世界が君に追いついた
よかった。本当に本当におめでとう。
君も、君も、みんな進路が決まって嬉しそう。
行きつけの居酒屋で、婚約者の大好きな歌が耳に入る。
彼の愛おしい歌を小耳に挟みながら、みんなの未来を聞いて、ケラケラと、たわいもない会話を嗜む。
世界が、ようやく君の魅力に気づいてくれたんだね。
あなたが合わせたんじゃない。
あなたが歩み寄ったんじゃない。
己の道を突き進んだ結果、追い求め続けた結果、
悩んで、悩んで、向き合って、行動した結果、
社会が、世の中が、世界があなたに追いついたの。
ずっと側で見てたから、知ってるよ。
それくらい、言われなくても、分かるよ。
何年目だと思ってるのさ。
そんな大好きな君の、キラキラと光る横顔を見ながら、ふと思う。
あれ、私何やってるんだろうって。
毎日、一回生の頃から変わらぬラグビー部のマネージャーと、ちょっとだけの授業と、ブラックのインターンと、掻い摘む程度のWebデザインをぐるぐると。
みんなみたいに、世界に追ってもらうだけの努力、何もしてないじゃん。
慌ただしい予定をタスクのようにこなして、大切な毎日が、ボロボロと手からこぼれ落ちていく。
とんでもない急流で、気づけば大学生活もあと半年。
君が世界を味方につけたみたいに、確かな強い希望に溢れた未来を勝ち取ったみたいに。
よし、次は私の番だ。
私が、世界を味方につける番。
まっとけ、世界。まっとけ、みんな。
そんな風に思わせてくれる君は、やっぱり私だけの天才。
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