見出し画像

【ものづくり現場で管理会計6:大トロはなぜ儲からない?キャッシュフロー経営(Part3)】

*本マガジンの前回までの投稿は上のリンクに入れています。  

現場改善の手法や考え方を学び実践をした紫耀(ショウ)。早いもので入社5年目になりました。課のコストや売り上げ、収益管理にも関わるようになり、会計に興味を持ちます。そして、先輩の健に再度、会計について教えを請います。ここまでで、B/S、PLを学び、次にキャッシュフロー経営について学びます。キャッシュフロー経営に関しては、3回に分けて学びます。今回がPart3となり、具体的なキャッシュフロー経営の例について簡単に説明します。なお。この投稿は会計の基本がストーリーで学べる本~餃子屋と高級レストランどちらが儲かるのか~の第三章に沿って進めます。(本のリンクは最後に貼っています。)]

・・・・・・・・・

🧒;おはようございます。

👱🏼‍;おはよう。今日は、悪いキャッシュフロー例と目指すべきキャッシュフロー例を解説しながら、キャッシュフロー計算書の理解を深めていってもらうよ。前回の説明した下記の図は頭に入れておいてくれ。

画像1

🧒;よろしくお願いします!

パターン1 ハンナの直近2か月のキャッシュフローの動き(運転資金がショートして身動き取れない)

👱🏼‍:安曇先生は、いろんなパターンを説明してくれるんだ。まず、直近で由紀さんが経験してきた悪いキャッシュフローのパターンを説明する。パターン1だ。由紀さんの会社ハンナは、たびたび運転資金のショートを起こしただけでなく多額の銀行価値入れで身動きが取れない状況だった。つまり、ハンナの実力では、現在の借入金は多すぎてとてもじゃないけど、元本を返済して利息を払うだけの体力はない。そこで、銀行の支店長は由紀さんにリストラの決断を迫った。そして、由紀さんは現金を生まない固定資産を売却して①借入金を返済した。ところが、やっと利益がでたものの在庫が増えたため運転資金がショートし再び借入を起こした。②

図:パターン1
直近、これまでのキャッシュフローの動き
(運転資金がショートし多額の借金で身動き取れない)

画像2

🧒;あくまでもキャッシュの流れですね。なるほど、これまでの現象が図解できますね。経理部長が怒っていたのがわかります・・。利益が出ても手元にある現金が十分なわけではない。現金を別で使ってしまっているということですね・・。

パターン2 父が経営していた時のキャッシュフローの動き(借入による設備投資が失敗した場合)

👱🏼‍;そうだね。“利益出たから借入いらない”って、手元の現金も見ずにいってはいけないわな。さて、次のパターン2は、由紀さんのお父さんが何をしてきたかだ。

🧒;もう明らかに悪そうですね。

👱🏼‍;うん。まず由紀さんのお父さんは、工場を建て、最新の設備やミシンを購入して生産力をつけようとした。しかし、会社に購入資金はない。当時は銀行借り入れで投資するのは当然だったから全額借入金(財務CF)で賄った。(③)ところが、予想に反して売り上げが伸びず品種が多いから在庫も増え、営業CFを借入金の返済に充てたため(④)資金が不足となり、銀行から新たに調達をしたんだ。(⑤

図:パターン2
父が経営していた時のキャッシュフローの動き
(借入金による設備投資が失敗した状態)

画像6


🧒;高度経済成長の成功体験がそのまま残ってしまったような感じですね。作れば売れるという。借入がどんどん膨らみますね。

パターン3 父が目指した現金の流れ(借入金による、設備投資が成功した状態)


👱🏼‍;そう。きっと由紀さんのお父さんはまさに下記のようなことを狙っていたんだと思うよ。パターン3だ。投資資金を借入金(⑥)で調達しても、会社の業績は向上し、営業活動から十分な現金収入がもたらされて、借入金の返済も利息の支払い(⑦)も問題なかった。ところが現実はそうはいかなかった。

図:パターン3
父が目指した現金の流れ
(借入金による、設備投資が成功した状態)

画像6

🧒;由紀さんが相続した負の遺産は、お父さんの判断ミスと言わざるを得ないですね。

パターン4 3か月後の現金の流れ(借入金返済を最優先した状態)


👱🏼‍;そうだ。そして。今後のハンナの収支を予測してみると。在庫も減らし、固定資産のムダを排除したことによって、営業CFは黒字になるはずだね。また、北海道工場も由紀さんは売却すると言っているので売れれば、現金が入る。しかし、これらは銀行借入金の返済(⑧)と利息に充てられる。

図:パターン4
3か月後の現金の流れ
(借入金返済を最優先した状態)

画像5

🧒;いいですね。

👱🏼‍:いや、良くない。これじゃ、銀行のために働いているようなものだ。だからといって、由紀さんの会社には新規投資する余裕もない。投資が出来なければ、競争力は急激に落ちてしまう。このジレンマをどう克服するか?これが問題だ。

パターン5 目指すべき現金の流れ(キャッシュフロー経営が完成した状態)


🧒;むむ。どうすれば・・。

👱🏼‍;ここで、由紀さんは安曇先生に「どこかのタイミングで積極的に投資するタイミングが必要なんですね。」という。その通りだよね。借入金なしでの成長を考えなければならない。下記のような恰好だ。現金は泉のように湧いてくる。将来への投資も盤石(⑨)。しかも借金はゼロだから余った現金は株主に還元できる。

パターン5
目指すべき現金の流れ
(キャッシュフロー経営が完成した状態)

画像7


🧒;株主配当でれば由紀さんも好きなもの買えますね!しかし、そんなにうまくいくものなのでしょうか?

👱🏼‍;由紀さんもこの説明を聞いた後同じ質問をするんだ。そうすると安曇先生は、「君自身に強い意志と実行力があれば可能だ」というんだ。そうすると由紀さんは、「自信はないけど挑戦します!」っていうんだ。

🧒;おー、すばらしい。そして、ここまで説明してもらうとキャッシュフロー経営の考え方。そして、キャッシュフロー計算書をどんな目で見ればいいのかだいぶわかりました。

👱🏼‍;そうか。それは良かった。今回はこれで終わりだ。この3回で現金と在庫の関係、キャッシュフロー計算書の概要、そして、その見方について説明してきた。だいぶキャッシュフローについては理解したのではないかな?

🧒;もう少し復習が必要ですが、だいぶわかりました。

👱🏼‍;そうか、次回は一部本の内容を飛ばして、先にいくけども、餃子屋と高級フレンチどちらが儲かるかというタイトルそのもののを解説していくよ。そして、ここは私が最も話したかった、製造現場でもすぐ活用できる内容がでてくるんだ。

🧒;それは楽しみです。よろしくお願いいします。

・・・・

 今回はこれまで話してきた主人公の会社の問題をキャッシュフローで表しました。この3回で何となくキャッシュフロー経営についてわかってもらえたかと思います。次は、この本のタイトルにもなった餃子屋と高級フレンチはどちらが儲かるのかについて解説します。利益構造と損益分岐点の解説になります。その後、実際の使い方の例も解説していきたいと思いますので、ぜひフォロー、スキお願いします。次の投稿は下記です。

今回は下記の本に沿って、解釈を入れながら投稿しています。

#製造
#理論と実践
#ものづくり
#成長
#5S
#トヨタ生産方式
#ジャストインタイム
#自働化
#リーンプロダクション
#ザゴール
#制約理論
#ドラッガー
#ビジョナリーカンパニー
#アドラー
#コーチング
#情報リテラシー
#要件定義
#会計
#損益計算書
#決算書


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?