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12の基本スキル「質問する」:会話をコントロール(1/2)

本ブログ記事は『ビジネススキル 完全攻略 -基本編-』からの抜粋になります。全部まとめて読みたい方は、是非、電子書籍をご購入ください。


質問を駆使して会話をコントロールする

「質問する」スキルに関して、詳しく解説していきたいと思います。

通常、「質問をする」と言った場合、分からないことがあった時に、まわりの人に質問を投げかけて回答をしてもらうというのが一般的な使い方かと思います。

もちろん、このような形で質問するスキルを活用していく場面もあるかと思いますが、本記事では、会話をコントロールするテクニックとして、質問するスキルをどう活用していくか説明していきます。
 
 会話をコントロールするテクニックは、大きく3つに分類することができます。会話の方向性を導く質問相手との関係を強化する質問必要な情報を引き出すための質問の3つです。また、カテゴリーに紐づく細かい質問テクニックは全部で7つあります。

図表.会話をコントロールする3つの質問

会話の方向性を導く

会話の方向性を導くとは、会話の流れやトピックを自分または相手の意図に沿って誘導(ナビゲート)するテクニックです。これは、会話を生産的で有意義な方向に持っていくことを目的とし、以下のような状況で特に重要です。
 
 ・新しいトピックやアイデアを導入する
 ・会話を特定の結論(ゴール)に向けて進める
 ・雑談からより深い話題へとシフトする
 ・不快または不適切な話題から遠ざかる

イメージ的には、会話のメインストリーム(本題)があり、その会話から逸脱しないように、質問を効果的に活用して、会話の流れをうまく誘導し、ゴールまでもっていくような流れです。

図表.質問で会話を誘導するイメージ

この目的を達成するためには、オープンエンドの質問(オープンクエスチョン)フォローアップの質問リダイレクトの質問などが役立ちます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

図表. 会話の方向性を導く質問

1.オープンエンドの質問(オープンクエスチョン):

オープンクエスチョンは、相手に広く意見や感想を語ってもらうことを促します。クローズドクエスチョンがクロージング段階や話を深堀するときに活用されるのに対して、オープンクエスチョンは、会話の導入段階で話を広げる時に使われることが多いです。

特に、話の論点が定まっていない時などは、まずは、相手が話をしやすいように、様々な角度から、オープンクエスチョンを使って、相手の関心事をつかんでいくことが重要です。たとえば、「あなたはどう思いますか?」や「その経験から何を学びましたか?」のような質問です。

図表.オープンクエスチョンで相手の関心事をつかむ

オープンクエスチョンの質問が思いつかないときは、5W1Hで考えると質問を作りやすいです。以下、5W1Hの切り口で整理した、質問例になります。

図表.5W1Hの切り口で整理したオープンクエスチョン

■ オープンクエスチョンを活用した会話事例:最近の休暇
1.あなた:「休暇はどうだった?」
2.友人:「すごく楽しかったよ!」
3.あなた:「何が一番楽しかったの?」
4.友人:「山でのハイキングが最高だったね。自然の楽しさに圧倒されたよ。」
5.あなた:「そのハイキングで特に印象に残ったことは何?」
6.友人:「山頂からの景色が信じられないほど楽しかった。それに、途中で野生の動物たちを見ることができたんだ。」

この会話では、オープンクエスチョンを使うことで、友人が詳しい回答や自分の体験を共有するチャンスが生まれています。オープンクエスチョンは、深い会話を促進し、相手の考えや感情を理解するのに役立ちます。

2.フォローアップの質問:

相手の回答に対してさらに深掘りする質問をします。

フォローアップによって、より詳しい情報が得られ、質問者のニーズに合った答えを提供することができ情報の精度向上につながります。また、質問者自身が自分の要望や状況をより詳しく理解することができるので、理解を深めることができます。

さらに、会話を通じて質問者との関係を深め、信頼関係を築くことができ対話を促すことができます。このように、フォローアップの質問は対話を豊かにし、より具体的で有用な答えを導き出すために重要な役割を果たします。

■ フォローアップを活用した質問事例
1.初期の質問:「新しいスマートフォンを購入したいのですが、どのモデルが良いですか?」
2.フォローアップの質問例:
・予算に関するフォローアップ:「ご予算はどの程度を考えていますか?」
・用途に関するフォローアップ:「どのような用途で使用する予定ですが?例えば、写真撮影、ゲーム、ビジネス用途などです。」
・好みに関するフォローアップ:「どのような機能やデザインを好まれますか?」
3.結果:これらのフォローアップ質問により、お客様のニーズに合った具体的なスマートフォンモデルを推奨することが可能になります。

