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『キャリアと子育てを両立する! 自分と家族の価値軸で築く幸せな生き方』第1章・無料全文公開

12月31日発売の書籍『キャリアと子育てを両立する! 自分と家族の価値軸で築く幸せな生き方』から、第1章「人生100年時代のキャリア」を全文公開!

1.「キャリアデザイン」を自分でする時代へ

 これまでの日本型雇用の特徴として挙げられる「新卒一括採用」「終身雇用」「年功序列」。

20歳前後で学校を卒業と同時に、一斉に就職。配属先は適性と組織の状況を踏まえ、会社が決定。その後もさまざまな部署に異動し、ジョブローテーションをしながらキャリアを築いていく。

このように「ひとつの会社に長く勤めることが価値」と考えられ、その人の信用へとつながってもいきました。新卒での就職先選択がその後の人生を大きく左右していくことから、安定している会社に入社することに価値を感じ、大企業へ就職するために偏差値の高い大学へ行く進路選択をするのが子育ての基準にもなっていたのです。

いまの世の中はどうでしょうか。
グローバル化が進み、企業間の競争は激しさを増し、バブルの崩壊やリーマンショックを経て、どのような大企業でも未来永劫存在し続けるかどうかの保証はなく、大企業に入ったからといって一生安泰では当然ありません。会社の枠のなかでのキャリア形成ではなく、どこへ行っても通用する人材価値をもち続けることが必要な時代です。
生き方も多様化し、社員のニーズもさまざま。会社が社員のキャリアを考え人生を支えることなど、できるはずもないのです。

「キャリア自律」「副業解禁」は、「一人ひとりが自分と向き合い、どのようなキャリアを築いていくのか、そのためにどうすればよいのかを考え、実践していきなさい」といった、社会からのメッセージといえるのではないでしょうか。

これからは、みずからの生き方、キャリアを思い描き、みずからの力で実現していく「セルフキャリアデザイン」のスキルが必須となるでしょう。

現代を生きる私たちは、自分のキャリアを決める自由を得たのです。自分らしい心ときめく未来を考えてみませんか?

2.役割が変われば価値軸も変わる

人は生まれてから最期の時を迎えるまで、いくつもの役割を担いながら人生を送っていきます。年齢を経ていくことで、追加される役割、なくなる役割、その重みも変化していくものです。

とくに「結婚」「我が子の誕生」のライフイベントを経たあとは、一気に関係者が増え、配偶者・配偶者の親・親戚・子どもと存在が追加されることで、配偶者・親・嫁・婿など多くの役割が追加されます。

自分がもっている時間、頭や心のキャパシティ、エネルギーなどといったリソースは、役割が増えたからといって増えるわけではありません。役割が増えれば、それらすべてに同じエネルギーを注いでいくことが苦しくなっていきます。育児や介護といった、大切な人を守るために自分のリソースをたくさん使いたいとき、とくにこの苦しさを強く感じていくのです。

たとえば仕事では、「子どもとの時間も大切にしたい」と考えると、1日24時間は変わりませんから、いつもどこかで満たされない気持ちになります。「あれもやらなければ」「これもやりたい」と頭で思っていても、それができないことにイライラしたり、落ち込んだり……。

いまもっている自分のリソースをどう使うのか。そのために、「いま自分は何を価値として重きを置くべきか」を常に自分に問いかけ、みずから選択することを習慣化できるとよいでしょう。

役割が変われば価値軸は変わって当たり前。いまの自分が価値として感じていることを大切にするために、時間の使い方も変えていきましょう。限られた時間のなかで、手放す勇気をもつことも必要です。自分が大切だと思うことに、自分のリソースが十分使えていれば、心が満たされる実感を得ることができますよ。

3.幸せは一人ひとり違う、選択基準は自分軸で

 いろいろある自分の価値観のなかで、どこに軸を置くのかといった価値軸は役割の変化とともに変わっていくだけでなく、時代によっても変化していきます。

高度経済成長期やバブル期は、長時間猛烈に働いて給料を多く得ることで、「いまよりも、もっと物質的によい生活をしたい! マイホームを買いたい! そのためにがんばる」といった価値軸をもつ人が多くいました。女性もある程度の年齢までに、「いい人と結婚して、いい生活をする」といった、世の中の幸せの雛型がある時代でした。ここでいう「いい人」「いい生活」には、たとえば「三高(高学歴、高収入、高身長)」といった言葉があったように、世間一般の基準があったのです。世の中の価値観がある程度均一だったので、一人ひとりが価値軸を考えるときにも世の中基準から考える時代であり、自分の価値観などを考える必要がなかったといえるでしょう。

