すえきち

クラシック音楽大好きおじさんのすえきちです。 転職歴は6回以上、3つの業界を渡り歩い…

すえきち

クラシック音楽大好きおじさんのすえきちです。 転職歴は6回以上、3つの業界を渡り歩いてきました。その中で感じたこと、この歳になってわかったことなど綴って参ります。

最近の記事

娘たちへ(9)ベストを尽くす?

ベストを尽くすことを否定はしない。 しかし、現実的には、人生はモアベターな選択の連続です。

    • ムーティのモツレク

      結論。リッカルド・ムーティが1987年に録音したモーツァルトのレクイエムは名演である。 声楽陣のうち、ソリストは実力者揃い。中でパトリシア・パーチェが印象的だ。線が細いが、ヴィブラートが少なく、極めて美しい。しかも清楚な音色でこうした宗教音楽に向いている。 そして、なんと言っても合唱団の素晴らしさを称えずにはいられない。スウェーデン放送合唱団とストックホルム室内合唱団とのことだが、合唱音楽の名匠エリック・エリクソンが選び抜いたメンバーであろう。アマチュア合唱団と圧倒的な実

      • 娘たちへ(8)立派な人になるな

        立派な人にならなくていい。いや、ならない方がいいと思う。 立派になると、それらしく振る舞わなくてはいけない。肩が凝る。疲れる。無理をする。 盗塁王の福本豊さんが国民栄誉賞を断った理由は、「外でうっかり立小便もできないから」だったそうだ。この方らしいエピソードだ。 そもそも世の中に、本当に立派な人は少ない。大概、人間は至らない所だらけだ。それなのに、人は他者より優位に立ちたいと考え、自分を大きく見せようとする。 立派な人になんてなるもんじゃない。なろうとしない方がまとも

        • 娘たちへ(7)真の美しさを磨く大切さ

          男同士の飲み会で、職場の女性の話題が出ることがあります。たまたま隣のテーブルのあなた方がそれを聞いたら、男性はこんな目で女性を見ているのだな、と感じるでしょう。 しかし、その話は意外にも彼らの本心でないこともあります。たまたま好きなタレントが細っそりしてたら、「スレンダーな子がいい」と口にするし、本当はある女性に気があるのに、同僚に悟られまいとして、わざとその人を悪く言ったりする。その場のリーダー格の人の意見や好みに、とりあえず同調することもある。 男も女も、一人になれば

        娘たちへ(9)ベストを尽くす?

          娘たちへ(6)謙虚さの本当の意味

          多くの日本人は、「自分が嫌い」、「自分に自信がない」と感じています。原因は色々あると思いますが、その一つが日本独特の社会風土にあると考えます。 日本では、必要以上に謙遜することがありがちです。例えば、自分や自分の家族を褒められた時、「ありがとう」と言うよりも、「いえいえ、そんなことはありませんよ」と言う方が他人から好まれます。出る杭は打たれるの例えのように、少しでも偉そうな振る舞いをすると叩かれるのを恐れるあまり、多くの日本人が、自分を卑下するのが癖になってしまっているよう

          娘たちへ(6)謙虚さの本当の意味

          音楽CDのIPクリーニングについて

          最近、オーディオに関する情報はもっぱらYouTubeで入手している。昔はオーディオ専門誌や評論家の唱える論評を頼りにしていたが、今では、いわゆるオーディオマニアが、これまでの知見を展開しているのは、とても新鮮で、興味深く、何よりも楽しい。エンドユーザーが様々な発信ができる良い時代になったものだ。 ここ数週間、喜古英男さんという方の動画を見ることが多い。ご年齢は70歳代だろうか?とあるオーディオ専門店に長く勤め、店長をされていたそうだ。単にオーディオ機器の良し悪しを話すのかと

          音楽CDのIPクリーニングについて

          力ある者が堕ちていく時代

          我々は今、絶対的な有力者が失墜していく様を目の当たりにしている。昨年2023年からこの傾向が顕著だ。 市場において独占的立場にある企業、その業界で他の追随を許さない会社、スポーツや芸能の分野で名門と呼ばれる組織などの不祥事が次々と明るみに出て、存続の危機に晒されている。財界、芸能界、スポーツだけでなく、政界にまでその流れは及んでいる。 昭和の時代であればともかく、令和の今は悪事が隠し通せない時代である。なぜなら、立場の弱い者であっても、スマホ一つで悪事を世に知らしめること

          力ある者が堕ちていく時代

          極端な思想はなぜ生まれるのか

          人はみな個々の問題を抱えている。それらの問題の根本的な原因はさまざま。自分自身にその原因があることもあるが、それを真正面から受け止められるほど人間は強くない。つい原因を外に求めがちだ。一部の人は、親のせい、学校のせい、社会のせいで自分の人生は悪くなったと考えがちだ。 若い頃は悩みが多い。とかく極端な思想に影響されがちだ。かつて、学生運動に身を投じた人も、オウム真理教に入信した人も、その多くは若者だった。正義のためには危険を顧みない行動は、若さゆえの湧き上がるような情熱と人生

