ゼロから始めるコーポレート機能構築 -入社と共に振り返る実践編-
こんにちは、最近ジョジョ5部を読み直して、改めてブチャラティがかっこいいと思っているAsobicaのすとう(Xのアカウント⇒gomashioJr)です。
モンハンの新作情報がリリースされましたね。MH4からハンターデビューして早10年、狩人の血が滾ります。PS5を購入するための家庭内稟議を通すことが喫緊の課題となりそうです。
さて、今回も「ゼロから始めるコーポレート機能構築」シリーズをお届けできればと思います。なお、今回はAsobicaのアドベントカレンダーシリーズとして、Asobicaの若頭、花岡ニキに続き、5番バッターとしての登壇記事も兼ねています。みんなでnote書くと、ひとつの作品をみんなで作っている感じがして楽しいですね。
※:2024年12月17日に全部リリースしたので、マガジンにまとめました。
ゼロから始めるコーポレート機能構築 -組織図編- ←リリース済
ゼロから始めるコーポレート機能構築 -ツール導入編- ←リリース済
ゼロから始めるコーポレート機能構築 -入社と共に振り返る実践編- ←イマココ
番外編 コーポレート部の目標の作り方 ←リリースしたよ(2024/1/16)
今回の内容はAsobicaにジョインしてからの今までの出来事を、ドキュメンタリー方式で振り返る半分mixiの日記みたいなものとなっています。
ゆるーくご覧いただければ幸いです。
Asobicaジョイン、3つのプロジェクト
私がAsobicaにジョインしたのは遡ること2年ほど前になります。スタートアップ企業への新しいチャレンジでモチベーションがMAXだったことを鮮明に覚えています。
そのときのオフィスは五反田駅から少し離れた、30坪ワンフロアのお世辞にも綺麗とはいえない、けど愛着の持てるオフィスでした。
出社初日、代表の今田さんから、リードしてほしいプロジェクト(以下、PJT)を言い渡されます。正確には内定までのコミュニケーションでちゃんとすり合わせてたけど、改めて以下のように言い渡されたイメージですね。
3つめのオフィス移転PJTはサプライズでしたが、このフェーズのスタートアップでは、落ちているボール、振られたタスクはまずはスピード感もってやり切ることが重要なので、サクッと取り組みました。というかモチベーションマックスだったし、新しいことは何でも楽しい、新しいこと取り組めてラッキーの気持ちでした、スタートアップ業界に身を置く際には重要なマインドです。
「コーポレート機能立ち上げる」「資金調達もする」「引っ越しもする」、全部やらなくっちゃあならないってのが「シリーズA」のツラいところでしたが、覚悟ができていたので大丈夫でした、いわゆるブチャラティ理論です。
もっかいやってと言われたらもうできないと思いますが。
余談ですが、会計士でコーポ機能立ち上げのためにスタートアップにジョインすると、だいたいオフィス移転もセットでついてくるのはなんかあるあるな気がします。(絶対未経験だけど、なんか任されるタスク。)
このあたりは、縦横無尽にボールを拾うマケレレのような役割を求められますね。
オフィス移転自体は事業成長している証なのでいい兆候です。オフィス移転PJTの詳細は機会があったら別記事でまとめます。
スタートアップにジョインしたら、真っ先にこれだけはやっておこう
コーポレート機能構築にあたって、主に以下の事項を真っ先に整理することにしました。下記の事項をやっていかないと、いつまでたっても効率的な動きができない、というか負の遺産が積み重ねり、ただただ事業成長の足枷になっていくので、早々に解消に動くべきと考えました。
①現状の負の遺産の把握
初手、現状把握ですね。会計、財務、債権債務、法務、労務、総務系の現状を把握しました。結論として、そこまで大きな負の遺産は認識されず、自分の力でクリーニングできる範囲だったので安心しました。前職では、ものすごい根深い負の遺産をみてきたので、それに比べたらかわいいものでした。誤った会計処理をずっと続けてきたとか、誰も把握できない原因不明の残高がBSに残っているとか、契約書内容が不十分とか。全社巻き込んで負の遺産を解消するために動いて、結局1年くらいかかって、ようやくスタートラインに立てた、みたいなケースもしばしばみてきました。
