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読みたい本、気になる本
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記事一覧

眠れない夜に開く本

【とほん読書ノート014】 『幸福論』で有名なヒルティ(1833-1909)が、眠れない夜の時間を自らの人生を見つめ直すために活用しようではないかと書いた本です。 哲学者であり国際法の大家でもあったヒルティですが、何よりもまず敬虔なキリスト教徒でした。聖書を頻繁に引用し、信仰心に基づいた幸福を追求するための内容ではありますが、自身の経験に裏打ちされた実践的な助言も満ち溢れています。 信仰心があるからこそ本当の幸福を得ることができるというヒルティの言葉は無神論者の私にとっ

【マンガ】人生諦めたら楽になった話

こんにちは!竹内です。 会社員時代に超絶お世話になった先輩が、私の新刊を見つけて「単行本発売おめでと~」ってわざわざ連絡をくださったんですが(いい人)(ありがとうございます)は、は、は、はずかし~~~~~~!!!! いえ、それ以上に感激で嬉しくてありがとうエンジェル!!!という気持ちでいっぱいいっぱいワッショイワッショイなんですが、この、自分の描いたものを人さまに見ていただいた時の恥ずかしさは、何なんだろう…もうその人の前に全裸で立たされているような恥ずかしさといたた

【5月8日更新】2020年度春学期「アメリカン・ミュージカル表現史」リーディング・リスト

2020年度、早稲田大学では5月11日に授業開始となります。 それまでの間、自宅学習が捗るようにリーディング・リストを公開します。 この記事は、「アメリカン・ミュージカル表現史」を対象としたリーディング・リストです。 日本語文献を主とし、最後に英語でのミュージカル史および研究の入門書を書きます。 なお、「アメリカン・ミュージカル表現史」という授業の特性上、他言語・他地域のミュージカルや音楽劇についての文献は割愛させてください。 【5月8日更新】 オンラインで読めることができる

「人は記事をちゃんと読まない」からはじまる意識改革

仕事柄、日々投稿されるたくさんの記事を読みます。あたらしい視点をもらえる記事に出合えるとうれしくなる一方、もっとこうしたらいいのにな…と思ってしまうものもあります。 後者で感じるのは、書き手と読み手の「読む」に対する温度差を意識できていないことです。 基本的に、書き手は「記事を全部読んでもらえる」と思っているのに対して、読み手は「興味をひくものがあれば読む」というスタンス。興味をひかれなければ読まないと判断します。そこで大事なのが、読んでもらうための努力。それをしていない

現代アートとその周辺文化を考える

 現代アートが成立するバックグラウンドとその周辺は、不可解だが、分かりやすい世界かも知れない。 それは、現代アートの価値を論じる為には、*現代の「メディチ家」(Casa de' Medici:ルネッサンス期にイタリア・ファレンツェに於いて、その財力で芸術家を支援した)という存在のバックグラウンドで成立するという事だ。 そのバックグランドは、狭義の*アートワールド(現代アートの価値と価格)は、なんで決まるのだろうか? 影響力のある現代アートの祭典は、ヴェネツィア・ビエンナーレ

人種差別、世界難民の日、そして日本の「今」を知るために観たい映画・ドラマ・漫画など

▼「BlackLivesMatter」に向き合うアメリカ、ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察官に膝で首を抑え付けられ、その後亡くなりました。この事件を発端に、抗議デモ「Black Lives Matter」が各地に広がり、日本でも連帯した抗議活動が行われました。これまでも繰り返されてきた差別に、私たちはどう向き合うべきなのでしょうか。 ①ドラマ:「ボクらを見る目」(Netflix) 1989年、当時14〜16才の黒人とラティーノの少年5人が性

ブスという呪い

最近、ものすごく心動かされ、周りの女子たちに「是非読んで欲しい」と布教しまくっている漫画がある。 河野大樹『ブス界へようこそ』というネット漫画だ。 とても絵柄にクセがあり、読み手を選ぶ漫画なんだけど、ふと気づくと最新話まで一気に読んでしまっていた。 内容はとてもシンプル。 ブスを苦にして自殺した名前のないヒロインが、現世と冥界の狭間にある「ブス界」という場所に落とされる。 そこには彼女と同じように世を儚み自ら命を断った元ブスたちが大勢いて、美人になって