時代が変わり、性別に関係なくその人らしく生きる、多様な価値観を尊重する世の中となり、「こうすれば幸せ」といった世の中基準(=幸せの正解)がなくなりました。

多様化した価値観のなかで自分の価値軸をどこに置くのかを考え、一人ひとりが自分らしく幸せに生きることを考える時代が来たのです。

では価値軸を考えるときに、必要なものはなんでしょうか。
それは「自分軸」です。自分軸とは、「ありたい自分をもち、その自分を目指し、自分の考えで行動すること」を指します。

自分軸の反対は「他人軸」。ありたい自分がなく、他者の基準や評価を軸として行動することですが、これでは自分の価値軸を考えることはできません。とかく私たちは他者からの評価を気にしてしまい、他人軸で動きがちです。

他者からの評価が得られれば、一時的には心が満たされるかもしれません。しかし、このような満たされ方をしていては、評価がなくなったり、評価が悪くなったりした途端、自分はどこへ向かえばよいのかがわからなくなってしまいます。最悪の場合、「評価してくれない周囲が悪い」と、他責な思考へと変わってしまうのです。

自分軸がもてれば、人生のステージが変わったり、役割が変わったりしたときにも、いまの自分がどこに価値を感じているのか、価値軸を認識できるでしょう。

私の場合、「ありたい自分」は、「自分のことを自分が好きでいられる自分」です。何か行動や選択をするときの軸はここにあります。この軸で考えた結果、自分が決めた行動や選択が自分のそのときの価値軸になっているのです。

「あるべき」ではなく、「ありたいのか」で考えるのが自分軸。自分軸が自分のなかで言語化されていると、人生のターニングポイントでの選択がしやすくなり、後悔のない生き方へとつながっていきます。

4.Will-Can-Mustで考える自分

●ワークライフインテグレーションの時代。フレームの新しい使い方

「将来の希望」のWill、「強み」のCan、「役割、職務」のMust。キャリア研修や人事考課でよく聞かれる「Will-Can-Must」というフレームワークをご存知でしょうか? 先行き不透明で正解がない世の中、この考え方は古いともいわれています。なぜなら、正解のない変化の激しい現代においてWill(将来やりたいこと)を考えることに意味はない、という理由からです。

しかしこのフレームワークは、ワークライフバランス(仕事とプライベートのバランス)からワークライフインテグレーション(仕事とプライベートの融合、相関関係にある)といった考え方に変わりつつあるいまだからこそ、仕事だけでなく生き方そのものに使えるものなのです。自分のことは以外によくわからないもの。心のなかにあるぼんやりしたものを言語化・可視化することによって、新たな自分に気づくこともあるでしょう。仕事とプライベートは分断して考えるものではありません。このフレームを使い、やりたいこと、できること、やるべきことを俯瞰してみることで、あなたが目指したい幸せな未来、強み、タスクがわかるようになるでしょう。

●自分の想いに気づくための方法

 では実際にやってみましょう。
A4くらいの紙を3枚とお気に入りのペンを用意して、ひとりで静かなところでおこないます。

お気に入りのペンというのもポイントで、書く時間そのものを楽しんでほしいのです。また、手書きなのもポイントです。ペンで書くよさは、文字の大きさや筆圧の強さなど、「感情がそのまま簡単に反映」されること。また「消せない」こと。パソコンを使っての作業は便利ですが、文字の大きさや形を変えるのにひと手間必要なので、感情とのタイムラグが起こります。一度書いたものを簡単に消せるため、常にそのときの最善や正解だけが残っていきがちです。モニターの大きさにもよりますが、俯瞰して見ることには適していません。あえて消せない手書きで書いていくことで、考えるプロセスを残せるわけです。

書き終えたら3枚の紙を並べて自分との対話をおこなっていきますが、考えたときの気持ちや考えるプロセスが残っているため、俯瞰して見ることで分断されがちな「ワーク」と「ライフ」の両方の融合が見えやすくなります。

まずは、3枚の紙の真ん中に線を書きます。
Will用の紙、Can用の紙、Must用の紙、それぞれ1枚ずつ使用します。各紙の上部に、「Will」「Can」「Must」と何用かを書きましょう。さらに、上半分に「仕事」、下半分に「プライベート」と見出しを書きます。これで準備は完了です。

