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知的トレーニング 外部環境の関心や洞察力を鍛える⑤

外部環境について、人生や会社の目的や目標から導き出された仮説とぶつけてみるということについて述べてきました。

今回は、人生や会社の目的や目標、将来ビジョンを強く心に焼き付けることによって、自然とアンテナが立ちインプットに仮説が自然にぶつけられるようになる、という話をしたいと思います。


外部環境情報のインプットの効果的な進め方

以前までの記事にも記載しましたが、外部環境へのアンテナを立てることによって新聞やニュースによる情報が活用できる情報に変わっていきます。

最初は、目標や目的、そこから派生するビジョンが心の中に焼き付いていないので、様々な情報に触れたところでそれが自分自身の仮説とぶつからないのです。

この段階においては、目的・目標やビジョンから派生する仮説・外部環境仮説を記載した紙やデータなどを手元に置いて意識しながら新聞などの情報に触れていくとよいでしょう。かなり面倒かもしれませんが、どのような記事であってもなにがしかのつながりがあることが多いのです。

例えば、以下のような表を作って手元に置いておきながら新聞やニュースに触れるということです。(できれば、紙でプリントアウトして手元に置いておくことをお勧めします

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情報は、そのまま何も加工されないとなかなか記憶には残りにくいものですが、自分自身の仮説とぶつかることで脳にこびりつきやすくなります

それは情報というインプットを、仮説の検証や目的・目標、ビジョンの実現というアウトプットに活かすために活用するからです。

そして、そのアウトプットの幅を縦(対象)と横(時間)に広げていくことによって外部環境への自分事化力と洞察力を鍛えることで、そのインプットの効果が飛躍的に伸びていくのです。

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ただ、いちいち紙を手元においておきながらインプットに努めるのは面倒と感じる方も多いと思います。



目的やビジョンを焼き付ける

そこで、先ほどの紙でプリントアウトした目的やビジョンを心に焼き付けることによって、普通のインプットを効果的にすることができるのです。

これはどういうことかというと、成し遂げたい人生の目標や会社の方向性を強く心に焼きつければ、そこから勝手にアンテナが立ってくるということです。

日々目標や目的、ビジョンを自分に叩き込んでいると、様々な情報にアンテナが立ってきます。そうすると新聞を読んでいても、特段メモも取らずにいたとしても勝手に情報が仮説とぶつかって脳にこびりついてくることになるのです。

よく、毎朝アファメーションや、自分が立てた目的やビジョンを暗唱するといったことが推奨されていますが、そこにはこのような効果があると思います。

いってみれば自分の心に、目的やビジョンを焼き付けるということです。焼き付けることによって、自然にアンテナが張られて、いつでも意識が向かうようになるのです。

焼き付けるためには以下の2つの要素が重要だと考えています。

① 実現したいという強い思いを持つ

② 目的・目標とそこからのビジョンを日々振り返る

以下で、それぞれについて見ていきたいと思います。


実現したいという強い思いを持つ

当たり前の話で大変恐縮ですが、本当に目的・目標、ビジョンを実現しようと強く思わなければ心に焼き付くことはありません。逆に無理やり洗脳されるような目的・目標意識なんていやですよね。。


■まずは自分自身の短期的なことから

この条件を満たすために、まずは自分自身の短期的なことから始めることが大切なのです。

まずは、自分自身が短期的に実現したいこと(短期目標)、それを実現した姿(短期ビジョン)、を心に焼き付けることであれば比較的簡単なのではないかと思うのです。

例えば、前述の図(以下再掲)で言えば、○○さんと結婚をするということが一番強い思いであったとして、そのために仕事で短期的な成果を出す、ということでもよいと思います。「結婚したい!!」という思いに引っ張られて仕事の成果にもアンテナが立てば、それで十分です。

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強く思うということも、ある種筋トレ的な要素があります。正しいフォームで、適切な負荷をかけながら前進していくことが大切です。もちろん、適度な休息も必要です。



