行方克巳句集『素数』『晩緑』考
―無常観の中で育むしなやかな自己肯定の思想 1
行方克巳の前句集は『素数』という魅力的な題名だった。
素数は1より大きい自然数で、正の約数が1と自分自身のみである数のことだ。最小の素数は2で無数に存在する。
2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41,・・・・・
その発生周期の謎、未解明の原子物理学的なある周期性との近似性、素数の無限性の証明の可不可など、その尽きせぬ神秘性において、数学者と科学者たちを魅了し続けている。
実はこの素数、俳句の五七五と合計十七とい