コーポレート機能立ち上げにおいて、負の遺産の把握、解消、管理は第一に着手すべきです。これを怠ることは、目に見えないキラークイーンの爆弾抱えたまま事業を行うことと同義ですからね。
Asobicaの場合は、多少の負の遺産はあるけど、それを消しゴムで消したら真っ白なキャンパスになる状況だったので、そこから好きなように組み立てればええわ、みたいな感覚でした。
②勘定科目コードの採番
これは監査法人時代のIPOアドバイザリー経験で、重要性の高さを認識していたので、優先度高く取り組みました。
BS項目、PL項目の勘定科目コードの採番ルールをしっかり決めて、採番しなおすイメージです。勘定科目毎にユニークなコードを採番することで、科目の分析、事業計画の策定、予算実績分析、管理会計への組み換え、将来的には連結財務諸表への組み換えを行う基礎ができるんですよね。
この際、特に管理会計科目との整合性を保てるように、勘定科目の設定は比較的粒度を細かく設定しました。そうすることで、新しい科目を設定する際も柔軟に対応できますし、なにより管理会計と財務会計の組み換えを秩序だって行える、すなわち財管一致が保たれることを重視した形です。
過去の行動をしっかりと秩序だって会計帳簿に記録する「経理」という観点に加えて、多角的な分析から将来アクションにつなげる「FP&A」機能にも役立てるため、「財管一致」の要件を満たす会計データを収集することを意識しています。
③契約書雛型、利用規約の整理
これはスタートアップのコーポレート機能が立ち上がっていないと盲点になりやすいところですが、かなり重要な項目です。会社が抱える法務リスクは目に見えない分、感度のある人が契約書と利用規約を随時チューニングしていかないと結構大きな影響を及ぼす可能性があったりします。
いうて、私も法務業務をやったことない人間なので、ツールの力と顧問弁護士の方の協力を経て、事業に見合った契約書雛型と利用規約のチューニングを行いました。このあたりも、とりまやってみようの精神です。
なお、この9ヶ月後に法務専任者がジョインしてくれて、法務機能が強化され、結果として事業ドライブに大きく貢献してくれました。法務機能立ち上げは、専任者を早めに採用することが重要です、切実に。
最低限の会社のインフラ整備
ある程度、負の遺産解消と将来に向けての種まきが終わったころ、業務効率化とセキュリティ担保に向けた施策に取り掛かりました。
具体例のひとつとして、セキュリティが担保された会社モバイルの導入です。専門的な知見はなかったので、顧問の方からアドバイスをいただきながら、使い勝手のよい会社モバイルを導入することができました。その他、より効果的なPCのセキュリティソフトをインストールしたりしました。
このあたりの業務はいわゆるコーポレートIT(もしくは情シス)といわれる機能ですが、改めてセキュリティ対策やインフラ整備の重要性を認識しました。同時にコーポITの専任者の優先度を高めたいと思ったのもこの頃です。
コーポレートITは本当に企業活動の土台を支える重要な役割なので、いち早く立ち上げを担える専任者を採用すべきです、切実に。
監査法人と契約しようず-1人予備調査対応
少し前に新聞にも取り上げられましたが、監査法人業界の人手不足を背景に、監査法人がスタートアップ企業含めた新規契約を絞る、いわゆる監査難民問題が発生しています。とはいえ、上場を目指すためには監査法人と監査契約を締結することが必須です。
そのためには、ざっくり以下のステップを踏む必要があります。
まず、監査法人とMTGして、興味をもってもらう(監査しやすいビジネスか、会社の管理体制は大丈夫か等)
興味を持ってもらえたら、簡易的な会社状況を理解してもらうための資料を提出。
そこで、問題なさそうであれば、監査チームを組成してもらい、予備調査契約を締結。
予備調査の内容で、監査受けても問題ないという結論に至れば、晴れて監査契約を締結。
なんとなく、資金調達の流れに似てますね。
以前は1~4がスムーズに進んだ時代もあったのですが、最近は3に至るまでのハードルがすこぶるあがった印象です。
