マウエルスベルガーによるマタイ受難曲
ルドルフ・マウエルスベルガーが弟のエアハルトと共に成し遂げた一世一代の名演奏。彼にとって、総決算となる録音である。一音一音丁寧に、噛み締めるように紡がれる。重厚でありながら、細部まで明瞭な音楽。兄弟ともに教会音楽家だけあって、合唱団は良く訓練されている。児童の声は音程が不安定になりやすいが、ここではそのような心配はいらない。一曲目の「来なさい、娘たちよ」は落ち着いたテンポで、合唱団員の気持ちが上滑りすることなく、ゲヴァントハウス管の充実の響きに支えられて、見事に歌い切っており