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墓場の前から御機嫌よう

今日、僕が死んだ
宵闇に紛れるように
朝露に濡れるように

太陽から身を隠す為に、僕が死んだ
僕は怖くて泣くことを忘れていたのだった
明るささえ、暗ささえ、怖いのだった
瞼の柔らかさが、酷く幼気なのだった

嗚呼、行く宛てなど知らないのだけれど
何処かへ向かうべきとは知っていたのに
それが如何なる香りかは知りようもなかった
なんと無知な僕、可哀想に

丁寧に丁寧に、一呼吸を通り過ぎ
人の格にはめられることが生であるなら
確かなことは、残念なこと

──明日、僕は死んだまま

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