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12の基本スキル「書く」:文書作成の技術

本ブログ記事は『ビジネススキル 完全攻略 -基本編-』からの抜粋になります。全部まとめて読みたい方は、是非、電子書籍をご購入ください。



「考える」スキルの次は、「書く」スキルに関して学んでいきたいと思います。



書くことがビジネスの基本

「書く」スキルに関して、詳しく解説していきたいと思います。

ビジネスにおいて、相手に正しく情報を伝えるためには、口頭での会話だけでなく、話した内容を資料化しておくのが基本になります。
たとえば、議事録だったり、報告書だったりなどです。

会社によっては、パワーポイントを禁止しているところもあります。
Amazonでは、パワーポイントは使わずに、ワードを使って報告をさせているようです。ページ数も上限は6ページと定められているようです。

また、トヨタも、A4紙1枚で報告することが義務付けられていて、「目的、現状、課題、対策、スケジュール」の5つの項目に沿って、報告資料を作成しているようです。

このように、情報をきちんとドキュメント化(言語化)することで、お互いの食い違いをなくし、理解を促進するような取組みが推進されています。

ビジネス文書の種類

ビジネス文書にはさまざまな種類があり、その用途や目的に応じて形式や内容が異なります。
以下、よく目にするビジネス文書を取り上げます。

  • 議事録
    会議での討議内容や決定事項を記録した文書のことを議事録と言います。
    最近は、議事録をAIが作成してくれるツールなどが出てきていますが、議事録は仕事を進めていくうえで、とても重要な資料になります。

  • 報告書
    主にお客様向けのプロジェクトなどで、中間報告や最終報告で必要になる資料です。
    特に、報告書が納品物になる場合、検収処理に必要なものになるため、きちんとした内容のものを作る必要があります。

  • 提案書
    「作る」スキルで提案書の作成方法に関して詳しく説明しますが、お客様向けの提案書は「何をやるべきか(What)」「それをどう実現するか(How)」の2つの要素から構成される資料になります。

  • プレスリリース
    プレスリリースは、商品やサービス、外部企業との事業提携などを対外的に情報発信するときに求められるものです。
    会社のオフィシャルの情報として発信されるため、リリース内容として価値のある情報を正しく伝えることが求められます。

  • 業務マニュアル
    社内の特定の業務やプロセスを行うための手順や指示をまとめた資料になります。
    業務マニュアルは、誰が読んでも理解できるように、平易な言葉でまとめることが求められます。

  • ビジネスレター
    ビジネスレターは、オフィスが移転したり、役員就任のあいさつだったり、会社がオフィシャルでステークホルダー(仕事の関係者)に情報を発信するときに求められるドキュメントになります。

  • メール
    主に外部の人とやりとりするときに用いられます。
    最近では、SlackやTeamsなどのコミュニケーションツールを活用して情報のやりとりをすることが多くなったので、社内での情報のやりとりにメールを使用することはだいぶ減ってきています。

  • 契約書
    二者間または複数の当事者間で合意された条項を記載した法的文書のことを契約書と言います。
    問題が起こった時のリスクヘッジとして契約書はとても重要な資料になります。

フォーマットが決まっている定型的なものもあれば、フォーマットが決まっておらず、個別に対応するものまで、さまざまなビジネス文書の例を挙げてみました。
こうやってビジネス文書を並べても、やはり、書くことがビジネスの根幹にあるということが理解できます。

文章の論理構成

「話す」スキルのパートで、話すときは結論から話をすることが重要だという話しをしました。
文書を作成するときも同様に、結論から資料を作成していくことが大事です。
これはビジネスだけに限った話ではなく、新聞の記事なども、先に結論が書かれていて、そのあとに、具体的な説明が入る書き方をされています。

結論(概要)→詳細説明

一番の基本形が、先に結論を書いて、そのあとに、説明を入れる資料構成です。
議事録や報告書なども、この「結論(概要)→詳細説明」という順番で資料を作成することが求められます。

結論(概要)→箇条書き

この文章構成は、詳細説明のところを、箇条書きで書くことで、文章を読みやすくする資料構成です。
たとえば、商品やサービスの機能説明などをするときに、箇条書きにしたほうが理解しやすかったりします。

結論→理由→具体例→結論(PREP法)

こちらは、PREP法と呼ばれる文章構成です。
詳細のところが「理由と具体例」になり、最後にまた結論が入る文章構成です。
 P:Point(結論)
 R:Reason(理由)
 E:Examle(事例)
 P:Point(結論)
という流れになります。

図表.PREP法に基づいた文章構成

こちらの文章事例では、理由のあとに具体例を入れてみましたが、大きな流れは、先に結論を述べて、そのあとに理由と具体例を説明し、最後にまた結論を述べるという流れになっています。

