ひとり連句 相聞-草の花 14 薄楽俊 2022年12月5日 10:50 式目外しの自由連句。そのうえ自由律。めちゃくちゃ破綻破調です。形式はひとつ。男と女の掛け合い。後朝の句からはじまって、女の回想で前日の夕刻へ戻ります。二人はコンビニから川縁の土手へ、そして男の部屋に。時は晩秋。人恋しくなる季節です。1句 発句は後朝(きぬぎぬ)。 【後朝】男女が寝所を共にした夜の明け方。情を交わした次の朝。2句 女は前日の夕刻の時雨を事の発端として回想します。 したがって2句からは昨日のことです。6句 「一杯やりたい夕焼けの空」おなじみの種田山頭火の句。女はこの俳 人が好きです。ということはお酒も大好きです。7句 男も山頭火の「分け入っても分け入っても青い山」の本句取りで応じ ます。8句 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき 猿丸太夫 女は「鳴く鹿」と「泣くしか」を掛けています。12句 「いいちこ」「二階堂」どちらも麦焼酎です。いつも迷います。14句 「わたし」は「渡し」と「私」の掛詞。ちあきなおみのファンです。15~17句 謡曲みたいになりました。あの世とこの世の通路、「橋懸」のよ うな感じをだそうとしたんですが、むづかしいですね。 もうすこし勉強しなければなりません。19句 天津紗江は、「それだけでなく」という副詞の「あまつさえ」の スマホ内の誤変換だと男は言いますが、果たして・・・20句 「焼きの蛤」は「秋の夕暮れ」と音韻的には兄弟。とにかく座り がいい。また「焼き蛤」は「その手は桑名の焼き蛤」で有名。女は、 そんな言いわけ信じられるか、といいつつ酒を飲みます。 ただ男には、それが受け入れの表明に聞こえます。理由は控えます。21、22句 古事記の伊耶那岐・伊耶那美のかけ合い。求婚と承諾。 「あなにやし」は「ああ、なんと・・・」と一般には解釈されて いるんですが、ヘブライ語に「アニーアシー」というフレーズがあっ て、「私は結婚します」という意味らしいのです。そうすると、 「私は結婚します。素晴らしい女と」 「私は結婚します。素晴らしい男と」 となります。(雑想ー『あなにやし』?)23,24句 ご存知「いろは歌」。この箇所はぐっときます。 小学校の仮名修得は「いろは歌」でやってくれないかなあ。25句 蛍はもちろん夏の季語。そしてまた死者の魂の象徴と見なされます。 男は自分の中の過去の女と別れます。夏の女(あまつさえ)は晩秋の 酒豪といれかわりました。 愛しきを抱けば鏡裏に蛍かな 摂津幸彦 すごい句だなあ。26句 昔はひらがなを女文字(女手)といいました。これで、発句にもどり、循環回帰です。めでたし、めでたし。 ダウンロード copy この記事が参加している募集 #古典がすき 4,579件 #自由律俳句 31,429件 #詩 #ショートショート #現代詩 #自由詩 #自由律俳句 #コンビニ #古事記 #古典がすき #ショートショートnote杯 #短歌連作 #連句 #謡曲 #ひとり連句 14 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート