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バイバイ、会えたね。


2016年10月11日に日本武道館で最高のセトリを駆け上って活動終了したgalileo galilei。
解散ライブ、一曲目のクライマーからデビューしたあの瞬間を思い出すような疾走感。突風に近い。
当時リスモのCMで流れていたハマナスの花。MVで教室に散る花弁。花弁を舞い上げる風が、武道館にも吹き込んでいた。
アコースティックver.ハローグッバイで締まったライブ。泣きに泣き、最後に現れたバイバイのサイン。
バイバイ。

ラジオschool of lockから流れてきたハマナスの花、管制塔。受験前に自分を奮い立たせた僕から君へ。まだ小さな世界しか知らないまま、見えない何かに飲み込まれそうになった夜、布団に潜り聞いたSIREN。
上京して初めて感じた明け方の孤独感。じっとりと首に絡む熱と焦燥。ハローグッバイの優しい音に気づくと汗は引き、眠りに戻ることができた。

もう2度とあの音を聴けないのかと喪失感に包まれた10月、秋の夜。初めて好きなバンドの活動終了を初めて体感した瞬間だった。

その7年後に浮かび上がった同じサイン。
また会えたね。

7年。

新卒で働いていた会社で3回転勤し、揉まれ苦しみ葛藤しながら過ごした。初めて異性と同棲をした。ハローグッバイを聴いて眠る夜は随分と少なくなった。転職、そして離別。引越し。出会いと葛藤、孤独。振り出し。随分と多くを削ぎ落としながらここまで登ってきたように思う。
あの時こうしていれば、この言葉を信じていたら、そんな思いに胸を掻き回され汗ばんで起きる。そんな明け方がまたやってくる。

7年。随分と中身の詰まった7年だったかもしれない。自分を取り巻く世界も随分と変わった。

変わっちまったくそったれな世界だと思う。7年前の自分と比べると間違いなくそう思うだろう。くそったれ、そう言ってしまえれば楽だろう。7年前の自分は悲しむだろう。もう戻れない自分。きっと何か変わってしまった自分。戻りたい、戻れない。孤独な明け方は今日もやってくる。そんな無理矢理に静寂を、夜を奪う明け方がある。

そこにはまた静かな東京の明け方、首にまとわりつく焦燥、じっとりと張り付く髪の毛。そしてgalileo galilei。何もかも変わってしまった。何もかも失ってしまった。何も変わらなかったのかもしれない。あの時と同じ自分がまた目を覚ます。

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