「仕事の場面」でのWill-Can-Mustを考えてみましょう。
まずは「Must」の紙を出してください。仕事において、「~しなければならない」「~するべき」であるMustは、業務上の役割に紐づいているので、すぐに思い浮かべられるでしょう。ここに仕事の細かい内容まで書く必要はありません。「メンバーの育成」であったり、「売り上げ目標を達成すること」であったり、組織から期待されていることや、求められていることを書くとよいでしょう。

次に「Can」の紙を出してください。「~できる」「~が得意」といったことを書きます。これまでにやってきたことを考えれば思い浮かべられるかもしれませんが、思いつかなければ、上司や同僚からかけられた言葉で思い出せることがヒントになるでしょう。たとえば「仕事が早くて、まかせて安心」という言葉だったら、「正確なアウトプットができる」や、「Excelを使った書類作成なら、だれよりも早くできる」といった得意なことを書きます。ここで謙遜する必要などありません。あれもできる、これもできる。自分ができることを思いつくまま書いてみましょう。

最後に「Will」の紙を出してください。「将来こうなりたい」「こんなことをしたい」と、未来のことを書くのは意外とむずかしいのではないでしょうか。実は「Willハラスメント」という言葉があるくらい、「あなたはどうなりたいのですか?」「どうしたいのですか?」と聞かれることに苦しさを感じる人は多くいます。ここは書けなくてもOKです。先に進みましょう。

次は「プライベートの場面」を考えます。
「仕事の場面」と同じように、「Must」の紙を最初に出してください。配偶者や親などの役割から考えられます。どのようなことが期待されているのかを書いていきましょう。あまり各論ベースにならないようにするのがポイント。といっても、「子どもの世話」だけでは、その後の気づきに影響があるため、たとえば「保育園の送迎」「子どもの病気の看病」「朝食と夕食の準備をする」「親に孫の様子を伝える」など、少し粒を小さくして書くとよいです。

次に「Can」の紙を出してください。これを考えるとき、自分にはできることがないという人は、些細なことでもよいので書いてみましょう。「掃除ができる」「洗濯ができる」「毎日、仕事に行ける」など、自分が当たり前だと思っていることもすべてあなたができることなのです。これでしたら、いくらでも書けるのではないでしょうか。

最後に「Will」の紙を出してください。これは「やりたいこと、やってみたいこと」「こうだったらいいなと思うこと」と解釈します。思い切り妄想してください。「ひとりで映画を観に行く」「1か月くらいで日本各地を旅する」「家族そろってゆっくり夕食をとる」など。できるかどうかは別として、思いつくまま書いてみましょう。書いていくうちに、ワクワクしてきて楽しくなってきませんか?

●未来は自分で変えられる

ここで3枚の紙を並べてみましょう。
仕事も、プライベートも、すべてあなたの人生。両方を分けて考えることはできません。

子育て時期でしたら、Mustが多いことに気づくでしょう。まずはMustと日々向き合っている自分を褒めてあげましょう。そして、すべてのMustを完璧にこなすことなどできないことを受け入れましょう。

そのうえで、「自分にしかできないこと」「自分がやったほうがいいこと」「代替がきくこと」などに分けてみるのです。そのとき必要なのが、WillやCanに書いたこと。たとえば仕事のWillに、「2~3年後には部下をもってマネジメントをしたい」と書いてあったとします。Canのところに昇進に必要なスキルが書けていなければ、足りない要素を強化していく必要があります。となると、今後Mustが増えていく可能性もありますし、いまあるMustのやり方や優先順位が変わっていくことも考えられるでしょう。

いずれにしても、「近い将来、仕事で成果を出したい」と心から思うのであれば、そのあいだはプライベートの欄に書いたMustのなかで優先順位をつけて、手放せるものは手放していく覚悟をもつことが必要です。

プライベートのWillの欄に書いたことが実現できないとしたら、それはなぜでしょうか。仕事があるから仕方がないと思うのであれば、仕事のMustに書いたことを手放す。もしくはCanに書いたことを使い、やり方を変えていくことでWillを目指すリソースを増やすことはできないかを考えてみてはいかがでしょうか。

「多様な選択肢があり、どのような自分にもなれる可能性がある」

そのような自由を手に入れた私たち。ですが、選択肢が多いとどこから考えればよいのかわからず、迷うものです。そのようなときこそ、このフレームを使って考えてみてください。自分の意義や価値、未来を感じるWillを意識する思考の習慣をもつことで、「いま自分がやっていることすべてが幸せな未来へつながっている」「未来は自分で変えられる」と感じられ、気持ちのよい毎日を送ることができるようになりますよ。 

