ひろ

都内27歳アパレル店員。一人っ子特有の脳内自問自答、思考過多の目まぐるしく散り積もった…

ひろ

都内27歳アパレル店員。一人っ子特有の脳内自問自答、思考過多の目まぐるしく散り積もったものを吐き出すために始めました。音楽と銭湯が好き。

最近の記事

一番星のヒーロー

ヒーロー。誰もが憧れる、誰もが通ってきたもの。 ヒーロー。揺るぎなく常に飛び続け、理屈も常識も飛び越える。 ヒーローも人だった。揺らぎ、恐れ、逃げる。 それでもその背中にはマントが見える。 いつでも飛べる翼がある。 無碍にするも自分、跳躍するも自分。 人間くさい孤独に寄り添うものこそヒーローなのかもしれない。 ヒーローはいつも目の前にいる。 悠々と、大きな背中で闊歩する。 出る言葉は力強く、周りに有無を言わせぬパワーがある。右を向けば右、左を向けば左、みんなが付いていく。

    • Science fiction

      シュレディンガーの猫。 毒ガスによって猫が生きているか死んでいるか、蓋を開けるまでは生死が確定しない。 観測するまでは現象が確定しない。 本当かフィクションかわからないアインシュタインが娘に宛てた手紙。 愛は光。愛は僕らの真髄。 愛。2人の間を電気のように通いながら、本当に愛が実在しているかは確認するまでわからない。 自分がどう信じるか、何を信じるかが大事。 愛されている、愛がそこに通っていると信じれば、愛は光。愛は僕らの真髄。信じるべきものこそが真髄。 アインシュタ

      • ゴリラの鼻くそ

        小学生の時にインフルで寝込んだ夜。 いつも通り母は夜仕事に行き、1人和室で寝込んでいた。家は静かでうなされながら訳のわからない夢を見ていた夜。 家のチャイムがなると聴き慣れた声がした。 祖母が見舞いに来てくれた。 母に内緒で来たかのようにお忍びでやってきてくれた右手に、差し入れのお菓子。ゴリラの鼻くそ。 『ほら、でっかい鼻くそやろ〜』と言いながら差し出してきた祖母。なかなかお菓子の食べさせてくれない母の目を盗んでは、こうやってお菓子をくれた。熱にうかされた頭に、祖母の想いが優

        • 背中の熱

          戦友、ライバル、同志、宿敵。 ともに高めあい、競い、戦ったものとの再会。共闘。 まるで対局の性格に打ちのめされ涙し、それ故にお互いの刺激、起爆剤になる仲だ。 話した時間、言葉数はとても少ないが根底を理解できるような漠然とした心強さがパフォーマンスを通じて伝わる。 初めて一緒に働き、背中を預けて戦えることの心強さを実感した二日間だった。と、同時に、今まで自分は他人を信頼し背中を任せていなかったことを実感した。 目が合う、すれ違う、手が欲しい時にそこにいる。多くを話さず伝わる

        一番星のヒーロー

          興味

          飽き。 好きでも嫌いでもない一番残酷な感情だ。 物事に飽きた人は何もなしにふっと去っていく。 そのに良いも悪いも無く、ただ飽きただけ。興味がなくなっただけ。 それまではあれよあれよと群がり目を輝かせていたものが、眼差しは虚げに、言葉は心のない言葉さえ吐く。そこにきっと悪気はない。 もう興味が湧かない、それだけ。 好意嫌悪のような大きな感情に突き動かされることとちがって、意図せず争うことなく緩やかに遠ざかっていく残酷な人間の感情。人は物も人も消費し、飽きたらそこまで。誰もが持ち

          強さ

          強く生きなさいと言われた。 祖母に言われた最後の言葉。 強さ。 リーダー、指揮者、ヒーロー、長、人格者。 まるで遠いところにいる。 不意に口から出る言葉に絶望する瞬間ばかりの人生。卑屈で、何かと他責にしてばかりだ。 深淵を覗く時、また深淵もまたこちらを覗いて、いる。 まさにその通りだ。 困難を克服することに没頭し我を忘れるあまり、気づけば自分が禍の種になる。 あの人があのやり方が、と言う自分がいつしか呪物となり人に疎まれるのだろうか。 葛藤し争いながらも、気づけばそう言う思

          漆喰の外壁

          右にはほのかに白んだ山脈。 左には曇天の下荒々しさを含んだ日本海が波が打ちつける。 新潟県、日本海海沿いを列車で走る正午。 旅の早起きと、昼ごはん後の缶ビールで夢心地の中、旅の共には村上春樹『太い太鼓』だ。 視界に広がる海とは変わり、脳内にはエーゲ海が広がる。早朝に開かれる魚市場。嵐を知らせる雷。何事もなく穏やかな時が流れるオフシーズンのギリシャ。 時折通り過ぎる役目をひと段落終えた田園と、オフシーズンのギリシャ。 天気予報によると夜は雨が降るらしい。 外壁を崩すほどの雷がな

          漆喰の外壁

          上映表とキャラメル

          幼い頃、カルチャーに興味のない母に代わって映画館に連れて行ってくれていたのは祖父だった。 寡黙で祖母達には気難しい祖父だったらしいが、孫の私には存外甘かったらしい。 初めて映画館に連れて行ってもらった時のこと。千と千尋の神隠しを、今はなきサティの映画館で見た記憶が一番昔の記憶だ。 初めての映画館。祖父がこっそりとポケットから6個入りのキャラメルの小箱を取り出す。キャラメルの甘さとあのスクリーンの広大さ。初めての興奮。 その後も何度か一緒に映画館に行っては、お決まりのキャラメル

