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「防犯カメラ・その2」・・・怪談。 野良猫ちゃんを見るはずが。


私の家には防犯用のカメラが設置してあるの。
狙われるような財産など無い、ごく普通の家なのだけど、
お父さんが嫌になるほど心配症で、


「中学生の一人娘が留守番している時に、強盗が入ってきたら大問題だ」


とか言って家を建てる時に3台、工務店に付けて貰ったの。
センサー付きで、何か動くものがあると、10秒くらい撮影する。
夜中でもライトが点灯して録画されるんだって。

最初はバカにしてたんだけど、
カメラがあると思うと、何が写っているか気になるもので
毎朝リビングの壁にあるカメラモニターで、
録画されている映像を再生して見るのが日課になっちゃったの。

別に怪しいものが写り込んでいるか確かめたいんじゃなくて、
時々、家の周りを探索している野良猫ちゃんの可愛い姿が写り込むので、
見るのが楽しみになっただけ。

その日の朝も、いつものように前夜撮影された映像を見てたのね。

そしたら、3台の内の屋根の軒先から庭の方を向いているカメラに、
上から下へと白い線のようなものが写ってたの。

「何だろう。クモの巣でも引っかかったかな」

真夜中で後ろはみんな真っ黒、カメラのライトに照らされた白い線だけが
近すぎるのかピンボケで際立って写ってる。
よ~く見ると結構太い。ロデオで使うロープくらいかなぁ。

どうもそのロープ、画面の下から上に向かって動いているみたいなの。


「まさか、泥棒が忍び込んだの?」


ちょっと背筋が寒くなったわよ。
でも次の瞬間は、その百倍も千倍も怖かった!


ロープに続いて画面の下側から、黒い塊が上がって来たな、と思うと。

それが、カッと目を見開いた女の首だったの。

長い髪を垂らして、真っ赤に目を充血させて、
必死に巻かれたロープを外そうとしてるのかな、
両手の爪が喉に食い込んで血が流れてた。


「きゃあああ」

テーブルに座っていたお父さんとお母さんが
びっくりして駆け付けてきたわ。

震えながらモニターを指さして、お父さんが確かめたけど。


「何もないじゃないか」


私が見てたはずの映像は、10秒間ずっと真っ黒で、
首を吊った女どころか、白いロープや糸も、何一つ写ってなかったの。

次の日から防犯カメラのチェックは、お父さんの仕事になったけど、
それ以来、奇妙なものは二度と写らなかった。


でも考えて見て。防犯カメラは動くものに反応して撮影するのよ。
撮影された映像が最初から最後まで真っ暗だったら、
その時のカメラは、いったい何に反応して撮影したの・・・・


            おわり




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