文章を読みやすくする工夫

文章を読みやすくする工夫に関して整理したいと思います。
文章に関しては、内容もさることながら、見た目を工夫するだけでかなり読みやすくなります。

漢字とひらがなのバランス

漢字とひらがなのバランスは、漢字3割、ひらがな7割が読みやすいと言われています。
また、漢字は中学生までに学ぶ常用漢字に限定したほうがいいとも言われています。
私も、ついつい、漢字をたくさん使ってしまします。
たとえば、「詳細」とか「明確化」とかです。詳細は「詳しく」に置き換えたり、「明確化」は「明らかにする」などに変換し直して、できるだけ、読みやすく工夫しています。

見出しやインデントの活用

文章を見た目で分かりやすくするためには、見出しやインデント(字下げ)を活用すると、文章が構造化されて読みやすくなります

図表.インデントで文章を構造化

文章の長さは短くする

文章の長さですが、一文は60文字以内がよいと言われています。
ワードのデフォルトのフォーマット(A4)の場合、一行が40文字なので、一行半程度ということになります。
ワードをB5のフォーマットにした場合、一行が30文字程度なので、2行になります。
文章が長いと読みづらくなります。一方で、文章を短くすると、テンポよく読み進めることができます。

ある有名な編集者のブログ記事に、「読むスピードと理解するスピードが一致するのが読みやすい文章だ」ということを書かれていて、とても参考になった記憶があります。

分かりやすい言葉を使う

難しいことを分かりやすく説明するのは、とても難しいことです。
分かりやすく書こうとすると、文章は長くなりがちです。
特に、文字数に制限があったり、ページ数に制限がある場合は、簡潔に書きつつ、分かりやすい文章にしなければならないため、難易度がグッとあがります。

主語は述語の近くに置く

主語と述語の間に、長い文章が入ると、読みづらくなるため、主語は述語に近くに置いてあげたほうが読みやすくなります。

図表.主語と述語を近くに置く

こちらの場合、主語の山田さんと、述語の「話しに花を咲かせた」の間が離れているので、文章を2つに分割して、分かりやすくした事例になります。

段落構成を工夫する

「作る」のスキルで、提案書の作成に入るまえに、タイトルとメッセージでアウトライン(提案骨子)を作成することが大事だという話しをしました。

このタイトルとメッセージに相当するものが「見出しと段落」になります。
段落とは、文章を構成する基本的な単位のことで、一つのテーマやアイデアに焦点を当てた一連の文の集まり(かたまり)のことを言います。

一般的に、段落は新しい行から始まり、インデント(字下げ)されることが多いです。
分かりやすい文章を作成するためには、言いたいことを段落単位でまとめていく必要があります。

プロンプトをマスターする

ChatGPTをはじめとした生成AIの登場によって、自分で文章を書かなくても、文章を簡単に作成することができるようになりました。

仕事においても、生成AIを活用していくシーンは増えていきます。
生成AIでは、プロンプトと呼ばれる命令文を使って文章や画像生成などを行っていきます。

プロンプト文は、ネットでも拾えますし、書籍もたくさん出てきたので、そういう情報を参考にして、プロンプトを自由自在に使いこなせるようになりましょう。

図表.プロンプトの命令文事例

こちらのプロンプトは、ライターに文章を書かせる命令文です。生成AIに役割を与えるといいと言われています。
また、制約条件を設定すると、その条件に基づいてアウトプットを作ってくれます。

議事録を書いてみる

最後に、ビジネスで必ず作成することになる議事録に関して、詳しく見ていきたいと思います。
議事録は「結論(概要)→詳細説明」という文章構成になります。

一般的な議事録の構成フォーマットは、以下のようになります。

図表.議事録の構成要素

一番上に、会議の名称、開催時間、開催場所、参加者の一覧をまとめておきます。
次に、討議内容を要約したものを概要としてまとめ、会議で決まったことなどが何だったのか、次に何をするのかまとめます。

討議内容の詳細をまとめ、最後にネクストアクションのみ切り出して、次に何をしなければならないか明確にします。
 
議事録の一番の目的は情報共有をすることですが、お客様とプロジェクトを推進することになった場合は、エビデンス(証拠)にもなります
揉めることもあるので、議事録を作成しておくことは重要です。
 
議事録の作成は、若手人材の育成において一番適したタスクだと思っています。
業務内容を理解することから始まり、それをきちんとドキュメントに落とし込む仕事だからです。

生成AIの登場によって、議事録を作成するというタスク自体がなくなってしまうのかもしれませんが、議事録を作成することを能力アップにつなげていただければと思います。

「書く」スキルのあとは、資料作成の「作る」スキルの話しになります。


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