「永遠」と「瞬間」のはざまに ―堀尾貞治の《千Go千点物語》をめぐって
・作品成立の経緯
《千Go千点物語》は、その名のとおり約1,000点の平面作品からなるシリーズで、堀尾貞治の晩年の代表作のひとつとなりうるものである。「なりうる」としたのは、制作に携わった当事者以外、誰もまだその全体像を見たことがないからだ。実はこの作品集は、初めてその全貌を明らかにするものである。
作品の成立には、奈良県の喜多ギャラリーが深く関わっている。ここではもと具体美術協会の浮田要三やヨシダミノルをはじめ、ギャラリーのオーナーである喜多洋子と溝渕眞一郎が関心を寄せ