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薄楽俊
2024年5月26日 17:37
春の道化師知らないことを知っているといい知っていることを知らないという春の嘘はだからあけぼののパン屋のようないい匂いがするその匂いにつられて自由を分からないひとりの人類は幾千万以上ものものとなってかり出され 英霊という廃棄物となる だから美しい嘘が産道のような地下水道を通り今日も広場で噴きあげているそうやって真実という嘘が嘘という真実になるともうピエロは耐えられな
2024年5月19日 20:41
引き潮過去という現在が今日もぼくの日暮れ待ちの海岸にたくさんの漂流物を打ち上げる墜落した魔女の叔母さんの形見の箒とか三角帽子のピエロの叔父さんが忘れていったブリキの太鼓とか少数民族の裸を撮りまくった元脱走兵の報道記者愛用のニコンのレンズとかテロリストになったシスターが羊小屋に棄てていった真鍮の貞操帯とか何にもおわっちゃいないのにぼくをポストモダン化しようとした真っ赤な
2023年5月20日 20:47
処暑の火曜日はとても暑くて少年のぼくは飼い主に裏切られた猫のように日陰を探して人通りの絶えた町をうろついていたぼくは大人になったいまでも鉛筆とかアイスピックとか妻の八重歯などといった先の尖ったものが苦手であるそれは幼い頃に突然咲いた母の白い日傘がぼくの目をかすめたからだ母がそれを詫びたのは 十年後ぼくが大学に入って最初の夏の帰省の時だった母はたぶん油断していたのだと思う