ビジネスの現場でフォローアップの質問を活用する場合、相手の課題やニーズを引き出す必要があるため、業界のトレンド情報や自社の製品情報など十分な知識を保有しておくことが大事です。

3.リダイレクト(切り替え)の質問:

会話の流れを変えたい場合に使用します。

異なる角度から問題を考えることで、新しいアイデアや解決策が生まれ、新たな視点の提供につながります。また、会話をより建設的かつ前向きな方向に導くことができます。

さらに、難しい話題や行き詰まった議論から、より生産的な話題へ切り替えることができます。リダイレクトの質問は、会話を意味のある方向に導き、新しい視点やアイデアを求めるための強力な質問テクニックです。

■ リダイレクト(切り替えし)を活用した会話事例
1.状況:ある会社の会議で、特定のプロジェクトの遅延について話し合われています。
2.初期の質問:「なぜこのプロジェクトは予定よりも遅れているのですか?」
3.リダイレクト(切り替えし)の質問例:
・異なる視点への切り替え:「このプロジェクトでうまくいっている部分は何ですか?これから学べることはありますか?」
・別の問題への切り替え:「このプロジェクトに遅延に対応するために、他の部署からの支援を得ることは可能ですか?」
・長期的な視点への切り替え:「この経験をどのように今後のプロジェクト管理に活かせますか?」
4.結果:これらのリダイレクトの質問により、会議の参加者は何に問題点に焦点を当てるのではなく、解決策や改善の機会に目を向けるようになります。

この質問では、異なる視点や別の問題、長期的な視点に切り替えることで、プロジェクトが予定よりも遅れていることを、色々な視点や確度から捉えようとしています。

相手との関係を強化する

相手との関係を強化するとは、信頼感や親密さを築き、相手との関係性を深めることにつながります。このアプローチは以下のような場面で有効です。
 
 ・友情やビジネス関係の強化
 ・信頼と理解を深める
 ・人間関係を感情的にサポートする
 ・コミュニケーションの壁を低くする
 
共感を示す質問や探究的な質問は、相手の感情や考えを深く理解し、強い絆を築くのに効果的です。それぞれ詳しく見ていきましょう。 

図表.相手との関係を強化する質問

4.共感を示す質問:

共感を示す質問は、話し手の感情や経験に共感し、理解を深めるために用いられる質問です。
相手の感情や経験に耳を傾けることで、深い理解を示し、信頼関係を築くことができます。また、相手が自分の感情を安心して表現できる環境を作り出すことができます。さらに、 共感を示すことで、よりオープンで正直な対話が行われやすくなります。

■ 共感を示す会話事例:友人の就職活動
1.状況:友人が就職活動で苦労していると話しています。
2.友人の発言:「最近、就職活動がうまくいかなくて、本当にストレスが溜まっているんだ。」
3.共感を示す質問例:
・感情に焦点を当てる:「それは大変だね。就職活動中に感じているストレスについてもっと教えてくれる?」
・経験に共感を示す:「就職活動は本当に難しいよね。以前、私も似たような経験をしたことがあるよ。その時、どんなことが一番大変だった?」
・支援を申し出る:「何か手助けできることはあるかな?面接の練習とか、履歴書の添削とかね。」
4.結果:このような共感を示す質問によって、友人は自分の感情や経験を理解してもらえていると感じ、よりオープンに話すことができるようになります。

この質問では、感情的な側面に焦点を当てたり、同じ経験をしていることで共感を示したり、具体的な支援を申し出るなどして、相手の共感を呼び起こしています。

5.探究的な質問:

相手の意見や考えを掘り下げる質問をします。

探究的な質問とは、相手に深く考えさせ、より詳しい情報や考えを引き出すのに効果的です。この種の質問は、相手の考え方を促し、話題に関するより深い理解を得るのに役立ちます。

■ 探究的な会話事例:最近読んだ本
1.あなた:「その本についてもっと教えてくれる?」
2.友人:「ええ、とても面白い本で、化学と哲学についての新しい視点を提供してくれるんだ。」
3.あなた:「科学と哲学、興味深い組み合わせだね。どのような新しい視点が提供されているの?」
4.友人:「たとえば、宇宙の起源に関する理論とそれが私たちの日常生活にどう影響するかについて述べているんだ。」
5.あなた:「それは興味深いね。その理論はどのように日常生活に影響を与えると著者は言っているの?」
6.友人:「著者は、私たちの行動や意思決定において、宇宙の法則がどのように間接的に役割を果たしているかを説明しているんだ。」

この事例では、探究的な質問を通じて友人に深く考えさせ、本の内容に関するより詳しい情報を引き出しています。このような質問は会話を豊かにし、相手の知識や考えを深く理解するのに役立ちます。

次は、「質問する」スキルの後編に入っていきたいと思います!!



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