国際資格保持者が考える、就職転職に有効な仕事や職種のリスクの分析
様々なことが今回のパンデミックで明らかになった。職業についても同様である。世の中には様々な職業が存在する災害やパンデミックなどの不測の事態によって影響を受けやすい職業や職種と、直接的には受けない業種がある。いわゆるリスクの分析が可能である。筆者はとある分野のリスクの分析の経験があり、一部関連する国際資格も取得している。
しかしここで「仕事 リスク」で検索すると文字通りの命の危険がある仕事一覧や、きつい仕事等が表示される。
通常の仕事において、「リスク」に近いものは業務のリスクであろう。通常の企業では、万が一に備え、ありとあらゆるリスクを分析し、それに基づき業務継続性(Business Continuity Plan, BCP)や災害復旧計画(Disastar Recovery Plan, DRP)といったバックアッププランを、各業務の許容されうる最大のリスクに基づきデザインしていく。例えばあるシステムにおいて、繋がらないダウンタイムの時間は24時間まで耐えられるのか、それとも1秒でも問題なのか?前者であれば、すぐに繋げられる状態のものを用意しておく。一方で後者であれば並行してシステムを動かしておく必要がある(ミラーサイト)。これは企業での業務だけでなく、個人でも言える。
どの仕事にもリスクはある。しかし外的要因の影響を受けづらいいわゆるローリスクの仕事と、影響を受けやすいハイリスクの仕事を分けることはできる。
今後の就職・転職・起業の参考にしていただければ幸いである。
完全なノーリスクは不可能
リスクの評価の基本中の基本の考え方に「完全なリスクを回避するは不可能」という考え方がある。この場合も同様である。それこそ隕石が地球に直撃してしまえば、業務継続それどころではない。エイリアンが襲ってきてもまた問題である。前提はたとえ可能性は天文学的なくらいに小さくとも、崩れるときは崩れるものである。例えば、世界的なサイバー攻撃で、世界中の電話、ガス・水道・電気が全く使えなくなる状況は考慮に入れていない。その場合には、自給自足の山奥の農家などが安定感が増す。
この記事での分析はあくまで大雑把な傾向的なものである。具体的・定量的なリスク分析は、様々な資料を多角的に統計的に分析する。例えば震度〇〇以上の地震は何年くらいの頻度・確率で起きるか?パンデミックはどれくらいの確率で起き、それによりどれくらいの被害を受けるか?などを考える。保険の価格もそうやって決めていることだろう。詳細は、それぞれの分野の専門家へ委託いただきたい。
大まかな傾向
具体的なリスクを定量的に評価するには非常に多くのデータを利用する。物理学専攻であったので「すべての」とか「絶対に」という単語に反応する気持ちは思わず、うなずいてしまいたくなるほどであるが、この記事での意図は全体的な定性的な傾向である。
リスクの分類
まず、生きていくのに必ず必要な生活必需品に近いものほど影響を受けづらく、余暇やイベントなど、正直なくてもどうにかなるものは影響を多大に受ける。この説明にはマズローの欲求ピラミッドが有効である。パリピイベントでウェイウェイやるには当たり前だが食べ物がないとそれどころではない。
商品は無形が最も低リスクであり有形では小さく軽いものが良い。一方重くて大きいものは影響を受けやすい。同時に在庫に期限や鮮度があるものが影響を受けやすい。季節による影響が高い方が高リスクで、一年中需要があるほうが低リスクである。無形であれば、保存も持ち運びをする必要もない。一方大規模な装置や道具の場合、トラックなどで移動が必要になる。地震で道が閉ざされれば一発アウトとなる。
勤務地も場所を選ばずに移動できるものが低リスクで、固定されているものが高リスクである。地震や火山の噴火が起きても、パソコンだけあればできる仕事であれば移動できる。クラウド保存型の場合にはもはやハードウェアすら必要ない。
取引先もいくつもあるほうが、1つに依存するよりも低リスクとなる。一か所と取引をしていて一か所が破産したら?もう終わりである。他にとってかわられない高い専門性を持つほうが、誰でもできる仕事よりも低リスクである。災害で年収と収益率は高い方が低リスクである。
企業形態も見てみよう。多国籍で他国にまたがっているいわゆるグローバル企業が低リスクで、ローカル企業がハイリスクとなる。同時に企業サイズも個人の年収と同様、大きい方が低リスクである。本社と支社では権限が集まっている本社の方がリスクが低い。看板を借りているフランチャイズもハイリスクとなる。親会社・子会社も同様である。個人の雇用形態も、グローバル企業本社の大株主や役員が強く、ローカルの企業のアルバイトなどの非正規雇用者がハイリスクとなる。
これに「無くなる仕事」も加味しておいた方がいい。災害のように突然ではなく徐々ではあるが、こういう傾向は着実に進む。
公職の位置づけは難しい。どのくらいの頻度でどの程度の制度が変わるかが分からない限りなんとも言えない。
規模が大きく、オプションが多い方が強い
規模が大きいほどひとつのイベントが与える影響は微々たるものである。いざとなったときに動けるのは重要である。またオプションが多い方がいざというときに危険なエリアから逃げられる可能性が高くなる。丁度ポーカートーナメントのチップに近いものを感じる。チップリーダーだといろんな技が使えるが、ショートスタックだともうオールイン(全額掛ける)以外の選択肢がない。
リスクとリターンは相関しない
上記を見ていると、リスクとリターンは相関しないことがわかる。何を言っている?ハイリスクならハイリターン、ローリスクならローリターンじゃないのか?と思うかもしれないが、それはおそらく投資や保険であって、技業種職種ではそうならない。例えばグローバルなIT企業の方が、地元の小売業よりも低リスクではあるが、待遇は良い傾向にある。
これを要約すると、専門性が高く、国や場所を選ばない業態のグローバル企業の大株主や役員がローリスク、店舗が固定で、現地で直接行わないといけない個人商店がハイリスクとなる。賞味期限もある個人飲食店はさらにハイリスクである。
自分で関わっていて思うが、スポーツ関係の団体は最もハイリスク・ローリターンなエリアのひとつである。
リスク以外の「リスク」
ただ、一点、仕事のハイリスク/ローリスクと、その仕事を通して得られる固有の生きがいや、やりがいもまた完全な相関ではない可能性が高い。上記の傾向のみを追求すると、拝金主義の教養のない・遊びの無い人間や社会が出来上がりそうである。もし「どうしてもこれがやりたい!」という場合には、もうやるしかない。一生やらないで死ぬ前に後悔してもしょうがない。これも一種のリスクと言ってもよさそうなほどである。しかし上記のような一般的なリスクは高いことは勘案しておいた方がよい。
終わりに
何をやりたいか?と、その職業・職種・業種には、どの程度のリスクがあるか?をうまく勘案して今後の就職・転職・起業などに生かしていただければ幸いである。
詳しくはこちらの記事を参照ください。
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