5.キャリア選択は無限大

2000年代ごろまでは、新卒一括採用・終身雇用・年功序列の日本企業において、学歴や採用試験の出来で配属や大枠のキャリアプランが決まってくることも珍しくはありませんでした。

転居を伴う転勤も、その人のライフステージにかかわらず辞令が出され従うのが当たり前。単身赴任で家族と離れて何年も暮らすこともしばしば。

家族が転勤についていく場合、転勤の辞令が下るのは男性が多く、働いている妻は自分の仕事をあきらめて夫に帯同する。自分のキャリアをあきらめざるを得ない状況にも追い込まれました。

このように、転居を伴うことで生活すべてが変わることは容易に想像できます。人間関係もしかり、妻の仕事だけでなく子どもの学校なども影響を受けます。

会社がそこで働く社員だけでなく、その人の家族の生活にも大きく影響し、その分、安定的な雇用や家族手当、住宅手当といった待遇などで家族の生活を守っていたともいえるでしょう。入社何年目には課長、入社何年目には部長、といったように、目指すべきキャリアの雛型が存在し、会社が設定したゴールへ向かうことでキャリア形成ができていました。

会社に求められることを、会社が求める速さで粛々とおこなうことが求められ、そこには「足踏み」「休む」「寄り道」の選択肢は存在しません。もしそうすれば、そこで脱落。元のルートに戻ることがむずかしくなる世の中でした。

しかし、いまの世の中は、特別な理由なく性別による待遇差は違法であり、女性の職域が広がり、転勤もあります。転職も当たり前となり、キャリアの雛型などありません。何歳だからこうなっていなければならない、などといったこともないのです。

もちろん会社から求められること「Must」は存在しますし、Mustを実行するための「Can」が不足していれば、努力をして、そのスキルや能力を獲得しなければなりません。

ですが、もし「Must」のために自分の人生の「Will」が脅かされているとしたら、それは自分にとって幸せな生き方なのでしょうか。かつては60歳で定年したあとの生活は余生といえるくらい、それほど長い時間ではありませんでした。しかし、いまは人生100年時代。定年も延び、人生に与えられた時間も延び、余生というには長い時間が残される。私たちはそのような時代を生きています。

それとともに、コロナのパンデミックや世界各地で勃発する戦争など、自分の力ではどうにもできないようなことが突然起き、働き方、生活の仕方、生き方を変えることを余儀なくされてしまうことも知りました。どれほど準備万端、計画を立てても、そのとおりにならない。そのような漫然とした不安感をもって過ごしているともいえます。だからこそ、幸福感を手に入れるためには、一人ひとりが自分と、大切な人と向き合い、働き方や生き方を考えることが大切なのです。

キャリアの選択肢は無限大。出産後もこれまでと同じような働き方をする。いまの会社で育児制度を使った働き方をする。勤務時間を削減するため、もう少しゆとりある業務を目指して、ほかの会社へ転職する。派遣社員として家庭に負担のかからない範囲で働く。雇われない生き方を目指し、個人事業主になる。いったん仕事を辞めて育児に専念したあとまた働く。しばらくは家事と育児に軸足を置くなどなど。

いままでのペースで走り続けたり、ペースを落としたり、寄り道したり、まわり道したり、立ち止まったり、休んだり。その時々の自分のWillや、価値軸を大切にしたキャリア選択ができれば、幸せを感じながら後悔のない自分の人生を歩むことができるでしょう。

6.さらに広がる選択肢パートナー同士で「支え合う」人生

日本の子育てにおいて、歴史的な観点から見ると、長いあいだ女性が子育ての主体とされてきました。江戸時代まで遡ると、日本の社会は封建制度が根付いており、男女の社会的な役割が厳格に分かれていました。女性は主に家庭での仕事や子育てに従事し、男性は仕事や社会的な活動に専念することが当たり前。

西洋の価値観や制度が導入された明治時代以降も、女性が主に家庭において家族を支える役割は続き、とくに戦後の日本は男女の社会的な役割分担が厳格で、男性が外で働き、女性は家庭を守る、子育ての多くは母親が担うのが当たり前でした。

近年は少子高齢化に向かう世の中での労働力確保の必要性、ジェンダー平等、多様性の尊重といった背景から、女性の社会進出が進んでいます。それは喜ばしいことではありますが、いまだに「子育ては母親」という役割意識も一部で残るなか、女性は仕事・子育て両方の役割を全力で担うことが求められている状態が続いています。

