12の基本スキル「考える」:論理的思考力(1/2)
本ブログ記事は『ビジネススキル 完全攻略 -基本編-』からの抜粋になります。全部まとめて読みたい方は、是非、電子書籍をご購入ください。
考えるための枠組み
「考える」スキルでは、ドキュメント作成や提案書作成などの基本となる論理的に考える力を学んでいきたいと思います。
また、論理的思考力を土台にして、演繹的思考、帰納的思考、仮説思考の3つの考え方に関してもマスターしていきたいと思います。
これらの考え方を上手に組み合わせることで、問題を解決したり、決断を下したりする時に、効果的な答えを見つけることができるようになります。
論理的思考力で考える土台を作る
論理的思考とは、問題を解決したり、何かを決めたりするための頭の使い方のことを言います。
この考え方には、大きく分けて「前提」「推論」「結論」という3つのステップがあります。
まず「前提」では、問題に関する基本情報や事実を考えます。
次に「推論」で、その情報から何が言えるかを考えます。
最後の「結論」では、その考えをもとに答えや解決策を出します。
この3つのステップを使って、物事を論理的に考えることができるようになります。
正しい結論が導き出されていない場合は、前提条件に問題があるか、推論の仕方に問題があるかのどちらかになります。
図で整理すると以下のような流れになります。
前提:
前提は、ある問題や話題についての基本的な情報や事実です。たとえば、「今日は雨が降っている」というのが前提になります。
推論:
推論では、前提に基づいて考えを進めます。
先ほどの例では、「今日は雨が降っているので、外に出る時は傘が必要だ」と考えるのが推論のステップです。
結論:
最後に、推論に基づいて結論を出します。この例では、「だから、傘を持って外に出よう」というのが結論になります。
論理的思考とは、まず基本的な情報や事実(前提)から出発し、その情報をもとに考えを巡らせる(推論)ことで、最後に何かを決めたり結論を出したりする(結論)方法です。
これによって、物事をきちんと順序だてて考えることができるようになります。
この事例では、図書館が提供する環境のメリットと試験前日という状況という二つの前提から、最適な勉強場所として図書館を選択するという結論に至っています。
この事例では、健康的な食生活の重要性と個人の健康目標という二つの前提から、具体的な食生活の改善策として野菜や果物の消費を増やすことを結論付けています。
日常生活における健康的な選択を促す良い例であり、論理的思考がいかにして具体的な行動変化につながるかを示しています。
演繹的思考
演繹的思考とは、大まかなルール(一般的な法則)や基本的な考え方から、もっと具体的な答えや結論を見つけ出す方法です。
これは、小さい事例や個別の観察から大きなルールや結論を導き出す帰納的思考とは反対の考え方になります。
演繹的思考は、特に数学、論理学、哲学といった分野でよく使われます。
大前提:
まず、一般的な法則やルールからスタートします。たとえば、数学の公式や哲学の基本的な理論などがこれにあたります。
小前提:
この一般的な原則を使って、具体的な状況や問題について考えます。ここでの推論は、「もし一般的なルールがこのようであるならば、この特定のケースにはこのようなことが言える」という形を取ります。
結論:
最後に、その特定の状況や問題についての具体的な結論を導き出します。
演繹的思考では、一般的な法則(前提)から出発し、それを特定の状況に適用することで具体的な結論を導き出します。
たとえば、よく引用される、「全ての人間は死ぬ(大前提)。ソクラテスは人間である(小前提)。したがって、ソクラテスは死ぬ(結論)」という論理がこれにあたります。
この事例では、哺乳類の定義と特定の動物(クマ)が哺乳類であるという事実から、その特定の動物が哺乳類の特徴を持つという結論を導いています。
この事例では、植物が光合成を行うという一般的な特性と、バラが植物の一種であるという事実から、バラもまた光合成を行い日光からエネルギーを得るという結論に至ります。
これは演繹的推論の一例であり、一般的な原則から特定の事例に関する結論を導出しています。この方法は、科学的知見や日常生活の多くの状況において論理的思考を適用する際に有用です。
帰納的思考
帰納的思考とは、いくつかの具体的な事例やデータを見て、そこから大きなルール(一般的な法則)やパターンを見つけ出す考え方です。
たくさんの個別の例から共通する点を探し、それをもとに一般的な法則を作ります。
