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複雑性PTSDは「時空」で解明できるかもしれない

デカルトは間違えたのではないか?

私は、大学・大学院と生物系の大学に所属し、野生動物の研究をしていましたし、その後、社会人になってから、精神医学や福祉なども学びましたが、哲学というものには、全くの無知で不勉強な者でした。ですから、哲学者のことを詳しく学び知っているものではありませんが、最近、色んなことを考え、色んな書物から得た情報の断片をパズルのように組み立ててみると、哲学者のデカルト(フランスで誕生。1596年3月31日 - 1650年2月11日没)が、西欧の思想に多大な影響を及ぼし、現代の科学の発展や、西洋医学、自然観というものにまで、影響力がとても大きく、人類に貢献した側面もある反面、功罪としての罪もとても大きい人物ではないか?と思っています。

例えば、以下のデカルトの哲学が、私個人は、間違いだったのではないかと感じています。

近代科学の特徴を変えてしまった

近代科学の特徴といえば、「機械論」です。機械論とは、「自然も生物も、すべて物質からできた機械だ。すべての物質は機械だから、一つ一つの部品から成り立っている。分解して細かく調べれば、対象を100%理解できるはずだ」という考えです。

一方で、近代以前の人々は、物体に魂があると考えたり(アニミズムの信仰)、神の力によって世界が成り立っていると考えていた。近代に入り、宗教の力が弱まるにつれて、次第に機械論的な見方が強まっていった。以下に近代以前の科学と、近代科学の図を示す。

近代科学デカルト

この機械論を自然の理解に応用し、自然現象を原因と結果の「因果関係」で説明できるとしたのが「機械論的自然観」である。この自然観は、自然を人間が、操作・支配できるという思想・態度につながっていったのではないかと私個人は思っています。

この自然観は、日本人やアフリカなど人類の起源の民族とは真逆の自然観です。本来の日本人やアフリカ人は、人間は自然より下という考えで、自然物には魂が宿り、アニミズムの信仰をもっていたために、自然を支配・管理するという思想はなかった民族です。デカルトの「機械論的自然観」は、その後、植民地、戦争まで引き起こし、その結果、「複雑性PTSD」という重病になった人たちが、家庭や地域でも、虐待やDV、いじめなど、対人暴力を生み出していったのではないでしょうか?それが、現代まで、連綿と〈連鎖〉し、人類を不幸にしてしまっている気がします。

それに対し、近代以前の自然観は、「自然を1つの生命体」と考え、自然の中に〈神〉の意志を読み取ったりしていた(アニミズムの信仰)が人々の自然観だった。以下に、近代以前と、近代の自然観の違いを示す。

自然観

デカルトは、機械論的自然観によって、近代以前の人々が、〈自然は1つの生命体〉であるという思想から、自然は物質であり、バラバラにしてしまったのです。また別の機会に論じたいと思うが、この機械論的自然観は、その後、多くの思想家や科学者に多大な影響を与え、世界の人々の思想を根幹から変えていってしまっています。

例えば、誰しもが知っている進化論を提唱したチャールズ・ダーウィン (イギリスの自然科学者。1809年2月12日誕 - 1882年4月19日没)にも影響を与えたはずで、ダーウィンは大発見をした一方で、「ダーウィンの功罪」というものを創り出してしまったと思っています。これについては、また別の機会にまとめます。

デカルトの「我思う、ゆえに我あり」

デカルトの有名な言葉に、「我思う、ゆえに我あり」があります。デカルトの哲学として有名な「近代的自我」=’’他者と異なって意識される自分’’ は、絶対確実なものを見出すために、デカルトがあらゆるものを疑ってかかる、という方法で、目の前の物の存在を疑っている自分だけは存在しているという、疑いつくした末に残る自分の意識こそ、「絶対確実な自我」があると証明しました。しかし、自我も他者との関係性から生まれるものであり、「絶対確実な自我」など存在しないという批判もその後、なされたようです。

デカルトの「心身二元論」は人間をバラバラにした

デカルトの哲学で有名なものに「物心二元論」があります。「物心二元論」は、「精神という心」のはたらきと、質量や面積を持つ「物体」という2つの実体によって世界は成り立っていると考える思想です。これを人間に当てはめると、「心身二元論」という人間は精神と身体からなる存在と考えました。しかし、身体は精神よりも下位の価値であり、精神のはたらきこそ、人間を人間たらしめるものと考えた。

身体よりも精神を優位に置くこの思想は、身体を機械とみなす態度へとつながっていきました。

精神(心)と身体を別物とみなす「心身二元論」は、人間の病は、機械の故障と同様であり、故障した部位を修理(治療)すれば回復するという思想をもたらし、近代医学が発展していきました。

