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40.『終末期患者と家族のかかわり』なんて大きな題にしてみた

#創作大賞2024
#エッセイ


主人が
なぜ 緩和ケアになった途端に
会ってくれなくなったのか
知りたかった。

自分の死期を感じたとき 
人はなにを思うのだろう

わかるわけないけど
知りたかった。

その中で 一つの文献にたどり着いた。

 終末期を過ごすがん患者の家族は,患者 の病状の進行や容態の変化から,近い将来 に患者の死が迫ってきていることを感じ,
これまでに経験したことがないような悲しみを伴う喪失体験をする。
喪失体験は予期 悲嘆の反応として表れ,食欲不振や睡眠障 害などの身体的な反応,悲しみ,抑うつ, 怒り,思慕,孤独感や罪悪感などの感情的 な反応絶望感や非現感,緊張や流涙などの認知行動的な反応がある。
予期悲嘆の反応は,悲嘆反応と同様に,
①衝撃,
②現実化,
③統合と受容までの過程を辿る示されている1)。
家族は,患者の死を受容するまにこの過程を行きつ戻りつしながら過ごしている。
そのため医療者は家族の抱えている苦悩を理解しその家族に必要な介入を行うことが必要である。
終末期における家族の予期悲嘆のケアについて 心がけていること終末期を過ごす患者の家族が望む過ごし方や抱える感情は患者と家族の関係性や価値観によってさまざまである。
家族とのかかわりの中でこれまでの人生に寄り添い 家族が現状をどのようにとらえているのか
最期の時間をどのように過ごしたいのか
などの思いを確認し、患者と家族の状況・思いをアセスメントし必要な支援をすることが必要である。
希望に沿えるような時間を過ごすことで,家族は患者の死を受け入れ,患者のいない生活に進むことができると考える。
家族の思いを理解し支援するにはまず 家族のニードを知る必要がある。
鈴木2)は終末期患者の配偶者の持つニードを表の終末期における家族の予期悲嘆へのケア
静岡県立静岡がんセンター 主任酒井純子
2009年京都橘大学看護学部を卒業後静岡県立静岡がんセンターに入職し消化器内科・内視鏡科で6年勤務。
2015年4月に同院緩和ケア病棟に配属され4年間勤務。終末期がん患者や家族への看護を学び現在はその経験を生かし胃外科・消化器内科の病棟での終末期患者のケアに尽力している。
①患者の状態を知りたい
②患者のそばにいたい
③患者の役に立ちたい
④感情を表出したい
⑤医療者からの受容や支持,慰めを得たい
⑥患者の安楽を保証してほしい
⑦家族メンバーより慰めと支持を得たい
⑧死期が近づいたことを知りたい
⑨夫婦間(患者―家族間)で対話の時間を持ちたい
⑩自分自身を保ちたい
鈴木志津枝:家族がたどる心理的プロセスとニーズ,家族看護

出典:終末期患者の配偶者の持つニード エンドオブライフケア
静岡県立静岡がんセンター主任酒井純子著

私には この①~⑩が 
叶えられなかった。
でも これを一つ一つ
叶えることで
家族のこころの準備が出来ていくのかもしれない。

でも
私には すい臓がんの主人が 
交通事故にでもあって
急に亡くなった・・・。

そんな最後のように思えた。

それほど 心の準備なんて出来ていなかった

だって 本気で奇跡がおきて 
癌が消えてなくなる

信じていたから。
そうしないと 平常心なんて
揺らいでしまって 
普通を装って毎日過ごすことなんて
できなくなる。

ある事例が紹介されていた。
A氏60代男性 右上葉肺がん、胸膜藩主、脳転移の診断

「終末期患者の家族は患者の死が避けられないと気付く事により、逃れる事ができない苦しい現実と向き合い、状況に打ちのめされないようにするために、多様なニーズを持つ」2)
と言われている。
妻は,鈴木の示すニード2)(表)のうち,
「患者の傍にいたい」
「患者の役に立ちたい」
「自分自身を保ちたい」
というニードが強く表れていたと考えられる。
妻は,これらのニーズを持ちA氏を献身的に支えてきたが,医療者が声をかけると泣いてしまうほど苦悩してた。現状では 妻がA氏を最期まで支え続けることは困難な状況であると考え,医療者は妻の抱える苦悩とニーズを理解し,妻が最期までA氏の療養生活を支え続けられるように,介入が必要であると考えられた。
◎家族への介入  
妻のニーズに対して,次の看護計画で介入を行った。
家族に対しての看護目標:
妻の苦悩を軽減し,看取りのニーズを満たすことができる。
観察]
妻の体調や悩んでいる様子がないかなど,妻の言動や表情を観察する
介入]
①妻が医療者を頼ることができるような関係性を築く
②保清や散歩など,妻がA氏のためにできることや一緒に参加できるケアを調整する
③A氏の表情の変化などの反応から,快刺 エンドオブライフケア Vol.5 No.1 11 激となる介入ができていることを妻と共有する
「弱っていく自分を他人に見せたくない」 というA氏の思いと,A氏らしく過ごしてほしいと思う妻の気持ちに寄り添う ・・・

出典:同上


これか・・・。
④「弱っていく自分を他人に見せたくない」

プライドの塊で生きていた男だと
知っていたよ。


最後くらい弱い姿を 私にも見せてほしかった。
コロナ渦中だったけど 介護をさせてほしかった。

娘にも 言った記憶がある。
『私は ずっとこの人の介護をするんだって決めて
結婚生活をしていた。』

主人を介護して 看取って・・・。

それが この結婚の私の使命であり、覚悟だった。

私も古い女なんだ。

でも 一生一緒にいたいって思ったから
結婚したのだから。

人の人生は 思い描いたように
いかないもんだと思うが

誰にでも ”時間” と ”死” は与えられているもの

ぜひ、皆さんもこの両方を 
改めて考えてほしいと思う。


この経験で 娘は 本当に変わった。

いい意味で そして可哀想なくらい
一気に大人になった。

そして 彼女は 
これからの人生を
一歩一歩踏みしめて 
大事に生きている。

その成長が 会うたびにわかる。

『人なんて 
いつどうなるかわかんないんだから
やりたいことやらないとね!』

この言葉が口癖になった。

私は・・・。たぶん 
最大で変わったところは
“その人がいるうちに 
感謝の言葉を言う”


プレゼントをもらったとか 
何かしてもらったとか 
そういうことじゃなくて 
存在してくれていることに感謝を伝えていく。

肉親や友達・・・
なんだか照れくさくて 後回しだったけれど
少しずつ伝えているし、伝えていく。

この経験をマイナスにかえてどうする?!
プラスにしなかったら!

あんなにつらい思いをした意味がない。
あんなにつらい思いをした意味がない。

あんなにつらい思いをした意味がない。




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