仕事上では男性・女性関係なく、ミッションが与えられる。そのための制度も充実してきました。しかし、いつ何時、病気などで親の助けが必要になるかわからない子どもを育てながら働くことは、どのような制度があってもなかなかうまくいかないものなのです。

他国に比べてジェンダー平等の意識が低い日本ですが、「父親が子育てをするのは当たり前」「子育てを楽しみたい」と考える父親も増えてきました。なかなか進まなかった男性の育休取得はここ4~5年で急上昇。もちろん企業規模や業種によっても差があり、取得期間は女性と比べものにならないくらいの短期間取得が主流ではあるものの、「子育てをしたい」と考える父親が増えている流れはたしかなことでしょう。

これからは子育ての主体が母親だけではなく、父親と母親が協力し合うことで、お互い子育てに責任をもち、楽しみ、そしてそれぞれが目指したいキャリアを実現する。そのような生き方も目指せるのではないでしょうか。

産後しばらくは母親の体の回復も必要ですし、母乳で子育てをする場合もあるでしょうから、女性が子育てに専念することが多いでしょう。育休が終了したあとも母親が子育てに軸足を置きたい、ということもあるでしょう。そのときは父親が家計を支える。父親が次のステップへ向けて学び直しをしたい、子育てに軸足を置きたい、というときは母親が家計を支える。

このようにして父親と母親が支え合い、役割を交代しながら、仕事も、子育ても、学びも、それぞれがやりたいことを実現しながら、我が家らしい幸せをつくっていく。そのような父親と母親の関係性があれば、男性・女性に関係なく、誰もが「なりたい自分」「描きたいキャリア」を実現できるのではないでしょうか。

父親と母親が支え合い、お互いの生き方を応援しながら、我が家の幸せを守っていく。平日の昼間に子連れランチを楽しんだり、児童館や公園で子どもを遊ばせたり、授業参観に来るのは母親が多いですが、これからは父親も母親も子連れの楽しみが味わえる時代が来るといいなと思います。

子育ての世界に父親がどんどん入っていくことで、親同士の話題が広がり、子育てに対する視野が広がり、悩みも解決しやすくなるかもしれません。子どもとの遊び方もバリエーションが増え、子どもにとってもよい環境となるでしょう。役割を交代しながら、支え合う。まだ一般的ではない考え方ですが、誰の目を気にする必要もありません。自分の幸せのために、大切な家族の幸せのために、役割意識にとらわれず、パートナー同士で支え合うことで、それぞれが自分らしいキャリアを実現できます。そのような生き方を、あなたからはじめてみてもよいのではないでしょうか。

【コラム】男性も、もっと自由になっていい

この30~40年ほどで日本社会は大きく変わりました。1980~1990年代の新卒一括採用、終身雇用、年功序列といった日本型経営は、学校を卒業後どの仕事に就くかが勝負。一度ルートをはずれたら二度とそこに戻ることはできない、やり直しのきかない世の中。そこに猛烈サラリーマンが生まれ、男性が一家の大黒柱として稼ぎ、女性が家庭を守る、といった家庭が多く誕生したわけです。

「腰かけOL」「寿退社」に代表されるように、女性は仕事上でキャリアを積む前に結婚して仕事を辞め、家庭に入って家事と子育てに専念し、子どもの手が少し離れたらパートに出たり、趣味に励んだりして、老後は定年退職をした夫と余生を過ごす……これがステレオタイプの幸せな女性の生き方でした。

バブルが崩壊し、大手企業も倒産する現実を目の当たりにし、不景気な時代が到来。パソコンやインターネット、AIといったテクノロジーの進化で世界がつながるようになり、急速にグローバル化していきました。

そのような流れから、日本の終身雇用や年功序列は崩壊。それとともに男性の正社員が中心の企業社会も変化を余儀なくされ、派遣やフリーランスといった多様な働き方の登場、リモートワークも当たり前にできる時代へと変化していきました。多様な働き方ができるようになったからこそ、一人ひとりが自分の働き方や生き方を考える必要が出てきたわけです。

ここ30年ほどのさまざまな法整備から、女性が結婚しても、子どもを産んでも、仕事を続けられる世の中へ。しかし、どんなにがんばっても根強く残る男性中心の社会では、なかなか認められないくやしさを味わったり、昇進・昇格に差がつくことで生涯年収は男性より低くなったり……そのような状況のなかで女性は生き方や働き方を変化させてきました。というか、変わらざるを得なかったのです。