私も3社と面談しましたが、2社は初回面談で、「もう少し様子みてから。。。」というトーンでフェードアウトしていきました。残る1社の方は、担当パートナーの方が高い熱量で「ぜひとも進めさせてください!契約締結できるように法人の調整も図ります!」とおっしゃってくれたので、非常にありがたかったです。このあたりはよりよい担当者に巡り合えるかという運もあります。
その後、「ひとまず予備調査をやりましょう。」ということで、無事に3のフェーズに進めました。ここはあまり再現性ない部分ですが、前職では自分が予備調査を実施する側でもあったので、この水準までしっかり体制整備できれば、足りない分はリカバリー案含めて説明して乗り越えられる目線感は持っていました。
上記の3つの条件を満たしていたため、比較的監査しやすい状況であり、論点になる会計処理と整理は自分の中である程度できていました。そのため、同じ目線で監査法人とコミュニケーションをとることができました。(SaaSビジネスの場合、収益認識会計基準が適用されたことで初期導入支援売上の取扱いは大体論点になる印象ですね。トップラインである売上の事業計画の数値に影響があるので、このあたりは早めに整理するように心がけました。)
そんなこんなで、予備調査の対応は比較的スムーズに進めることができました。
シリーズAのオフィス規模で陥るエクイティファイナンスの意外なハードシングス
冒頭記載したとおり、このタイミングでシリーズBの資金調達にも動いていました。ファイナンスの動き方は、他の有識者の方がナレッジシェアしてくれてますし、基本に忠実に粛々行ってきたので、ここで特段有用な情報としてお伝えできるものはありません。
ただ、他の有識者の方があまり言及していない、想定していないハードシングスにぶつかったので、この点だけ共有させてください。シリーズA、オフィス規模が30坪ワンフロアのスタートアップでは、意外に起こりうる事象だと思います。
それは、オフィス用プリンタの重要性です。
これね、ほんと苦労したんですよ。この当時、Asobicaはオフィス用プリンタを持っておらず、家庭用のレーザープリンタのみ保有してました。
具体的にどこで困ったかというと、エクイティの資金調達が無事にcloseを迎えると、諸々の書類を印刷して、原本証明付けて製本して各投資家さんに配る実務があるのですが、このタイミングです。相当な枚数のプリントアウトを行う必要があるのです。
監査法人、証券会社に勤めていた時はオフィス用プリンタを使って、ホチキス止めも含めてサクッとプリントアウトできていたのですが、オフィス用プリンタを持っていない中での製本対応は苦慮しました。懇意にしているVCさんのオフィス用プリンタをお借りできればよかったんですが、当時はコロナ禍の行動制限もあったので、その手段も取れなかったんですよね。
機密性の高い書類でもあるので、町の印刷屋さんを利用することは避けました。結局レーザープリンターを駆使して、さながら1点ビハインドの終盤の闘莉王のようなパワープレーを選択しました。途中、用紙が切れる、インクが切れる、厚みがありすぎて普通サイズのホチキスじゃとまらない等のトラブルに涙しましたが、なんとか乗り越えました。
オフィス移転する際、絶対にオフィス用プリンタを導入しようと心に誓った瞬間でもありました。
改めてスタートアップにジョインしてよかったこと
ここから少しづつまとめに入っていければと思いますが、改めてスタートアップにジョインして、印象に残ったことをつらつら記載したいと思います。
スタートアップカルチャーのキャッチアップと今までの経験のアンラーニング
まずは、全社MTGの重要性です。Asobicaにジョインした当時は毎日朝会、週1の夕会、四半期MVP等、全社メンバーのコミュニケーション数が非常に多いと感じました。
よくよく聞いてみると、スタートアップでは通常行われる運用とのことでした。たしかに自部門以外のメンバーとコミュニケーションをとれるいい機会になりますし、リスペクト、賞賛の文化を醸成できる効果があるなぁと思いました。ここまでやると、MVVもしっかり浸透することも改めて学びました。
ちなみに私がジョインしたときはAsobicaのメンバーは95%が20代でした。歳を言わなければ20代の体でいけるかな。。と思いましたが、全然ムリでした。ミドルエイジを温かく迎えてくれたメンバーには感謝しています。