どうしようもなく泣ける料理短編小説『彼女のこんだて帖』

くぅ~~~、泣ける泣ける。 料理にまつわる15の物語がおさめられた角田光代さんの『彼女のこんだて帖』を読んだ。夜にハイボールを飲みながら読んだら、こらえきれずこっそりと泣いた。お酒が入るとやばいぞ、これは。 失恋をした女性が自分を励ますためにラム肉を焼いたり、妻を亡くした男性が妻の手料理を思い出したくて料理教室に通ったり、どの話もじんわり切なく、あたたかく、どうしようもなく泣けてきてしまうのだ。 読んでいるあいだは自分がドライアイであることを忘れるくらい、目が潤みっぱな

青のフラッグを全力でおすすめしたいけど、なにを言ってもネタバレになってしまう

青のフラッグを全力でおすすめしたい。 でもなにを言ってもネタバレになるので、なにも言いたくない。 どうしても、ネタバレを知らないまま読んでほしい。 可能であるならば、この時点で読んでくれる人がいればいい。そして読み終わったあとに感想を教えあいっこできるなら、もっともっといい。 でもきっとそんな人は稀なので。 ネタバレにならない範囲で、なんとか言葉を尽くしてみます。 知らない漫画があるのがゆるせないなど、我こそは!という方はこちらのリンクからどうぞよろしくお願いします。

読書の処方箋/あなたのお悩み・気分に効く100冊

はじめに緊急事態宣言でにわかに外出さえ憚れる状況になってきました。まさかこんなことに日本がなるとは、ほんの数週間前までは想像することもできませんでした。 人生の大半を本とともに生きてきた元書店員のすずきが、自宅待機中での100の症状別に本を処方させていただきました。その時の悩み、気分に合わせて、用法・用量を正しく守って読書をお楽しみください。 ※なるべく現在(2020年4月時点)書店で購入できる本を扱っておりますが、出版社品切れなど場合はご容赦ください。 もしお楽しみいた

千の顔をもつ英雄/ジョーゼフ・キャンベル

地球規模、地球単位での課題に取り組むことが喫緊のこととして求められる現在、ポストヒューマンあるいは非人間という、これまでとは異なるパラダイムで思考をすることが必要だという話を昨年からこのnoteでは繰り返してきた。 その際、従来の人間中心主義的思考を抜け出すためのきっかけとして、現代においては失われてしまった神話の思考を参照することはとても有意義なことだと、このジョーゼフ・キャンベルの『千の顔をもつ英雄』を読んであらためて思った。 人新世の世における、神話の可能性1940年

「好き」という態度

ぼくは工場を何も知らなかった ぼくが製造業というものづくりの世界に文字通りものづくりの世界に文字通り飛び込んで半年が過ぎました。以前も今もなのですが、「工場の息子」であるとか「ゆくゆくは3代目」とか、そういうキャッチコピーが上手い事キャッチーなキャラクター像としてぼくを認知してもらう助けになっていました。  しかし、実際のところ、ぼくが最近行っている「工場見学についてnoteに投稿する"町工場の広報"」的な役回りや、町工場の新規顧客を探して繋ぐ営業などの仕事をするまで、「工場

余人をもって代え難いくらいの仕事ができる人になりたければ。

しゅんしゅしゅんです。 山口周さんと楠木建さんの「語る内容」と「語り口」が好きだ。特に好きな本がこれ。人生に影響を与える本があるとしたら、こんな本だろうと思う。 そんなお二人が「仕事ができるとはどういうことか」について、対談形式で語った本がこれ。 これは買うしかないのだ。そして読んだ。やっぱ面白かった。 タイトル通りなのだが、「どうしたら仕事ができるようになるか」ではなく「仕事ができるとはどういうことか」について語っている。 「ある何か」が、なんであるかについて考え