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12の基本スキル「理解する」:理解力を高める(1/2)

本ブログ記事は『ビジネススキル 完全攻略 -基本編-』からの抜粋になります。全部まとめて読みたい方は、是非、電子書籍をご購入ください。


「理解する」スキルを習得するために、フレームワークの活用、事業経済性の理解、収益構造の理解、の3点を学んでいきたいと思います。事業経済性の理解や収益構造の理解は、専門用語がたくさん出てくるので、取っつきにくいかもしれませんが、少しづつマスターしていってもらいたいと思います。


理解度を高めるためのメソッド

ビジネスの理解度(解像度)を高めるためには、先人たちが築き上げてきたさまざまなメソッドやテクニックを習得していくのが一番の近道です。

よく使われるメソッドを、いくつか紹介したいと思います。

フレームワーク:

市場や事業の理解を深めるためには、フレームワークの利用がとても効果的です。
フレームワークは、複雑な情報を整理し、重要な要素を明確化するのに役立ちます。

アクティブ・ラーニング(能動的学習):

自ら情報を探して、問いを立て、それに答えを見つけていくプロセスです。討論、自己反省(振り返り)、プロジェクトベースの課題などが含まれます。
自分で考え、情報を扱うことで、理解が深まります。

ピア・ラーニング(仲間との学習):

会社のメンバーや業界関係者と一緒に学ぶことで、異なる視点や新しいアイデアを得ることができます。

グループディスカッションや共同プロジェクトが効果的です。互いに知識を共有し合い、理解を深めることができます。
研修などで参加者と取り組むグループワークなども、ピア・ラーニングの一例です。

ケーススタディ:

実際のビジネスモデルや問題を研究し、それに基づいて学びます。問題解決能力や批判的思考力を養うのに役立ちます。理論と実践のギャップを埋めるのに有効です。

大学院(MBA)などでは、ケーススタディ(ケースメソッド)に基づく学習方法が用いられていますが、理論だけでなく実践的な知識も身につけるのに役立ちます。

ストーリーテリング:

情報やデータを物語の形で伝える手法です。
聞いている人の感情に訴えかけ、記憶に残りやすくします。理解しやすく、親しみやすい形で情報を伝えることができます。

左脳というよりは、右脳に訴えて、理解度を高めていく手法です。

実践的アプローチ:

実際に手を動かして学ぶ方法です。
ハンズオン型の学習とも言います。シミュレーション、実験、実プロジェクトなどが含まれます。
実践を通じて、理論を現実の状況に適用する経験を得られます。

ここに記載したものは、ほんの一例です。
その他にも、さまざまなメソッドがありますので、自分の業務に適した手法を探し出し、自分のものにしていってください。

フレームワークで理解度を高める

先ほど紹介したメソッドの中で、市場や事業の理解を深めるのに有効な、フレームワークの活用方法に関して、本書では、深掘りしていきたいと思います。

フレームワークは、情報をきちんと整理して、分析するための枠組み(整理するための軸)を提供します。

フレームワークを活用すると、市場や事業の難しい部分を効果的に分析し、理解を深めることができます

これによって、ビジネスの大切なポイントやキーとなる要素がはっきりします。また、分析の結果をもとにして、しっかりとした根拠のある意思決定ができるようになります。

同じ目線で物事を捉えることができるようになるので、チームでの話し合いやコミュニケーションもしやすくなります。
ビジネスの状況が変わった時の戦略を考えるのにも、フレームワークは役立ちます。

このように、フレームワークはビジネスを分析し、正しい意思決定をするのに大事な役割をはたします

それでは、市場や事業の理解に役に立つフレームワークをいくつかご紹介したいと思います。

3C分析:

3C分析は、事業戦略を考える時に役に立つフレームワークです。
このモデルは、Company(企業)、Customers(顧客)、Competitors(競合)の3つのCを中心に分析します。

市場や競合を分析したあとに、事業機会(ビジネスチャンス)と成功要因(勝ち筋、勝ちパターン)を抽出し、その成功要因に対して、自社の充足度を把握し、戦略や施策の見直しをかけていきます。

図表.3C分析

4C分析:

4Cモデルは、顧客中心のマーケティングアプローチで、Customer value(顧客価値)、Cost(コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つの要素から分析する考え方です。

このモデルではまず、顧客の価値を最優先し、顧客のニーズや問題を解決することに焦点を当てます。
図表は、4Pとの比較で整理したフレームワークになります。

図表.企業視点の4P、顧客視点の4C

SWOT分析:

Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの観点から分析し、自社や競合他社の現状を理解し、戦略を練るのに役立ちます

SWOT分析は、単体で使うよりは3C分析の自社分析のパートで活用することのほうが多いです。

図表.SWOT分析

PEST分析:

PEST分析は、ビジネスや市場環境を評価するための分析手法です。
PESTとは、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの要素を指します。

PEST分析を行うことで、企業は世の中のトレンドをつかみ、ビジネス戦略の立案や意思決定に役立てることができます。

図表.PEST分析

ファイブフォース分析:

ファイブフォース分析は、ビジネスの競争環境を5つの観点から評価するフレームワークです。

市場や業界を分析する時によく用いられます。競合他社の力、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力を評価・分析します。

この分析により、企業は自社の市場での立ち位置と競争力を把握し、適切な戦略を立てることができます。

たとえば、スマートフォーン(代替品の脅威)が登場し、デジタルカメラの市場が縮小していくようなときに、ファイブフォース分析を活用すると、市場全体でどういったことが起こっているか理解しやすくなります。

図表.ファイブフォース分析

カスタマージャーニーマップ:

顧客が商品やサービスを知って、買って、使うまでの一連の経験ややり取りを、顧客目線で整理する考え方のことを言います。
これには、単に顧客の行動だけでなく、それぞれの行動で感じた気持ちや感じ方なども含まれます。
カスタマージャーニーを理解することは、マーケティング戦略を計画したり、顧客の体験を良くするためにとても重要です。

図表.カスタマージャーニーマップ

バリューチェーン分析:

バリューチェーン分析は、企業が製品やサービスを通じて価値を創造するプロセスを分析するためのフレームワークです。

この分析は、マイケル・ポーターによって1980年代に提唱され、企業がどのように競争優位を得るかを理解するのに役立ちます。

個別事象ではなく、企業全体で最適化をはかる時に有益なフレームワークです。

図表.バリューチェーン分析

7S分析

マッキンゼーが提唱した7Sは、組織の効果的な運営と変革を理解し、実施するためのフレームワークです。
このモデルは「ハードS」と「ソフトS」の2つのカテゴリーに分かれています。
「ハードS」(戦略、構造、システム)は比較的識別しやすく、管理しやすい要素です。
「ソフトS」(共有価値、スキル、スタッフ、スタイル)は、より抽象的で、変更が難しい要素であり、組織の文化や人間関係に深く関わっています。


図表.7S分析のフレームワーク

上記に記載したものは、昔からよく使われている古典的なフレームワークばかりです。

時の試練を経て、現在でもビジネスの現場で使われているということは、市場や事業を整理したり理解するのにとても効果的だということです。

また、マッキンゼーやボストンコンサルティングなどのグローバルコンサルティングファームなどは、市場や事業を理解するための有益なフレーワークを常に発表しているので、新しいフレームワークも貪欲に吸収していきましょう。

オリジナルでフレームワークを作る

フレームワークは、誰かが作ったものを活用するだけでなく、自分でオリジナルのフレームワークを作れるようになると、独自の視点で市場や事業を捉える力をつけていくことができます。

ここでは、いくつか、オリジナルで作成したフレームワークをご紹介します。

市場俯瞰図(プレーヤーと商流での整理):

市場俯瞰図は、特定の業界構造を、プレーヤーを起点に商流ベースで整理するフレームワークになります。

たとえば、業界に新規参入するにあたり、既存業界にどういうプレーヤーがいて、どういう商流スキームになっているのか、大枠を理解するのに役立つフレームワークです。

下の図表は、オフィス関連の設備業界を商流で整理したものになります。

図表.市場俯瞰図(プレーヤーと商流の整理)

7C分析(デジタルマーケティング):

デジタルマーケティング(デジタルでのマーケティングコミュニケーションの整理)を包括的に整理するのに有益なフレームワークです。

マーケティングでは、4Pや4Cなど古典的なフレームワークがありますが、デジタル領域を整理するのには、少し活用しづらかったりします。

それを補う形で、7つの観点からマーケティングコミュニケーションを整理するフレームワークになります。

図表.7つのC

古典的なものからオリジナルのフレームワークまで、さまざまなフレームワークをご紹介しました。

フレームワークが形作られるまでに、たくさんの業界研究や企業研究が実施されて、体系的なフレームワークに昇華されていきます。

本来ならば、ひとつのフレームワークだけで、1冊の書籍になるぐらいの奥深さがあるものなので、是非、研究者や学者たちが執筆された書籍を読んで、フレームワークを自由自在に扱えるようになってもらえればと思います。


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