この方法は、科学実験や市場調査など、さまざまな場面で役立てられています。
前提:
これは、私たちが見たり、経験したりした具体的な例や事実です。
たとえば、いくつかの異なる日に渡って、公園で色々な種類の鳥を観察したとします。それぞれの日に見た鳥の種類や行動が「前提」となります。
推論:
このステップでは、観察した具体的な事例をもとに、もっと大きな一般的なルールやパターンを見つけ出そうとします。
公園の鳥の例で言えば、「公園には、主に早朝や夕方に多くの鳥が集まる」というパターンを見つけることが「推論」にあたります。
このプロセスは、個々の観察から共通の傾向を見つけ出す作業です。
結論:
最後に、これらの推論から、一般的な法則や理論を形成します。
これは、「鳥は活動の多い時間帯に公園に集まる傾向がある」という一般的な結論を出すことができるということです。
この結論は、観察されたデータや情報をもとにしていて、より広い範囲でのパターンや法則に関する理解を深めることを目指しています。
このプロセス全体が帰納的思考で、具体的な観察から出発して、より一般的な理解や法則に至る方法を示しています。
この事例では、特定の観察結果から一般的な原則や傾向に関する結論を導き出しています。
帰納的思考は、限られたデータや情報からより広範な結論を推測する際に用いられる方法です。
仮説思考
仮説思考とは、特定の現象や問題に対して仮説を立て、それを検証していくプロセスです。
前提:
これは、問題や現象についてすでに分かっていること、つまり観察された事実や情報のことです。たとえば、植物が日光をどれくらい必要とするかについての観察がこれにあたります。
推論:
ここでの推論は、既に知っている情報や観察から出発して、ある仮説を立てることです。仮説とは、「もし〜だとしたら、〜するだろう」という形で表される考えです。
たとえば、「もし植物に日光が十分に当たらなければ、成長が遅くなるだろう」という仮説を立てることがこれに該当します。
結論:
結論は、立てた仮説を実際に検証して、その仮説が正しいかどうかを確かめる過程で得られる結果のことです。
この検証は、実験や追加の観察を通じて行われます。
仮説が正しいことが証明されれば、それは科学的な知見として受け入れられます。
たとえば、日光の量を変えて植物の成長を観察する実験を行い、日光が少ないと成長が遅れることが確認されれば、仮説は支持されることになります。
このように仮説思考では、観察や情報からスタートして、仮説を立て、それを検証することで、問題や現象の理解を深めることができます。
この事例では、特定の前提と仮定に基づいて論理的な推論を行い、それによって導き出される結論や仮説を提示しています。
仮説思考は、未知の現象や将来の出来事に対する理解を深めるために、特に研究やビジネスの意思決定プロセスで重要な役割を果たします。
論理的思考にはじまり、演繹的思考や帰納的思考、仮説思考などの考え方を整理してみました。
実際のビジネスの現場で、論理的思考を駆使して、ドキュメントを作成したり、提案書を作成していくことになりますが、時間的に制約がある中で、私たちは、アウトプット(成果)を出すことを求められます。
たとえば、上司から「来週までに調査資料をまとめておいて」とか「お客様向けの提案書を作成しておいて」などのオーダーを受けたとします。
いろいろな調査データを集めて、データをこねくり回して、分析したものの、前日になっても資料がまとまらないということが多々あります(かくいう私も何度も経験しています・・・)。
特に、ファクトデータを集めてから分析や提案をしていく、帰納法的なアプローチを取った時に、時間切れになることが多いです。
時間的な制約がある中で、調査資料や提案書を作成する時は、仮の結論(仮説)を置いて、それに基づいて調査データを集めたり、提案書の骨子を作っていくほうが効率的です。
つまり、仮説思考をマスターすると、とても効率よく仕事を進めることができるようになります。
仮説が間違っていることもあるので、やり直すこともしばしばありますが、それでも、何の仮説も持たず、調査資料や提案書を作成するよりも、時間を大幅に短くすることができます。
論理的思考力や仮説思考を向上させるための書籍などは、コンサルティングファーム出身の方がたくさん書かれているので、より深く学びたい方は、専門書で勉強してもらえればと思います。
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