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【凡人が自伝を書いたら 32.新卒研修〜副店長試験】

お前、そういえば研修はどうした?前、月に一回研修があるんじゃ無かったのか?全然あってねえじゃねえか?あれは嘘か?嘘ついたのか?

そんな「重箱の隅をつつく」ような気づきをされてしまったあなた。

すいませんでした。正直研修まで入れると長くなるから、「省いちゃっていいかな〜。」と思っておりました。

逆に、重箱の隅まで見てくれてありがとうございます!

天才!神様!仏様!

2つの意味で「オー・マイ・ゴッド!」である。(こら)

お願いですから、まとめさせてください。時を戻して、まとめさせてください。お願いします!!(いや、誰も、何も言ってない)

それでは、時を戻そう。(あ、)

「再会と成長」

長野の雪山籠もり研修から、約1ヶ月。5月の中旬になった。

関東にある研修場に1ヶ月に一度集い、研修とテストを行う。テストは筆記と実技の両方だ。新入社員の頃はこの結果がボーナスの査定に関係する。そういうわけだ。

1ヶ月に一度、5回の研修の後、10月に「副店長」試験が行われる。その名の通りここで受かれば、一般平社員から、副店長になる。そこで落ちたらまた半年後。的な感じである。

飛行機と電車を乗り継ぎ、研修施設に到着すると、すでにほとんどのメンバーが集合していた。大体が関東・関西の大都市で勤務している。僕みたいな地方組はごく少数派だ。(くそ!!)

みんな1ヶ月の現場経験で、少し顔つきが変わったような感じがした。

「だべだべ」言っていた馬田君も、ほんのミリ単位の誤差程度だが、「社会人らしく」なっていた。(悪意)

他のメンツも、1ヶ月前に比べると少し、「社会人感」が出ていた。(なぜか上から)

座学の理論講義を「片目を開いて」なんとかやり過ごし、(おい)次は実技の時間だ。座学では、主にリーダーシップやマネジメントを学ぶ。実技は通常の店舗営業のスキルがテストされる。「接客マニュアルが定着しているか」「マニュアル通りの調理ができるか」的なことである。

質だけでなく、ストップウォッチを用いて、タイム測定もされる。「基準時間」みたいなものもあるのだ。

たかが1ヶ月だから、みんなどうせしょうもないだろうな。と思っていたが、そこはやはり社員だ。みんな意識が高く、完璧なんてことは全然無いものの、アルバイトの1ヶ月とは比べ物にならない成長をしていた。

「ほう、なかなかやるじゃないか。」

そんなことを思いながら見ていた。(もはや直角、90度の上から目線)

アルバイト出身も僕以外に4〜5人いたが、みんな僕よりアルバイトランクは低かったので、実技において僕は「敵なし無双状態」だった。いやむしろ研修課(教える側)よりも実技自体は優れていた。

実技では文句なしだったが、筆記ではそういうわけにはいかない。勉強を全くしていなかった為、いつも成績はドン2だった。ドベは安定の「馬田君」だった。

「あれ?評価あってます?」

研修も3〜4ヶ月目になると、みんな、「一端のパフォーマンス」をするようになっていた。もちろん実際の忙しい営業でどうかは分からないものの、それでも、研修での「よーいドンの実技試験」では、普通に好成績をおさめるメンバーも増えてきた。

「アルバイト出身」のメンバーはもちろん、「素人出身組」の沢口君や山本君も元々マジメで優秀だったので、評価も実力もどんどんと上がってきていた。

4ヶ月目らへんで、とうとう評価が僕を上回った。

「あれ?評価これであってます?」

これだった。

僕は、大筋はマニュアル通りだったものの、やはり自己流の面も多かった。細かな接客文言や、笑顔、発声、お辞儀の角度、調理の際の声掛け、所作の決まりなど、細かなところで減点され、ついには「マジメ組」に敗退したのだった。

「くそ!!何だってんだ。どこ見てやがんだ。大体、実際の営業でそこまで細かくやれるわけないじゃ無いか。絶対こいつらも現場ではこんな風にやっていないに違いない!!」

これだった。

「やってやろうじゃないか、この野郎!」

僕は店舗に帰ると、暇な時間にさまざまなマニュアルに目を通しだした。

正直言うと、今まで真面目にマニュアルを読んだことはなかった。(こら)よく読んでみれば、マニュアル全てに意味があることに気がついた。

お客に、より快適に過ごしてもらうため。

スタッフの技術云々を問わず、誰でも簡単に、完全なサービスを提供できるようにするため。

お客・スタッフ双方のリスクを減らすため。

マニュアルは「単純化・標準化・リスクマネジメント」の塊だった。

「ほう。成程、これはこれで大事なもんだな。」(理解すると素直)

こんなことに気がついた。(今さら)

そんな習慣がついていたため、筆記でも、実技でも、なかなかの「全知全能レベル」になった。(すぐに調子に乗る)

とはいえテストでは、マニュアルが以外にも「グループ憲章」や、「マネジメント用語」、「グループ内用語」なんかの項目もあったので、きちんとテスト対策をしている「インテリ」組には勝てなかった。

ただ、実技の方は本当の意味で「文句なし」になった。

これがのちに、僕が進む道を変えていくこととなった。

「ええ、一応、副店長でございます。」

入社から半年。副店長の試験があった。実技と筆記の合計点が、満点の8割以上。そんな合格基準だった。

僕はなかなかに優秀になっていたため、トップ3で合格した。上から山本君、沢口君、僕の順だった。マジメだった新入社員のほとんどが、試験をパスして、副店長となった。「馬田君」も終盤に粘りを見せ、なんとかギリギリで合格していた。(心からの祝福を。アーメン)

ただ、僕は微妙な気持ちだった。

「いや、わたくし、今から本部勤務でございますが?」

これだった。

これはほとんど意味の無い合格だった。もちろん本部での役職手当は若干上がるものの、本部の仕事は全くの無知。結局「新入社員」に逆戻りだったからだ。

とわいえ、これでみんなとは、バラバラにその後の試験を受けることとなる。今後は自分の実力に応じて、自分の判断・タイミングで試験を受けていくこととなる。

店長になるまでの研修もあったが、そこには先輩社員も混じってくる。僕らが全員で集まる機会はこれで最後だった。

試験の後、僕らは数ヶ月後の再会を誓って、研修場の近くの居酒屋に集まり、みんなで酒を飲み交わした。今までの思い出話に浸ると共に、未来についても語り合った。

「同期って良いな。」

そんな風に思っていた。

なぜなら、これから勤める本部では、僕が唯一の新入社員。若い人間でも3個上。しかも現場とは違って僕は「全くの無学無知のハナタレ小僧」

本当の意味での「新人」となるからだ。

どうせまた孤立するんだろうな。

高校時代の最初を思い出し、そんなことを考えていた。

僕はそんな不安と、重苦しい気持ち、そして、「本社勤務」という言葉の持つ誘惑、それにわずかな希望を片手に、グループ本社のデカいビルの前で立ち尽くし、入り口にいる「2人の警備員」と睨めっこしていた。(え、)

つづく



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