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いつだって強火な私達は

ねぇ、貰ってばかりなんて言わないで。
その強火な言葉に、何度も救われたんだから。

納得いかぬ仕上がりのまま迎えた展示会。

今すぐ切り刻みたい程、悔しがる私に対して、
彼女は真っ直ぐな瞳で、しっかりと言葉を紡ぐ。

「私は信じてる。あんたには、先輩を軽々しく
超える力があるって」

あの子達は「その悔しさも糧になるよ」なんて
表面的で、上から目線の、他人行儀な慰めしか、
言ってくれなかったのに。

「いつも頑張ってること、ちゃんと知ってる」

あぁ、もう、全く。
どうしてこんなに、私の欲しい言葉を、次から
次へとスルスル紡いでくれるのかしら。

慰めて欲しくないし、共感もして欲しくない。
ただ、ちょっと知って欲しかっただけなの。

信じてるよって、分かってるよ、大丈夫だよって
確かな理解が織りなす強くて、柔らかい一言は、
沈んだ私の心をグンと焚き付ける。

今まで、数えきれないほど迷子になった。
恋に悩み、研究に行き詰まり、進路を見失って。

けれど、いつだって確かな光を灯すのは、
あなたの紡ぐ素直で、強火な言葉達なのでした。

どんなに遠く離れていても、その灯りに包まれる
度に、きっと、明日も大丈夫。そう思えるんだ。

「とびきり成長して会うの、楽しみにしてる」

イギリス留学を、数日後に控えたあなたが言う。

次は、どんな強さを身に付けてくるのだろう。

その強さに見合う位に美しい服を作れるように、
私も、もっと強くならないといけないね。

うん。待ってる。大好き。行ってらっしゃい。

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