぬところにある。

―――

三男は今三歳。春から年少さん。今年度中は先生との連絡ノートのやり取りがある。毎日食べたものや寝た時間、家での生活などを書いている。最近、先生の一言を読んで思わず涙ぐんだ。

お散歩で公園につき、走り回るお友達から離れたところで、三男がひとり地面に仰向けに寝っ転がっていたという。近づいてみると、とてもいい顔をしていたんだそうな。何を見てるのかな?と興味が湧いて、先生も三男の横に一緒に寝っ転がったんだそう。そしたら大きな木々の枝から沢山の木漏れ日がこぼれていて本当に綺麗だった、綺麗なものをみつめる心があるって素敵だなと思った、と書かれてあった。

私は本当にありがたいことだと感じた。何を考えてるのかな、何を感じているのかな、と子供の隣に寝そべって同じ景色を眺めてみようとする大人がいるということ、そんな大人に囲まれて伸び伸びと毎日過ごしているのだということ。
大地に転がって空を仰ぐふたりの顔に注ぐ木漏れ日を想像した。


また別の日は、チョコボールを牛乳に浸して食べたら美味しすぎたと興奮し、子どもたちが椅子を担いでキッチンやらリビングを駆けまわっていた。まったく馬鹿げている。ほら、行儀悪いからやめなさいと怒りつつ、幸せを感じた。なんてくだらなく、幸せなんだろう、と。

殺伐とした日々にも潤いがある。くだらない幸せも涙ぐんでしまう幸せも、同じくらい私を潤してくれる。


時間も体力も削り取られゆくような毎日にも春風はそよぎ込む。ちゃんとその匂いを感じてみようと思う。

長男の入学式では、オフホワイトのワンピースにノーカラーのジャケットだった。次男のときは、淡く揺れる小花柄のワンピースにしてみようかな、と思い立つ。クリーム色のジャケットを羽織って。淡い花びら混じる春風に吸い込まれゆくあの子を見つめて。決して枯れぬ潤いに浸って。



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昔、結婚式するならブーケはカラーを数本って素敵だなぁと思っていた。真っ白くて真っ直ぐで、凛としている。それを数本。そんな生き方がしたかったのかもしれない。

実際は、ブーケどころか、インドネシアの民族衣装で結婚した。ウェディングドレスとどっちにすると訊かれ、迷いなく民族衣装を選択。あれはあれで面白かった。


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〜 #お花の定期便 (毎週木曜更新)とは、湖嶋家に届くサブスクの花束を眺めながら、取り留めようもない独り言を垂れ流すだけのエッセイです〜

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ぇえ…! 最後まで読んでくれたんですか! あれまぁ! ありがとうございます!