「血液型ハラスメント」・・・不思議な偶然の話。なんと4分の3がアレだった日々。
「B型ですよね。」とよく言われる。
それも、おずおずとではなく、確信を持った語気の強い言い方がほとんどだ。
もちろんB型だし。B型が嫌いなわけではない。
しかしこう毎回では、何となく面白くない。
「意外ーい」とか、
「えー。見えなーい」とか言われてみたい。
「やっぱりー」とか、
「だと思ったー」は聞き飽きのだ。
ごくたまに、外す人がいてもすぐに
「ああ、そっちでしたか。どっちかだと迷ったんですけどね。
マイペースなのはB型の方でしたっけ」
とくる。
だが困るのはその後である。
半ば厄介者を見るような視線がもれなく襲ってくる。
「どうせ、わがままな奴なんだろう・・・」というアレである。
そう言う時、最近では「わがままでマイペースの何がお悪いの? 人とはそういうものでございましょう。ほほほ」と高らかに笑うようにしている。
これは、AB型でもよくあることらしい。
AB型の友人によると、こちらは「変人」と呼ばれることが多いという。
余裕のない世の中や自信の無い精神というものは、マイノリティには厳しいものらしい。
ただ、AB型には少し謝らなければならない、と心に引っかかっていることがある。
学生時代。同級生の女の子が、クラスの名簿を作った。
連絡網を作りたいとか、名簿順に発表させられる課題への対策とか、そんな理由だったと思う。
名簿用のアンケート用紙の一番下に血液型の欄があったので、
特に気にせず、「B」と書くと用紙を持って来た同級生が声を上げた。
「あ。やっとだ」
「やっと? 持って来た紙に目の前で書き込んだのに、何がやっとだ!」
「違うのよ。ほらこれ見て」
彼女は持っていたアンケート用紙を少しずらして、
一番下の「血液型」の欄が全て見えるように見せてくれた。
そこには「AB」の文字が並んでいた。
なんと、私の前まで、全ての同級生の血液型が「AB型」だったのだ。
「え~。ABって少ないんでしょ?」
私は以前読んだ「日本人の血液型の割合」という新聞記事を思い出そうとした。
「人口の10%くらいのハズなんだけどね」
こちらの気持ちを読み取ったように同級生が答えた。
全員のアンケートが終わり、結果を見ると、
クラスメートの4分の3がAB型だという事が分かった。
不思議に私の仲の良かった連中は、皆AB型以外の、残り4分の1の中にいたことがちょっと面白かった。
ところが、奇妙な偶然はこの時だけでは無かった。
卒業後会社に入り、初めて配属されたのが10名ほどの部署だったのだが、その内の8名が、AB型だったのだ。
人生で2度もそんな集団に属することなど、そんなにあるもんじゃないと思うが、自分の身に起きた偶然の不思議の一つである。
さて、
ここからが、先ほど言った「謝罪」について。
この部署にいる時と学生時代のクラス、なぜか私は、非常に居心地が悪かった。
別に嫌な性格の奴がいるとか、仲が悪いとかではなく、
何となくその教室や事務所にいると、落ち着かない。勉強も仕事も別の場所を探して行っていたし、その方が進みが良かった。
今から思うと考えられる原因はいろいろあるのだが、当時の私は、何かというと、「ここはAB型が多いからな」と言って、血液型のせいにしていたのだ・・・本当にごめんなさい。
近年では、血液型別性格判断に根拠は全くなく、
厚生労働省も「血液型は職務能力や適性とは全く関係ない」と発表しているので、企業の採用試験の応募用紙に血液型の記入欄があると
改善するよう指導されることもあるらしい。
性格が四つしかないなんて、あり得ないけど、
多くのハラスメントと同じく、
信じたいことだけ信じるという人間の愚かな性なのだ。
そんなことに振り回されないように、自分も含めて、反省反省。
おわり
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