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ひとり連句 相聞-草の花

 


式目外しの自由連句。そのうえ自由律。めちゃくちゃ破綻破調です。形式はひとつ。男と女の掛け合い。

後朝の句からはじまって、女の回想で前日の夕刻へ戻ります。
二人はコンビニから川縁の土手へ、そして男の部屋に。
時は晩秋。人恋しくなる季節です。

1句 発句は後朝(きぬぎぬ)。
   【後朝】男女が寝所を共にした夜の明け方。情を交わした次の朝。

2句 女は前日の夕刻の時雨を事の発端として回想します。
     したがって2句からは昨日のことです。

6句 「一杯やりたい夕焼けの空」おなじみの種田山頭火の句。女はこの俳
   人が好きです。ということはお酒も大好きです。

7句 男も山頭火の「分け入っても分け入っても青い山」の本句取りで応じ
   ます。
8句 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき 猿丸太夫
   女は「鳴く鹿」と「泣くしか」を掛けています。

12句 「いいちこ」「二階堂」どちらも麦焼酎です。いつも迷います。

14句 「わたし」は「渡し」と「私」の掛詞。ちあきなおみのファンです。

15~17句 謡曲みたいになりました。あの世とこの世の通路、「橋懸」のよ
   うな感じをだそうとしたんですが、むづかしいですね。
   もうすこし勉強しなければなりません。

19句 天津紗江は、「それだけでなく」という副詞の「あまつさえ」の
   スマホ内の誤変換だと男は言いますが、果たして・・・

20句 「焼きの蛤」は「秋の夕暮れ」と音韻的には兄弟。とにかく座り
   がいい。また「焼き蛤」は「その手は桑名の焼き蛤」で有名。女は、
   そんな言いわけ信じられるか、といいつつ酒を飲みます。
   ただ男には、それが受け入れの表明に聞こえます。理由は控えます。

21、22句 古事記の伊耶那岐・伊耶那美のかけ合い。求婚と承諾。
   「あなにやし」は「ああ、なんと・・・」と一般には解釈されて
   いるんですが、ヘブライ語に「アニーアシー」というフレーズがあっ
   て、「私は結婚します」という意味らしいのです。そうすると、
    「私は結婚します。素晴らしい女と」
    「私は結婚します。素晴らしい男と」
   となります。(雑想ー『あなにやし』?

23,24句 ご存知「いろは歌」。この箇所はぐっときます。
   小学校の仮名修得は「いろは歌」でやってくれないかなあ。

25句 蛍はもちろん夏の季語。そしてまた死者の魂の象徴と見なされます。
   男は自分の中の過去の女と別れます。夏の女(あまつさえ)は晩秋の
   酒豪といれかわりました。
     愛しきを抱けば鏡裏に蛍かな 摂津幸彦
   すごい句だなあ。

26句 昔はひらがなを女文字(女手)といいました。

これで、発句にもどり、循環回帰です。めでたし、めでたし。


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