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トーハク特別展『やまと絵』の予習に役立つリンク集

東京国立博物館(トーハク)で、とうとう特別展「やまと絵」が始まりました。

わたしも早速見る機会を得ましたが……豪華過ぎて、展示室に入った途端に、心が妙に急かされてしまいました。あれも見なきゃだし、これも見たい! って…。でも、わたしの場合は、時間も限られていたのでね……やばばばば……あわあわあわ……ってねw そんな状態で観覧した時のことを、下記のサイトで記しました。

そんななかでも、予習をしておいた作品は「これがアレだったかぁ」って、心に染み込んでくるんですよね。だから、また予習をして、改めて特別展「やまと絵」の後半に臨みたいと思っていますが、現時点で予習済みの物を、ここでまとめてみました。


なお、以下に紹介するのは、基本的に東京国立博物館(トーハク)の所蔵品です。

■初期「やまと絵」と「漢画=水墨画」との競演

特別展「やまと絵」の会場を入ると、最初に展示されているのが、国宝の《聖徳太子絵伝》です。大きなパネルを6面使って、聖徳太子が生まれてから亡くなるまでの事績を描いたものです。特別展の解説には、やまと絵の最初期の、たいへん貴重な資料……と書かれていた気がします。2面を1組として展示されていて、会期の上旬・中旬・下旬で展示替えがあります。

この《聖徳太子絵伝》ですが、明治時代に法隆寺から天皇が購入し、帝室博物館→東京国立博物館へと所有が移ったもの。たいへん貴重なため、6面を一気に展示することは、今後もほとんどないんじゃないか……くらいにしか展示されません。ただし、その複製が、2023年1月31日〜7月30日まで、トーハク内にある法隆寺宝物館で展示されていました。その時のnoteを読んでもらえれば、この作品の魅力が伝わるんじゃないかと思います。

国宝『聖徳太子絵伝』を間近で見たら、その精緻な描写がゴイスーだった…というお話(前編=1・2面)
国宝『聖徳太子絵伝』……蘇我氏(仏教推進派) vs 物部氏(排仏派)の壮絶な闘い(中編=3・4面)
国宝『聖徳太子絵伝』を間近で見たら、合戦図の迫力が凄かった!…というお話(後編=5・6面)

特別展「やまと絵」の序章では、「やまと絵」と「(中国大陸の)唐絵や漢画」を対比しながら観覧できるようになっています。見比べることで、「やまと絵って、こういうのを指すのね」と、なんとなく分かってもらおうという趣向です。

個人的には、その序章で「やまと絵」の代表として、会期後半に展示予定の大阪・金剛寺の「日月四季山水図屛風」を観に行きたいと思っています。

その「唐絵や漢画」について、特別展の会期前半では、雪舟の師匠と言われる、周文の《四季山水図屏風》が展示されています。さらに後半では、京都国立博物館所蔵の雪舟《四季花鳥図屏風》が来るそうです。

周文の《四季山水図屏風》については、以前noteしたので興味があれば御覧ください。また《四季花鳥図屏風》については、トーハク所蔵のものを紹介したことがあります。異なる作品ですが、構図に関しては雰囲気が似ているため、参考になるかなと。

■厳島神社の《平家納経》など、三大装飾経が揃い踏み

「へぇ〜三大装飾経が『やまと絵』展で観られるのかぁ」なんて思ったものですが、実際に三大装飾経って何? と問われれば「えーと、平家納経でしょぉ〜……あとなに?」って感じです。答えを言えば、そのほか《久能寺経》と《慈光寺経》になります。いずれも国宝です。

その中の《平家納経》に関しては、誰もが……美術や歴史に関心がなくても……「これは素晴らしいなぁ」と思わざるを得ないような、模本(複製品)がトーハクに所蔵されています。それを紹介したのが下のnoteです。写真だけでも見ていってくださいw

特別展「やまと絵」で見られる三大納経は、それぞれほんの少しずつです。展示室が無限に広ければ、すべてを見られるんでしょうけどね……。その点は、少し残念が気がしましたが、さすが三大納経と言われる国宝だけあって、それぞれ素晴らしかったですよ。また三大納経以外の納経や書も、見ていて飽きませんでした。