「心身二元論」については、個人的には、功績も大きかったと私は思いますが、一方で、西洋医学の発展において、人間の精神(心)と身体を分離し、医学を専門分化しすぎ、精神(心)と身体は、繋がっているという思想が欠落していたように思います。現代の医学でも、あらゆる専門分化によって、医者は、「人間の全体像」を見ようとしないで、人間の局所的部位のみしか診ない「何かの専門家としての医者」を大量に生み出している弊害があります。

心と身体

これが精神科であれば、精神の病には、まず、身体的な症状も付随するのに、精神科医に身体の不調まで診れなくしてしまったり、人間の精神(心)と身体は、繋がっているのだから、身体的アプローチから、心の病を治そうという発想がある精神科医の少なさに繋がっており、精神の病が治らなず、一生、患者として薬漬けにするだけ、という実態を生み出している気がしています。

デカルトによる「時間・空間の均質化」

人間が暮らす「空間」は、誰しも、愛された人との大切な記憶や、愛着がある場所などによって、「空間」に意味付けがなされています。自分が暮らす家や街、職場や地域といった「空間」は、一人の人間にとって、一様(同じ)では決してないです。その人にとって、大切な「空間」というものや、一方で、苦手な「空間」というものもあるし、記憶に一切、残っていないような意味付けがなされていない「空間」も、沢山ある中で、人は暮らしています。

 つまり、一人の人間にとって「空間」とは、決して、一様(同じ)ではないのです。しかし、それを均質化(同じ)にしてしまったのが、デカルトの「座標軸」であり、機械的・抽象的な空間概念として、「空間」を数値化してしまいました。

時間の均質化

「時間」についても同様に、近代以前の人間は、「円環時間」と呼ばれる自然のリズムをベースとした時間意識を人々はもって暮らしていましたが、機械時計の出現によって、その人の主体的な時間感覚、季節や場所とは関係のない、人工的で平等な時間意識、という思想をもたらしました。

人は、濃度の異なる「時空」をもって生きている

ここからは、私の意見ですが、空間と時間を「時空」という言葉で表現するなら、「時空」というものは、その人の人生の中で、決して均質的なものではなく、思い出がある場所や時間は、より濃い「時空」としてその人の中に存在しているはずです。楽しく幸せだった思い出も、辛く苦しかった思い出も、記憶に残っていないような場所や時間も、その人の中で、「時空」は濃度が相当に異なります。

異なる濃度

複雑性PTSDは「時空」で解明できるかもしれない

これは仮説ですが、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)を無意識(通常は意識されていあにが、日常の行動や精神に影響を与えている心の深層)の中へ、抑圧された怒りや悲しみなどの感情を押し込めることにより、解離が生じることを提唱した精神分析の祖であるフロイトがいますが、この解離の理論も机上の空論ではあるのです。

確かに、フロイトの主張するように、無意識の世界の中に、別の人格を作りあげてしまうことで、子ども時代の虐待体験を乗り切るための防衛として、心の機能がはたらいた結果、多重人格になるという説もあり得るとは思います。

しかし、「時空」というものが、その人の中で濃度が異なるわけですから、自分の外界の世界での時間の流れ(過去⇒現在⇒未来)の中では、過去の被害体験は、デカルトの均質化した時間軸では「過去」の「時空」ですが、心的外傷(PTSD)を負った人の内部では、外界の時間軸とは異なった「時空」が存在しているとも考えられます。

オイルタイマー

PTSDとなった人の被害体験という「時空」は、その人の中では、「過去」として処理されていないと考えることもできます。

この仮説が正しいとすると、フラッシュバックも、解離も、その人の中や、この宇宙で、「時空」は均質ではないために、フラッシュバックなら、過去の「時空」へと意識だけが一瞬、飛んでしまったり解離も「時空」と関係しているような気がしています。複雑性PTSDや解離は、量子力学で解明できるかもしれないと考えています。※コメント、歓迎いたします。

解離と時空との関係については、以下のコラムで独自の仮説を書いています。

デカルトの哲学は西洋医学にも大きな影響を与えた

西洋医学は、人間の「全体」をみないで、「部分」しか診ません。人間の局所的部位しか診ないで、医学を専門分化しすぎたことは大きな欠点だと思います。何かの専門家としての医者を大量に生み出したことは、医療で大きな弊害となっていると思います。

虐待の後遺症(複雑性PTSDや解離性同一性障害)については、以下の書籍に詳しくまとめてあります。精神科医の和田秀樹先生の監修・対談付き。ぜひ、読んで見て下さい。当事者の方からも、自分の現象が物凄く当てはまったという感想や、当事者以外からも、虐待サバイバーの心理的メカニズムがとても解りやすいと評判です。




虐待の被害当事者として、社会に虐待問題がなぜ起きるのか?また、大人になって虐待の後遺症(複雑性PTSD、解離性同一性障害、愛着障害など多数の精神障害)に苦しむ当事者が多い実態を世の中に啓発していきます!活動資金として、サポートして頂ければありがたいです!!