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2023年9月の記事一覧
【掌編小説】遺りもの
祖母ミチコの通夜の賑わいが、生前の祖母の性格を表していた。
小さな集落である。村の人間のほとんどが参列してくれたが、涙声よりもずっと笑い声の方が多く、夜分まで、祖母の横で村祭りのような通夜が続けられた。
祖母は誰にでも、優しい、というよりかは甘かった。何事も自分の意見を通すことはなく、人に譲り、残ったもので生活を形成していた。
その残りものを集めに集めて、末期までは薄利多売をそのまま形にし
祖母ミチコの通夜の賑わいが、生前の祖母の性格を表していた。
小さな集落である。村の人間のほとんどが参列してくれたが、涙声よりもずっと笑い声の方が多く、夜分まで、祖母の横で村祭りのような通夜が続けられた。
祖母は誰にでも、優しい、というよりかは甘かった。何事も自分の意見を通すことはなく、人に譲り、残ったもので生活を形成していた。
その残りものを集めに集めて、末期までは薄利多売をそのまま形にし