子どもを産めば、どうしても仕事を一時中断することになります。自分の都合だけで時間の使い方を決めることもできなくなります。だからこそ、「いま自分にとって大切なことは何か? この先をどう生きていくのか?」を常に考えながら、人生の選択をしているのです。

もちろん「せざるを得ない」状況での選択が多いわけですから、100%すべてが自分の思いどおりになるわけではありません。何かをあきらめたり、手放したりしながら、その変化を受け入れてきたのです。でも結果として、ひとつの会社、ひとつの世界に縛られない、柔軟で自由な発想で、みずから生き方を変化させる力を得てきたわけですね。

ひとつの会社で定年までずっとという世の中ではありませんから、これからは男性もみずから変化を起こす力をつけていく必要があります。「変わること」にはエネルギーがいるものです。「このままでいいのかな」「なんとなくモヤモヤする」といった内発的動機よりも、「転勤でいまの家から通えなくなる。どうしても転居はできない」「妻の時短勤務が終わり、保育園のお迎えを分担することになる」といった外発的動機のほうが「変わらざるを得ない」といったエネルギーが沸き、変化を起こしやすいかもしれません。大事なのは、「自分のなかに沸き起こる違和感」に向き合うこと。内発的動機・外発的動機どちらであっても、自分がありたい姿や得たいもの、描きたい未来に対していまどうすればよいのかを考えるのです。

もっと自由に人生を楽しみましょう。

*   *   *

第1章はここまで!
続きを読みたい方は、各電子ストアにて12月31日より随時発売になります。ぜひお買い求めください。
下記リンクはAmazonストアでの商品ページになります。書籍の詳細と目次もこちらからご覧になれます。
書籍『キャリアと子育てを両立する! 自分と家族の価値軸で築く幸せな生き方』

■ペーパーバック版(紙)

■Kindle版(電子書籍)

■書籍情報

自分らしく我が家らしい生き方を見つけよう!
あなたのキャリアと子どもの未来のキャリアを考える1冊。


「もっと子育てを楽しみたいのに、仕事のためにあきらめている」
「子育て期のキャリア形成に悩んでいる」
「子どもを産むタイミングがわからなくなっている」
などの悩みを抱えているあなたに、本書はその考え方やヒントをお伝えします。

●人生100年時代、多様な働き方ができる今、自らのキャリアをどのように築いていけばよいか
●子どもの成長と共に変化する子育てとキャリアを、どう調和させていけばよいか
●我が子の幸せな未来へ向けて、親にできることは何か
●自分らしい生き方、我が家らしい幸せとは何か
これらを考える方法を具体的に提示しています。

子育てとキャリアの両立は幼少期だけの課題ではありません。本書には、妊娠期から子どもが成人するまでの期間に想定されることと、対応をどうすればよいかが書かれています。これ1冊で子育て期間の生活がイメージできるようになっています。
本書を読みながら、キャリア研修で使用しているワークに取り組むことで、自分らしい、我が家らしい幸せな生き方を導き出すことができるでしょう。

サラリーマン生活22年、独立起業10年。自分自身のキャリアを築きながら、一男一女の子育てを経験。2人とも、難関国立大学の推薦入試で合格。自分の頭で考え、行動できる人へと育て上げた著者が、「子育て期の親のキャリア形成」と「どのような時代でも自分らしく幸せに生きる力をもった子を育てる方法」について解説。

【目次】

序章 自分のキャリアも、子どもの未来のキャリアも、両方叶える後悔のない人生
第1章 人生100年時代のキャリア
第2章 幸せに生きるために考えたいこと
第3章 仕事と子育て、これだけやれば後悔しない計画案
第4章 正解のない時代の一流の子育て
終章 あなたの人生はみずからつくるもの

【購入特典】

ライフキャリアデザインを考えるワークシート3枚セット

■著者プロフィール

江野本由香

ライフキャリアコンサルタント
日本女子大学文学部教育学科卒業後、株式会社リクルートに入社。人材サービス事業部にて6000件を超える企業の人材採用に携わり、年間1万件以上の声を受ける読者相談室にて働く人のお悩みと向き合う。2二度の産休、育休を取得。在籍22年の内10年間を時短勤務で働く。「24時間365日、時間の使い方を自分の価値軸で決めたい」「20年後、65歳になってもイキイキ働いていたい」という思いから独立。ライフシフト、ダイバーシティ、エンゲージメント、アンガーマネジメントなどの講演、研修、コンサルティングに従事する傍ら、我が子の小・中・大学受験、小学校受験塾の講師経験を踏まえた教育カウンセリングも行なっている。

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