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逆説カントリーサイド/連載エッセイ vol.92

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「姿勢ッコくらぶ通信 vol.94(2016年・第3号)」掲載(原文ママ)。

只今ワタクシこの原稿を、姫路駅から東京駅へ向けて乗り込んだばかりの新幹線車中で開いた、持ち歩き用の小型ノートパソコンで書いている。

3日間に渡る『兵庫出張』の帰りなので、本来であれば、その疲労から、すぐにでも目を閉じ、意識もろとも車両の揺れに身体を任せてしまいところである。

しかし、到着予定の東京駅からはまた、盛岡駅行きの高速深夜バスへ乗り継がなければならないので、下手にいま睡眠をとってしまうと、バス車中での寝つきが悪くなる恐れがあるため、必死に睡魔と戦いながら(同時に乗り物酔いとも戦いながら!?)、パソコンのキーを叩いている…。

…と、この冒頭数行を読んで頂けるだけで容易にお察しできるかとは思われるが、相変わらず忙しい…というか、なかなか地元に腰を落ち着ける事のできない『出張づいた日々』を過ごしている。

但し、『相変わらず』とは書いたものの、その動きのベクトルは昨年までと明らかに異なる。
そう、ワタクシの大好きな『海外出張』は鳴りを潜め、専ら『国内出張』の比重が高まっているのだ。

昨夏、韓国ハンソ大学にて念願の『博士号』を取得した際に、『ここ数年来継続してきた頻繁なる海外出張の日々も、これにて一段落なのかなぁ…』と覚悟はしたものの、実際は予想以上で、その後、海外へ行ったのは、年が明けてからの毎年恒例な『アメリカ研修』の1回のみ…。

昨年上半期には、3カ国(アメリカ・ギリシャ・韓国)延べ5回の海外出張をこなしていたのだから、その差は歴然である。
正直、この5年くらいは、海外出張へ出掛ける事で、自分の『活動リズム』を整えてきた感があるので…妙に落ち着かなかったりもする。

さて、その比重が増えてきた国内出張で、一体ナニをしているのかといえば…1つは、自分の所属団体での活動に関する打ち合わせである。

元々、所属している社団法人で、セミナー講師を数多く担当しているワタクシ。
その事前打ち合わせの為であったり、講師業そのものであったり、それ以外には組織制度の作り込みの打ち合わせであったり…。

もちろん、これらに関する交通費諸々は『基本自腹』であるが、ワタクシが博士号を取得できるまでに至ったのは、間違いなく所属団体でのご指導の賜物…。
これから一生を賭けて恩返しをしなければならないのは、『仁義』を尊ぶ人間としては当然の事である(←ビシッ!!)。

もう1つは、所属団体の枠を超えて…というか団体自体を代表して、いよいよ業界内の『政治の場』への進出。

春先には、業界の主だった団体のトップ達と、厚生労働省&消費者庁のお役人さん方が一堂に会する意見交換会へ初参加。

もちろん、この方面では、ワタクシまだまだ『新参者』である為、未だ猫を被って様子を伺ってはいるが…日本の徒手医療業界を、誰から見ても『まとも』な業界へ築き上げていく為、『腹芸』が得意でない性分ではあるものの、時に『ワレがワレが』の姿勢も織り交ぜながら、出張っていかなくてはならないのであろう…気合を入れていかねば!!(←ビシビシッ!!)

そして、滞在時間の限られた地元での活動においても、1つ、軸となる方向性が見えてきた。
『講演活動』である。

以前からもちょくちょくと講演依頼は頂戴していて、年に数回は公立学校だったり公民館だったり一般企業だったりにお呼ばれして、講演させて頂く機会を持ててはいたのだが、最近その頻度は明らかに上昇傾向である。
ここ3ヶ月の間でも、4回ほど数十名規模の講演を担当し、その内の2回は幸運にも地元新聞に取り上げて頂いた。

『博士号取得効果』も、もちろんあるとは思う。
確かに、どこから聞きつけたのか、まったく人脈のない団体からも講演依頼が舞い込むようにもなってきた。
年内も既に数件、講演が決まっている。

元々、駆け出しの頃から、『しゃべり』が活動の『生命線』だったワタクシとしては『願ったり叶ったり』の状況が生まれつつあると言えるのかもしれない。

しかし、この『潮流』は、私個人の事情だけで作り出せているものではないと断言できる。
何故ならば有難い事に、理事をはじめとする他の当組合所属の仲間達も同様に、講演を依頼される機会が増え、地元新聞に取り上げられるケースが増えてきているからだ。

親愛なるこの通信の愛読者の皆様であれば、前々号よりタイトル部分にある文言が付け足されたのをお気づきであろう。
(もし愛読者を自認しつつも、この話にピンとこない方がいらっしゃるのなら、すぐさま通信を裏返して表面左上をご注目頂きたい!!)

『みちのく岩手を姿勢医学の先進地域へ』…。

我々が活動拠点とする岩手は、確かに田舎である。
その人口の少なさは、商売で考えれば『致命傷』になり得る『弱み』である。
加えて、新しい物事に対して、決して『開放的』とは言えない県民性…。
普通の商売人であれば、尻尾を巻いて逃げ出す状況である。

しかしながら我々は幸か不幸か『地元民』である。

だったらこの土地をネガティヴ目線ではなく、ポジティヴ目線で捉えてやろう!! 
人口の少なさは、逆に言えば『シェアの取りやすさ』に繋がる!! 
閉鎖的であるが故に、ひとたび認められれば最大限の理解を示してくれる!!
そう、田舎だからこそ、逆説的に『先進地域』になれるに違いない!! 
いや、そうしなければならないのだ!! 

…そんな事を昨秋に考えていた時、頭にふと浮かんだのがこの文言であった。

しかし実際のところ、その具体的手段は、これまでも実践してきた『施術活動』と『育成活動』以外、コレといった『決め手』を思いつけないままの『見切り発車キャッチフレーズ』であったが、ココへきて、講演のペースが上がってきている仲間達と、講演を受けた聴衆のリアクションと、それを報じる地元新聞紙の扱いから…なんだかイケそうな気がしてきているのである。

今はまだ、小さくバラバラな『種火』であっても、それを大事に育てて紡ぎ合わせていけば…いつか大きな『炎立つ』日が訪れそうな…。

……と盛り上がってきたところで、ワタクシの『眠気』と『酔い気』も最高潮に…。
新幹線の揺れ…侮れぬ!! 

あと1時間もしないうちに東京駅に着きそうではあるが、パソコンを閉じて、少し微睡むとしよう。
それでもし高速深夜バス車中で眠れなくなったら…明朝からの地元での活動に思いを馳せればいい。
制約があるからこそ、頑張れるコトも多いはずだから…。

限りある人生を、限りなく生きよう…逆説的に!!


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