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【 雑誌のお仕事 】突然だった。ひよひよライターが人生をガラリと変えた取材ネタ

レジェンドクラスの編集長(当時は副編集長、編集だった方も含む)たちとずっとお仕事できたのは僕にとって財産。本心で思う、ラッキーだった。

↑↑↑ バナーは、「おことわり」みたいなもんです。


まぁーその分、仕事の優先順位を変えられたり、構成全部をレイアウト回しでひっくり返されたり、モデル撮影をする「壁」(特に指示はなく僕のセンスが問われる作業。引きの距離、ヌケ、汚れやシミの入り方なども考慮した一軍のカベ探し!はぁ?って思うけど日常だったんです)を2日で100箇所ほどポラロイドで撮影してきたり(樹肌にこだわった50本ってときもあった笑)、レジェンドたちはプロとしての完成度へのこだわりが異常に強かったので、下準備も周りより多かった気がします。そのときですかね、心の中で「テメぇ、コロす!」と叫ぶことを覚えたのは。笑


雑誌の世界で仕事をするきっかけをくれたのは、しーーね編集長。M家(=ハウス)の三羽烏?大御所?豪腕?暴君?、、パンチ、ポパイのトップブレーンであり、スイーツ行列を社会現象化した女性誌など、多くのメジャー雑誌を生み出した人物。僕のはじめての記事はその御大が担当。オレ、relax生まれ、リラックス育ちっす。雑誌の仕事は単純に面白かったですね、毎日仕事の内容は違うし、会う人は違うし。

確か96年。当時は原稿用紙(200w)にがっちり「手書き」でやっておりました。18×2の小見出しなら区切り線を引いてさ。あ、俺は、小見出しが長いとキャプションに使う取材内容が薄くなるので、レイアウトさんに頼んでこっそり9×2を多くしてもらってた。ツルツルのプチ高級な紙質でさ、媒体によって枠の色が違っていて、枠外には雑誌ロゴ入りで。なんつーか、コレ使える自分がかっけーと思ったこともありました。笑


雑誌人生をスタートしてから約9ヶ月後かなー、豪腕な御大がまたまたぶっ放してきた。「あのねー、小泉くん、丸ごと一冊、吉田カバン(下の長い吉に変換できないので以下よしだ)やるから頼みますよ」と。んっ??別冊?ムック?臨増?、言葉の意味がわからんし!しかも編集担当は御大自らということを告げられ、僕の頭の中では、編集長会議で多忙=全部小泉やれ、という計算がたった。ひよひよでヨチヨチの新米ライターに!です。未満なライターに!です。人間のタイプなのか時代なのかわかりませんが、するっと、ぬるっと、若造に別冊をまかせる世界だったのです。御大からしてみれば、読者アンケートの内容と小泉の企画でよく出てくるよしだカバンの兆し!が合致したんでしょうね。先に書いたように周りの3人から言われたネタなのかもしれません。しかも、今まで誰も(雑誌の企画で)やってないことをやるのか自分の責務!が信条だった御大にとっては、まるごと一冊よしだカバンは、この上ない美味しい取材ネタだったのです。。

当時のよしだカバンは、、、、<素朴>と表現しておこう。


数日後、別冊をお願いするにあたりのご挨拶で浅草橋へ。それまで3回くらいリース(撮影する商品の貸し出し)で伺ったことはありましたが、はじめて応接室に通されました。そこに居たのは、当時のチーフかーーーつさん、こーーーさん、あと、はなはな。御大しーーねさんは、内容説明を小泉に任せた感でとっとと終わらせ、かーーーつさんとロンドンコレクションの話ばかり。70年代のお話。ポパイだけが取材してくれたとか、ね。僕は、当然のことながら、よしだの整理整頓。ご親族経営なわけですよ。なので、社長さんは何番目、かーーーつさんは何番目、2番目は今何している、こーーさんは何番目の何番目?そんなよしだツリーをノートにとってましたね。あと、この時間でよく覚えているは、「へぇー」を300回くらい言ったこと。20年前のロンドン取材はじめ、雑誌の話、(若手の頃の)デザイナーのつながり、など、当時のファッションシーン、カルチャーにつながるキーワードがボロボロ出てきたんで夢中にへぇー連呼してました。

