ゴリラの鼻くそ


小学生の時にインフルで寝込んだ夜。
いつも通り母は夜仕事に行き、1人和室で寝込んでいた。家は静かでうなされながら訳のわからない夢を見ていた夜。
家のチャイムがなると聴き慣れた声がした。
祖母が見舞いに来てくれた。
母に内緒で来たかのようにお忍びでやってきてくれた右手に、差し入れのお菓子。ゴリラの鼻くそ。
『ほら、でっかい鼻くそやろ〜』と言いながら差し出してきた祖母。なかなかお菓子の食べさせてくれない母の目を盗んでは、こうやってお菓子をくれた。熱にうかされた頭に、祖母の想いが優しく心地よかった。ゴリラの鼻くそ。あれ以来見ていない。チョコボールみたいなお菓子だった気がする。

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