見出し画像

【第2回】いま知っておきたい「移住×転職」 U I Jターンで実現する自分らしい地方暮らし

▼バックナンバー
第1回:なんとなくからはじめるUIJターン/移住先の選び方

●遠距離就活のススメ

「移住×転職」のプロセスは実際にやってみると、「こんなものか」と感じます。私はここで読者に、「怖がらなくてもいいよ~」と伝えたい。

移住のために必要なこと、転職のために必要なこと、それぞれのプロセスは同時進行で考える必要があるもの、同時でなくてもよいものがあります。いま、何をする必要があるのか、何をしなくていいのか、ひとつずつ明確にしてクリアしていくと、思っているよりも低い階段です。

では、何がハードルを上げているのか。日々お受けする相談の中から、一番の原因は「(その土地を)知らないこと」だと気づきました。「○○市に移住したい」と言う割には、地名や産業など、その土地のことを知らない方が多いのです。そして、自ら調べず相談に来るわけですが、何を聞いていいのかもわからない。となると、こちらも答えようがありません。

相談者の方にお伝えするのは、「私とあなたでは価値観が違う」こと。

私が話すことは、「私」というフィルターを通しているため、私の価値観を元にしています。あなたと私は違うので、あなたご自身でその土地を知ってください。あなたの価値観で考えることができれば、選択ができます。その選択ができるようにサポートするのが、私の役目だと思っています。

たとえば、街中のお店。外から見てなんのお店かわからないと、入りにくいですよね。それでも気になったらスマホで検索します。(私なら「〇〇市〇〇町 お店」とか検索するかな)

そこで寿司屋とわかったとします。次に気になるのは、価格やおいしさの評価。「食べログ」にお店の紹介が掲載されていて、営業時間や価格帯、お店の雰囲気もわかったら、入るかどうかを決めます。

実は、「移住×転職」もこれをするだけ!(なんと、かんたん!)

ご自身で調べたのちに、「え、こんなに仕事ないの」と気づき、相談される方も多いです。

そのとき「なぜ求人が少ないのかを考えたことありますか」と尋ねると返事がありません。

地域によっては、首都圏で経験していた仕事がないこともあります。となると転職の場合、「地域を変える」or「仕事(業種や職種)を変える」の選択が必要になります。「移住×転職」は、移住しようと考えた地域に「どんな仕事があるのか」を調べることからはじまるのです。

「でもどうやって? 検索しても(地方の)求人は出てきません」
「そうなんですね。どのように調べましたか」

このようなやり取りもよくあります。何人かに聞いてみると、テレビでもCMを流しているような大きな転職サイトで「都道府県」と「年収(現年収同等かそれ以上の金額)」だけ入力していました。

すみません。実はこんなことを聞くたび、「出てきません」と話す方を前に、(まぁ、出てこないだろうなぁ……)と思っています。

ここでいう「出てきません」の裏には、「自分の思っているような理想の求人がない」という相談者の思いがありますので、まずは、どのような求人を探していたのかをお聞きし、検索方法を考えます。そして、本当にないのか事実を確かめます。

リクナビやマイナビなどメジャーな転職サイトでは、地方企業の求人はまだまだ少ないです。あったとしても、職種や資格、求められる経験のレベルが高く、とくに若年者ではミスマッチだろうと感じるものが多くあります。転職サイトのお金の流れを考えると当たり前なのですが、知らない人も多いです。

私は何度か転職をしましたが、正社員転職に限定すると、すべてハローワークで求人を見つけました。地方転職こそ、ハローワークです。サポートをする側になってからは、さらにハローワークのありがたさに気づき、「地場企業はハローワークで探す」と皆さんにお伝えしています。広域求職活動費などの条件を満たすことで支給される雇用保険活用も、知っておいてほしい制度です。

あわせて、移住を考える地域の自治体の相談窓口を活用するようにお勧めしています。自治体によっては独自に求人サイトをもっているところもあり、地場企業の情報が手に入りやすいです。

そして調べて満足していてはダメです。(もったいない!)