■ストーリーを知ると数倍楽しくなる絵巻物

特別展「やまと絵」では、四大絵巻と言われる《源氏物語絵巻》や《信貴山縁起絵巻》、《伴大納言絵巻》、《鳥獣戯画》のほか、多くの絵巻物が展示されています。それらを純粋に美術として楽しむのもアリですが、ストーリーを知ってから見ると、より面白く感じられます。そうした絵巻物を解説したnoteを紹介していきます。

・国宝《信貴山縁起絵巻》
現在は奈良県に所属する、信貴山しぎさん=朝護孫子寺の由来を絵本のように展開するのが、国宝《信貴山縁起絵巻》です。そう言われると……「小難しそう」なんて思うでしょうが、物語は主人公が倉や米俵を空に飛ばすという奇想天外なストーリーが展開していきます。そんな同絵巻を、少し小説っぽく記したのが下のnoteになります。

上・中・下巻は、主人公は同じですが、ストーリーが続いているわけでもないので、途中から読んでも面白いと思います。特別展「やまと絵」で、どの巻が展示されているかをチェックしてから、どれを読むか決めても良いでしょう。ちなみにわたしが行った第一週は《上巻:山崎長者の巻(飛倉巻)》が展示されていました。
中巻:延喜加持巻
下巻:尼公(あまぎみ)の巻

・国宝《伴大納言絵巻》
伴大納言ばんだいなごん絵巻》は、平安時代に起こった「応天門の変」という、公卿たちの政争を物語&絵巻にしたものです。その中心人物が大納言の伴善男とものよしお……通称で伴大納言ばんだいなごんです。物語は、当時の中央官庁街の正門の一つ、応天門が放火されるシーンから始まります。その放火犯は誰なのか? を、上・中・下巻で語っていく物語なのです。

国宝『伴大納言絵巻』のストーリーを(講談風に)ざっくり解説【上巻】
国宝『伴大納言絵巻』のストーリーを(講談風に)ざっくり解説【中巻】
国宝『伴大納言絵巻』のストーリーを(講談風に)ざっくり解説【下巻】

・《平治物語絵巻》
なぜか四大絵巻にも五大絵巻にも入らないのですが、世を平家が治める決定的なきっかけとなった平治の乱を描いた《平治物語絵巻》も、「やまと絵」展で見られます(正確には、平治の乱を記した平治物語を描いたのが同絵巻)。

《平治物語絵巻》は、かなり分散されて美術館などに収蔵されていますが、その中でも絵巻の形で比較的にまとまっているのが、ボストン美術館にある「三条殿さんじょうどの夜討巻ようちのまき」、静嘉堂せいかどう美術館の「信西巻しんぜいのまき」、それにトーハクの「六波羅ろくはら行幸巻ぎょうこうのまき」の3巻です。

そして今回は静嘉堂せいかどう美術館の「信西巻しんぜいのまき」とトーハクの「六波羅ろくはら行幸巻ぎょうこうのまき」の2巻が展示されています。個人的には、これで3巻の全てを見られたので、スタンプラリー的には1つクリアした感じがしてうれしいです。

・《一遍聖絵(ひじりえ)》
鎌倉時代には、武士や農民などに寄り添った仏教宗派が現れます。まずは農民などの下層階級の間でトレンドとなったのが、法然さん系列の浄土宗や浄土真宗、時宗などです。それらに関連する「やまと絵」が、《一遍聖絵》や《遊行上人ゆぎょうしょうにん縁起絵巻》、それに《親鸞聖人伝絵巻》です。

「やまと絵」展では、少しずつしか見られないのが残念ですが、現在、特別展とは別に、本館2階で展開されている『仏画のなかの やまと絵山水』という特集では、さらに少しだけ、その模本を見ることができます。

また、以前展示されていた《遊行上人縁起絵巻》については、こちらで記しました。ちなみに「遊行上人」とは、「一遍」さんの別称です。

以上、noteを書いていたら、右手の筋が痛くなってしまい、キーボードを打てなくなってしまいました。中途半端な感じですが、まずはここで終わりにします。

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