          上映表とキャラメル

          海の白鳥

          なんで私だけと何度思ったことか。 母親や、その男にぶたれ引きずられる度に無抵抗に謝っては部屋で何度腕を噛んだか。 泣き疲れて祖母の家に行く。 帰り際薄暗い玄関で抱きしめられた。 あんただけが辛いんじゃないよ、と言われ ハグしてくれたあの温もり。 いつも子供らしい精力も無く、現実に打ちひしがれる私に祖母はいつも手を伸ばしてハグしてくれた。 自分だけじゃない、強く生きなさい。 玄関でのあの瞬間がミッドナイトスワンを観るとフラッシュバックする。 今でも振り上げられる腕と差し伸べられ

          海の白鳥

          朝焼けと夕暮れの狭間

          過ぎゆく人の目を奪う暴力的な夕焼けと、 夜更けの静かで優しい孤独。 夜に訪れる、暗い海を静かに方舟で漂うような不安。夜の静かさが苦手だ。その光が2度と降らない気さえする。 時間が経てばまた新しく陽が昇る。 束の間の時間。こちらの都合など知ったことではない夕陽がまた影を作る。

          朝焼けと夕暮れの狭間

          ドキュメントサニーデイサービス感想

          ドキュメントサニーデイ・サービス。 ここ最近のサニーデイ・サービスのライブの熱さ、ロックさ、愛情深い暖かさの全てにガッテンがいった。 最近知人に『サニーデイ・サービスってどう良いの?』と聞かれた。 "好き"につながる箇条書き的なワードは浮かぶが、どう良いのか好きなのかを言語化するのが随分と難しくいまいちうまく伝えきれなかった。 曽我部恵一、ライブでの年齢を思わせないロックな演奏と、MCの観客全てを包み込むような暖かな眼差し。ここで燃えて消えてしまいそうな、全て自分勝手に

          ドキュメントサニーデイサービス感想

          サニーデイを聴き始めた頃の自分へ

          田舎特有の国道から脇にそれたところに広がる田んぼ道。実家時代、お決まりの散歩道。 10代特有の大人への憧れから背伸びをし、斜に構えた心を元に見つけたサニーデイサービス。 これはなんだか洒落たバンドだなあと成人したてほやほやの生意気な感想を抱きつつ、本命のバンド!までハマらなかった当時からすると、28歳目前に好きな人類第一位間違いなしというほどにハマっていった今。人生にはかなりの想像力が必要らしい。 4/21の渋谷はあの日のように暖かい風が吹いた日で一日中胸が躍った。 DO

          サニーデイを聴き始めた頃の自分へ

          脱 オムライスは詭弁

          小さい時からオムライスが好きだった。 要所要所にはいつもオムライスを作ってもらっていた。 ところが二十歳で上京してきたあたりから、外でオムライスを注文することがめっきりなくなった。オムライスが好きと言うより、記憶の中にあるオムライスが好き、が正しい。 卵の中央を切るとトロッと傾れるようなオムライスや、デミグラスソースの湖に浮かんだオムライスではない。簡素でペラっとした卵がケチャップライスを包んだオムライス。上にはなんてことないケチャップ。 今まで"オムライスが好き!"だ

          脱 オムライスは詭弁

          弱メンタル的努力型天才の可能性

          子どもの頃から親に出来ないことばかりを指摘されては叱られ打たれ、褒められることなんて全くなかった。 努力して勉強し通知表に5が並んだときも唯一残った"英語 3"と言う結果だけを拾いまた叱られた。 今の仕事に転職してからは、やれることはなんでもやってきたつもりである。幸い平均値よりは上の成績を残せた部分もあり、仕事で表彰される機会も頂けた。 他の人から、そのハングリーな姿勢のエネルギー源は何なのか問われるが、それは恐らく"英語 3"の恐怖心だろうと思う。 何かが出来ていても

          弱メンタル的努力型天才の可能性

          シュレディンガーの純喫茶

          初の大阪出張。難波の離れにホテルをとり、駅までの道中に、それはそれは渋い喫茶店を見つけた。 入り口にモーニングの黒板は出ているものの外から店中を伺うに、照明も暗く営業しているのか定かではない。トーストセットに導く文字だけが黒板に書かれているものの、OPENの文字は店先にない。 これは良い、と予感するも悲しい事に手持ちに現金がない。恨むべしキャッシュレス時代。 いや、前夜にホテル代にきっかし手持ちの現金全てを使い切った計画性の無さが原因に露わである。 喫茶店でのモーニング

          シュレディンガーの純喫茶

          純情オムライスと調理音

          高円寺駅の小杉湯に行く途中にある、喫茶店ゴン。 一目見た瞬間に惹きつけられる絵に描いたようなビジュアルのオムライスが看板に並ぶ。 絵に描いたようなオムライス。純情さすら感じるほどのビジュアル。手の凝った厚みのあるフワトロ卵でもない、平たい卵。それが良い。 オムライスだけは昔からずっと好きだ。 と言うより、オムライスを食べている時は良い思い出の時が多い。 子どもの頃ヒステリックネグレクト的母親にいつも感情の捌け口にされ、常に選択権がない日々だったが、誕生日とクリスマス、そ

          純情オムライスと調理音