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ぐん税ニュースレター vol.47 page02 -マーケティングコンシェルジュ-

これまでマーケティングや事業における戦略や分析など定番の理論やフレームワークなどをご紹介してきましたが、今回は割と新しめな考え方であるエフェクチューションについて解説したいと思います。個人的にはとても共感している考え方です。

エフェクチューションは優れた起業家が実践している意思決定プロセスや行動様式、思考を体系化したものでインドの経営学者であるサラス・サラスバシーが2008年に提唱した理論です。

従来のアプローチでは目的、結果といったゴールを設定して、そのために必要な手段やリソースを考えていました。こうした「目標達成のためには何をしたらよいか」という目標設定型の逆算的アプローチをコーゼーション(Causation=直訳:因果関係)と言います。
エフェクチューションはコーゼーションとは逆のアプローチで、手段や置かれている環境から思考をスタートさせます。

エフェクチューションには5つの行動原則があります。

・手の中の鳥の原則
新しい技術や手法ではなく、既存の方法で新しいものを生み出すこと。つまり目的ではなく手段からアプローチするということです。既存の方法とは、企業や組織が既に保有している人材、技術、ノウハウなどのことです。

・許容可能な損失の原則
損失が出ても致命的にならないように予め許容できる損失額、許容範囲を決めておくことです。従来の考えでは売り上げや利益など将来期待する数値をベースに戦略を立てていましたが、エフェクチューションではいくらまでなら損失を許容できるかを考えます。許容可能なリスクを取りながら物事を進めていくとも言えます。

・クレイジーキルトの原則
従業員だけでなく、顧客、協力会社、そして競合会社もパートナーとして捉えて、様々な関係者と協力することです。キルトは布地を縫い合わせて柄などを表現した工芸品です。様々な協力関係を築くことが様々な生地や糸を用いるキルトに似ていることが由来となっています。

・レモネードの原則
失敗作でも視点を変えたり活用方法を変えたりすることで新しい価値の製品やアイデアにすることです。これはアメリカの諺「When life gives you lemons, make lemonade (レモンを与えられたらレモネードを作りなさい)」に由来しています。辛い事や困難を酸っぱいレモンに例えて、それを克服してレモネードにすることでピンチをチャンスに変えようという考えです。予期せぬ事態を回避しようとするのではなく偶然の出来事を活用していくということでもあります。

・飛行中のパイロットの原則
不測の事態が起きても臨機応変な対応ができるように、将来起こることを予測するのではなく現在コントロール可能なことに集中し成果を出すことです。これは上記4つの原則の総括的な考えでもあります。

エフェクチューションが注目されるようになった背景に、近年の技術や環境の変化のスピードが早いことが挙げられます。目標からスタートする計画だと、計画進行中に環境が大きく変わったり、もっと活用すべき技術が生まれたりした時に軌道修正や計画自体を作り直す必要がでてくることがあります。エフェクチューションでは目標ありきではないので、その場その時に最善の選択をしていくことになります。
エフェクチューションは従来のコーゼーションとは逆の考え方ですが、コーゼーションを否定するものではありません。また、成り行き管理とは異なりますのでご注意ください。
エフェクチューションは起業家の思考プロセスとして提唱されていますが、事業の立ち上げでも活用することができますので、ぜひご参考ください。

マーケティング 原

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