          極端な思想はなぜ生まれるのか

          マウエルスベルガーによるマタイ受難曲

          ルドルフ・マウエルスベルガーが弟のエアハルトと共に成し遂げた一世一代の名演奏。彼にとって、総決算となる録音である。一音一音丁寧に、噛み締めるように紡がれる。重厚でありながら、細部まで明瞭な音楽。兄弟ともに教会音楽家だけあって、合唱団は良く訓練されている。児童の声は音程が不安定になりやすいが、ここではそのような心配はいらない。一曲目の「来なさい、娘たちよ」は落ち着いたテンポで、合唱団員の気持ちが上滑りすることなく、ゲヴァントハウス管の充実の響きに支えられて、見事に歌い切っており

          マウエルスベルガーによるマタイ受難曲

          カラヤンのショスタコーヴィチ

          20世紀のクラシック音楽界を語る上で、絶対に外せない人に、ヘルベルト・フォン・カラヤンがいる。カラヤンは偉大な指揮者であり、演出家であり、音楽界の帝王、カリスマであった。彼の発する圧倒的なオーラの前に、誰も異議を唱えることができない程の巨人だった。 彼は生前に膨大な録音と映像が残した。驚異的なレパートリーの広さも彼の特徴だが、ショスタコーヴィチの交響曲のうち、録音を残したのはなぜか第10番だけだ。 カラヤンは、この曲をドイツ・グラモフォンに2度のスタジオ録音の他に、作曲家

          カラヤンのショスタコーヴィチ

          いじめはなくならない、でも、なくす努力は必要だ

          いつの世にも、どこの国にも、いじめはある。残念ながら今後も無くなることはないだろう。 自分自身、他人からいじめられてきたこともたくさんあったし、少ないながらも人をいじめた経験もある。 いじめが良くないことは、誰もが知っている。しかし、中野信子さんによると、人間はいじめ行為で脳が快感物質を分泌するため、いじめはやめられないそうだ。もちろんこのことがいじめを正当化する理由にならない。 教育現場でいじめが原因の生徒の自殺など起きると、よく学校長が謝罪したりするが、いつも違和感

          いじめはなくならない、でも、なくす努力は必要だ

          ヨッフムのミサ・ソレムニス

          オイゲン・ヨッフムが20世紀の音楽家として第一級の人物であったことに、誰も異論はないだろう。 私がこの人の音楽に初めて触れたのは大学生の頃。エミール・ギレリスとのブラームスのピアノ協奏曲のレコードだ。ボロボロの箱に入った2枚組LPを格安で中古レコード店で買ってきて、自宅で聴いた。第2番の第二楽章。中間部のホルンの咆哮に痺れた。ベルリンフィルでもカラヤンの音とは違う。実に率直で滋味豊かな音楽だと思った。 ヨッフムはブルックナーの権威として有名だ。交響曲全集をベルリンフィルと

          ヨッフムのミサ・ソレムニス

          クーベリックのベートーヴェン交響曲全集

          名指揮者ラファエル・クーベリックが9曲それぞれを、9つのオーケストラを指揮して録音したベートーヴェン交響曲全集。ライブ録音を寄せ集めしたのではなく、企画当初からセッション録音を前提としたものは、これが最初で最後ではないだろうか。 1971年から1975年に録音されたものだ。シャルル・ミュンシュ、ジョージ・セル、オットー・クレンペラーといった巨匠たちが鬼籍に入り、カール・ベームは既に大巨匠。ヘルベルト・カラヤンやレナード・バーンスタインなどが大スターとして人気を盤石なものにし

          クーベリックのベートーヴェン交響曲全集

          ニキタ・マガロフのショパン

          ニキタ・マガロフのことを知ったのは、大学を卒業する頃だ。卒業旅行先のパリのCD店で買ったシューマンの交響的練習曲の奏者がマガロフだった。感興豊かでノーブルな音楽。充実した音色。素晴らしいと思った。 小さい頃から慣れ親しんだピアノ。しかし、ピアニストの力量を見極めることは今でもよくできない。ただ、感情にまかせて弾き崩したり、妙なルバートをかけたりするのは好まない。派手さは要らない。一音一音丁寧に音を紡いでいく人の演奏を聴きたい。マガロフはそんなピアニストの一人だ。 これまで

          ニキタ・マガロフのショパン

          娘たちへ(5)子供と大人の違いとは

          子供と大人の違い 他人に機嫌をとってもらわないと我慢できないのが子供。自分で自分の機嫌をとることができるのが大人。

          娘たちへ(5)子供と大人の違いとは

          娘たちへ(4)自分軸で生きる

          自分に対する無理解、無関心に嘆く人がいます。怒る人もいます。なんでわかってもらえないのかと忸怩たる思いを抱えて生きる人は多いですね。 あなた方の父も、若いころ、そんな思いを秘めていました。上司は部下のどこを見ているのだ、と感じていました。「あの仕事は自分の方が適任なのに!」とか、「何で彼が自分より評価されるのか?」など、毎日不平不満を口にしていました。 しかし、今の自分から見て、若い頃の自分に仕事は任せないと思います。人として未熟で、独りよがりでした。 一方で、このよう

          娘たちへ(4)自分軸で生きる