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ぐん税ニュースレター vol.50 page03 -FP通信- Part 2

Part 1の記事では総裁選の争点について解説しました。Part 2では、その結果を受けて金融市場がどう反応したのか見てみます。

Part 1の記事

石破氏:株安=円高、高市氏:株高=円安、という構図で説明してきましたので、日経平均株価とドル円レートで見ていきます。

9月27日の自民党総裁選、1回目の投票は高市氏が1位となりました。しかも議員票と党員票の合計が高市氏が181票石破氏が154票ということで、おそらくは世間の想定外の差をつけて高市氏が1位になったことは今回のサプライズだったと思います。結構差がついたので1回目の投票後の市場は強気で高市氏を織り込んでいき株価は40,000円を超えました。この時ドル円レートは約146.5円。セオリーどおり高市氏:株高=円安という構図になっています。
そして迎えた決選投票で石破氏の選出が決定すると一気に株の失望売りが加速し株価は38,000円強まで下がり最終的に37,700円強まで下落、つまり2000円以上の大暴落となり、またしても滅多に起こらないサーキットブレイカー(取引中止)が発動する事態となりました。これは石破ショックと言われています。

日テレNEWSより(日経平均株価)


産経新聞より(ドル円相場)

サーキットブレイカーって最近日本で起きたのはリーマンショック、イギリスのEU離脱、新型コロナ蔓延、といった数十年に一度レベルの世界的危機でしか起こらないのですが、前回の記事でも解説しましたが今年既に2回目です・・・。そしてその日のドル円レートは最終的に142.1円、こちらは約4.4円というすさまじい円高を記録しています。

前回のサーキットブレイカー発動時の記事

この総裁選当日の高市→石破の反応も相当荒れたわけですが、まだ波乱は続きます。
政治家の二枚舌はもはや当然ですが、この石破氏は大概で総裁選で言っていたことをどんどん手のひら返しして、もはや元々の主張を通していることがあまりないのでは。(まぁこれもその場しのぎの嘘が多いでしょうけど)

すぐには解散しない→する、利上げすべき&日銀に口を出す立場にない→利上げすべきではない(明言)、金融所得課税を強化する→保留にする(トーンダウン)、選択的夫婦別姓は早く進めたい→慎重にすべき、などなど色々でてきますが、ここでは利上げと金融所得課税について。

たとえ嘘でも1国の最高権力者の発言に市場は素直に反応します。株価暴落で行き過ぎた市場の反応の火消しをしたいがために(株が下がったといじめられますからね)出たこの発言の結果、再び株価もドル円レートも石破ショック前の水準に戻し、10月15日現在では日経平均40,300円、ドル円レート149.7円と、むしろ総裁選前よりも株高・円安となっています。これには石破氏の「やっぱ利上げしない」発言だけでなく米国経済の強さ(=ドル高・円安)が後押しもしています。

ここまで日経平均や日本円のレートが乱高下するのは海外の大口投機筋(ただの差益狙い)によるもの以外の何物でもありません。結局金利差を背景にした円安により割安となっている日本株が買われているだけで、今の日経平均株価は実態経済を反映しているとは思えません。これを日本政府は自分達がもたらした成果だと言い張っているので経済政策が実態と乖離していくわけです。海外から投資を呼び込むのも良いことですが、やり方を考えないと日本の企業がどんどん外国のものになっていきます。日経平均株価なんて実態に則して結果がついてくればいいので、正しい経済政策の舵取りをしてほしいものです。

ファイナンシャルプランナー 原


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