■会社経営で言うと

会社経営で言うと、経営理念(ミッション)、ビジョンをどれだけ実現したいと切実に思えるかということです。

私は、この実現したいという思いをどこまで正しく強く広く持てるか、ということは経営者の一番重要な資質であると考えています。

■正しさ

ここでいう、正しさとは社員さんも含めて皆さんが心から実現したいと思える内容のミッション・ビジョンであるか、ということです。

やはり、経営には原理原則があり、お客様や世の中に中長期的に貢献し続けることに貢献できなければ皆さんが心から実現したいと思えるミッション、ビジョンにはなり得ません


■強さ(我欲を超えたもの)

思いの強さについては、我欲を超えたものがなければ一定以上は超えられないのではないかと考えています。

人間の個人の欲には限界があります。もちろんその限界の幅には個人差はあるでしょうが、我欲を超えた力に比べれば誤差の範囲内ともいえるかもしれません。

私自身も我欲を超えたことを意識し始めた程度なので、人のことは言えないのですが。。

自身の体験から一つ言えることがあるとすると、やはり自分が豊かになりたいとか、楽しみたいとかそういった欲については限界があるということです。また、限界に至らずとも、「まぁ、それでいいか」と思いがちということです。

例えば、「将来クルーザーが欲しい、クルーザーで悠々自適に釣りでもして過ごしたい」という個人的欲求があるとして、それが実現できずとも、そこそこの暮らしができていればほぼ100%の人は「まぁ、いっか」と思うのではないでしょうか。

ビジョナリーカンパニー2で書かれていることではありますが、「GOODはGREATの敵」なのです。

GOODに満足してしまうと、GREATに進む前に妥協してしまいます。なので、GREATに向かう必然性を自分自身や組織に強く課せるかどうか、がとても重要なことなのです。

それが「志」というやつなのでしょう。


■広さ

広さについては、必ずしも広ければいいというわけではないのですが、広ければ広いほど、世の中に受け入れられやすいことになります。今で言えば、SDG'Sに掲げられていることなど、思いが広ければ自然に関心が湧き共通点が出てくることになるでしょう。

その逆で言えば、自分だけがよければいいという考えになってしまいます。自分勝手な考え方だとだいたいのことはうまくいかないので実感がわく方も多いのではないかと思います。

論語で言えば、

「利に放(よ)って行えば怨み多し」

「利は義の和なり」

ということでしょう。


目的・目標とそこからのビジョンを日々振り返る


シンプルな目的(ミッション)・目標、ビジョンであれば、日々振り返らなくても強い意思があれば忘れることはないでしょう。


■伝える用のミッション・ビジョンはシンプルに

だからこそ、目的(ミッション)やビジョンはシンプルであればあるほど心に焼き付けられます。また、自分自身の心に焼き付けられやすいということは、伝える仲間の意識にも焼き付けられやすいということでもあるため、伝える、焼き付けるようの目的(ミッション)やビジョンについてはシンプルを心がけるとよいでしょう。

そして、経営において言えば、ミッションとビジョンを具体的にアンテナを立てて検討する仲間=マネジメントチームには、シンプルなミッション・ビジョンだけでなく、以下の具体的なビジョンまで共有し、同じアンテナを立ててもらう必要があります。


■検討する用のビジョンは具体性を意識する

一方で、具体的な仮説、そこから派生する外部環境仮説を導きだすためには、目的(ミッション)を実現する具体的な将来像としてのビジョンは具体的である必要があります

そして、その具体的なビジョンまでを心に焼き付けなければ、具体的なアンテナが立つことはありません。ビジョンや仮説に具体性がなければ、熱い思いは湧きたちますが、具体的な検討が進まないのです。

この具体的なビジョンについては、何度も何度も載せて恐縮ですが、以下のビジョンマトリクスを参考にしていただければと思います。

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これを、プリントアウトして手元に置いておく、そして、そのビジョンを日々決まった時間に眺める、必要な個所は声に出すなどして日々の振り返りを行います。

この具体性のあるビジョンが心に焼き付いたら、後はアンテナが自然に立ってくれます。アンテナが自然に立つようになったからといってミッション・ビジョンの振り返りの習慣は継続していただいたほうがよいでしょう。


まとめ

1.ミッション・ビジョンを心に焼き付ければ、外部環境情報は飛び込んできて勝手に仮説とぶつかり脳にこびりつく。

2.心に焼き付けるためには

 ①その実現を強く思う(正しく、強く、広く 経営者の場合にはそれが資質となる)

 ②日々振り返る 

 ことが必要。


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