まるでドラマに出てきそうな応接室でさー、灰皿は緑混じりの石、置き時計の文字盤は金。ふっかふかのレザーソファ。なんかわかるでしょ。ここにスーツじゃない5人がいる一室は違和感だらけだったのを覚えています。筆で◯侠と書かれたものが壁にあってもおかしくない。そして、(当たり前だけど)よしだカバンは企業であるってことを認識させられました、ね。

そんな華のある話はかーーーつさんを絡めたときだけで、基本的によしだカバンは、やることなすこと、ザ・下町のカバン屋さん。別冊を作るにあたり、プレスリリースが欲しかったのですが、そんなものは一切なし!そもそもメディアとのつながりも薄々だったので、広報を担当してくれているはなはな(元気にしてるかな?)の主戦場は企画デザイナーで、プレス業務はたまーにだったのです。なので、プレスリリースはじめ、シーズンコレクションの内容説明、シリーズの説明など、媒体で必要とする「まとめ」なんてあるわけない。で、一枚だけ、よしだの資料ですぅぅぅ〜と腰を低くしてA4サイズの紙を渡されたのですが、そこには、社是『 一針入魂 』が上部にどーーーん! 以下、小さなQ数で社歴が書かれているだけのものでした。

ひよひよライターは、秘技・プレスリリース丸写し!でしたので、これを見た瞬間に別冊やれるぞ!稼げるぞ!の、わくわく感はすぅーーーーとどこかに溶け込んでいきましたね。周りのライターから羨ましいみたいなことも言われましたが、目を見て、そして心の中で、テメぇ、コロす!でした。

あれ?渋谷・原宿でのファッション企画とちょっと違うぞ。


当時のよしだは企業同士のやりとり、職人さんとのやりとりが99%だったので、体質が真面目というか、17時で終わりというか、(不慣れゆえ)媒体に対して興味がないというか、プレス活動の優先順位は下の下の下だったんです。まぁ、はっきり書かせてもらうと、ファッションやオシャレとは少し距離があったかなーと思います(せっかく素朴と濁していたのに)。古くから残っているシリーズを見てもわかると思うのですが、当時ではハイスペックな機能性、機動性を意識したデザインが多いんです。ファッションとか、ライフスタイルのマーケティングというよりも、カバンは専門店が存在するカテゴリーな分、他メーカーよりいかに秀でるか、が、すべてだった気がします。簡単に言うと、コーディネイトの一部ってことをあまり意識していなかったってことですかね。

そうすると、僕ら雑誌側は、いかにオシャレ、ファッションという風味を演出するか、そして同時に、よしだの社内スタッフにおたくの商品はオシャレシーンで実は注目されていて、服好き、カルチャー好きのファンが増えはじめていることを理解してもらうか、が、この別冊を作るときに必要だなーと思ったのです。


んーーーー! もう3000文字じゃん!なんかこういうのって書きずれーぞ!
俺、昔の編集仲間にハメられたのか!この一回で「吉田カバン 全部みたい!! 大図鑑」を終わらせるつもりだったのに、まだ撮影にもたどりついておらんし。現場の話がひとつも書けておらん!

だけど、このへんで一回シメておこう。つづく。
次回はちょっと構成を作ってからのほうがいいかもなー。今までnote.を読んできた他の記事に比べて読みにくぅーし。ま、いっか。

むかーし、むかし、リラックスのモノクロ本で、クリエイターの5000文字インタビューってのがあったのですよ。そこで何度も何度も何度も書き直し指令が出され、何度も何度も何度も泣いたわけですよ。3000文字超えちゃうと、どうもアレルギーが出ちゃって、、、。



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