調べたら、自治体の相談員に相談する。そして相談するときにも、ちょっとしたコツが。

「この企業いいですか?」なんて聞き方はもってのほか。「いい」の基準は人それぞれですよね。

「この企業の周辺環境を知りたいです。少し不便な場所にあるように見えるので、通勤はどうしてるんだろう……」このような相談を受けたら嬉しくなります。

「仕事内容じゃないんだ……」と思われる方もいるでしょうが、毎日通勤する必要のある仕事であれば、通勤の便は重要なポイントです。車がないと通勤できないということも地域によってはありますから。

あなたが興味をもって調べたうえで相談してくれるほど、サポートできることが増えます。うまくいけば、先輩移住者とのご縁ができる人もいますよ。

 ●満足度UPの「移住×転職」ノート

 「移住×転職」の相談では、「地元に戻ると負けた気がする」「給料安すぎ」などという声もあります。そんなことを言っていては、いつまでたっても最初の一歩が踏み出せません。本当に「移住×転職」したいならば、まずは自分自身どうしたいのか、何を望んでいるのか、と「移住×転職」を考えた根っこを掘り下げましょう。ここからはワークをしながら考えをまとめていきましょう。

まずは自分のゴールの設定から。

先述しましたが、お勧めは10年後を目安に、ありたい姿(こんな暮らしになっている!)を考えていきます。私が思う、とくに考えておくべきことは「絶対イヤ」を減らす未来。

「したい・なりたい」もいいですが、「したくない・なりたくない」を減らすほうが、ストレスって減りませんか? 私はこのほうがスルッと書き出せます。

10年後を明確にしたら、「憧れの人選手権」を開催しましょう!

これは何かというと、10年後の理想の姿をすでに実現している人、つまり憧れの人を……

①探し出し → ②ライフスタイルや行動をマネして → ③どんな気分か想像して味わってみる

たったの3ステップで、憧れだった未来にグンと近づけます。

(私の周りでは、憧れの人なりきり選手権として有名です)

次は、いまのあなたを深堀します。

いまのあなたがロールプレイングゲームの主人公だとしたら、ステータス欄にはなんと表示されていますか?

職業は? 仲間は? 持ち物は? 武器は? 技は? 魔法は? レベルは?

これらを「移住×転職」の主人公に置き換えると、次のようになります。

いまの仕事は? 頼れる家族や友人は? 資金(資産)は? 強みは? 資格やスキルは? 得意なことは? 年齢は?

いまの自分を書き出せば、いま何があるかを自覚することができます。あるのは安心の元です。

しかし一方で、先述した「憧れの人」になるために“足りない”ものが見えてきます。それは知識かもしれないし、資金かもしれない。繰り返しになりますが、「移住×転職」はこれらを手に入れたくて行う手段です。人それぞれの“足りない”を補う何かは、あなたの考える「移住×転職」で得た暮らしで手に入りそうかを考えてみてください。

具体的には、どんな「移住×転職」であれば理想の将来は実現するのでしょうか? 憧れの人や主人公になることは、10年後のありたい自分に足りないものを気づかせてくれます。

自己分析不足は失敗と後悔を招きます。自分と向き合う時間を、しっかりつくってくださいね。だれかの手を借りるのもいいと思います。

移住や転職を考えるとき、いつだって私の頭の中は楽しむことで頭がいっぱいでした。新しい仕事や土地にワクワク、出会いにワクワク。

しかし相談者の中には、暗く不安に満ちた顔で、移住先や転職先が決まっても「本当にこれでよかったのでしょうか……」と相談に来る方がいるのです。移住や転職をすることで、いまより幸せになりたいのに心がネガティブに傾いていては、幸せが遠のいてしまうのではないでしょうか?

0に何を掛け算しても0です。まずはノートを使って、いまの自分の姿や将来に対しての考え、大切にしたいことなどを客観的に見つめる。心が1になるよう不安が何かを知り、そこから「移住×転職」の作戦を立てていきましょう。

次回に続く

著者プロフィール

山本 りお

福岡県在住
移住×転職コンサルタント/国家資格キャリアコンサルタント

大学卒業後、販売職として子供服メーカーに就職。デザイナー、事務職など、5回の移住と6回の転職で「パートから役員まで」さまざまな働き方を経験。北九州市への移住をきっかけに、現在は移住や転職経験を活かした自治体設置する「移住・就職相談窓口」に勤務。4年間でのべ約4,000件の面談を実施。20代~40代の方を中心に「移住×転職」活動をサポート中。

*   *   *

著者デビューの夢を叶える!「電子出版サロン」
5月の体験入学受付中! 無料ですのでお気軽にご参加ください😊

【詳細・日時・申込はこちら】

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?