コーポレート機能構築する際に救われたポイント
ここまでコーポレート機能構築に関してつらつらと記載しましたが、概ねうまくいっていると自己採点しています。この大きな要因としては、経営陣が守りを強化する重要性と、それを実行する覚悟をしっかり持っていたことです。コーポレート機能を構築する際、一番大きな要因を占めるといっても過言ではないと思います。
プロダクトがPMFする前のシード~アーリーのフェーズだと、泥臭く売上を積み上げることが最重要です、この点は揺るがないと思います。
ただし、アーリーからミドル、資金調達でいうとシリーズAからシリーズBにかけてのフェーズにおいては、それまでの管理体制の負の遺産を解消して、コーポレート機能強化に目を向けるタイミングです。
PMFして、急成長し始めたタイミングで、売上の成長だけを追うことってマインドとして楽なんですよね、社内の雰囲気もよくなりますし。
ただ、このタイミングでオペレーションや管理体制の整備に目を向けなかったが故に、PMF後に負の遺産が急激に積み重なり、結局その後の事業や組織の足枷になっていくケースを多々見てきました。ここで、コーポレート機能を強化をするという意思決定ができるかどうかが、その後の成長にレバレッジをかけられるかどうかの分水嶺になります。
さらにいうと、イケてるスタートアップはPMF前から必要な水準(事業部側の大きな負担にならない程度に。)で最初からオペレーションと管理体制を整備して、事業成長に沿って適切に管理体制を強化していってる印象があります。
Asobicaの場合は、役員陣がしっかりと守りを強化する意思決定を行い、一定の予算とリソースを投下することにコミットしてくれたため、私もしっかりと効率的に実行まで落とし込むことができました。
今後やっていきたいこと-各部オペレーションと全社横串オペレーションの最適マージ
アーリーステージからミドルステージの過渡期で、よりオペレーションの重要性が高まるフェーズに入っています。このフェーズに入って、改めてビジネス部門、エンジニア部門、CS部門、コーポ部門等、各部門のオペレーションを効率的に構築し、それらを部門間で最適に連携できる全社オペレーションを組むことが改めて重要と感じています。
各部でオペレーションをしっかり組める人にジョインしてもらえるかが、事業成長に大きな影響を及ぼします。ここでオペレーションをしっかり組むことで、組織として大きくプラスになるレバレッジが得られ、会社としてのステージが1段ステップアップできます。
一方で、オペレーション整理を後回しにすると、結局属人化された戦いが続き、組織の疲弊化を招きジリ貧となるイメージです。オペレーションの重要性に気づかないことは、「極寒の地で全裸で凍えながらなぜつらいのか分かっていないようなもの」です、天空闘技場でウイング師匠も言ってました。
Asobicaもまだ道半ばですが、絶賛この部分をテコ入れしており、着実に良い方向に向かっています。各部と協力して、しっかりやりきり、組織としてのレバレッジを効かせていきたいと思います。
今回はこのへんで締めさせていただきます、改めてスタートアップ業界に入って非常に貴重な経験ができていると感じています。毎日が濃いので、時間経過の3倍くらいの経験、成長ができています。そして3倍の早さで歳取ってる気もします、きっとプロシュート兄貴が近くにいるんだと思います。
この熱狂を求めてスタートアップにジョインしたので本望です、はい。
仲間を募集しています
そんな事業も組織も急成長のAsobicaですが、一緒に船をつくっていけるメンバーを募集しています。
特にインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス(コミュニティマネージャー支援、コミュニティデータ分析等)、開発のメンバーを熱く募集しています。
まずはカジュアルにお話しできればと思いますので、下記の採用情報や、Xへの直接DM等にてお気軽にお声がけください。
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