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【ものづくり現場で管理会計4:大トロはなぜ儲からない?キャッシュフロー経営(part1)

*本マガジンの前回までの投稿は上のリンクに入れています。

現場改善の手法や考え方を学び実践をした紫耀(ショウ)。早いもので入社5年目になりました。課のコストや売り上げ、収益管理にも関わるようになり、会計に興味を持ちます。そして、先輩の健に再度、会計について教えを請います。今回次会、その次と3回で、キャッシュフロー経営について学びます。この投稿は、会計の基本がストーリーで学べる本~餃子屋と高級レストランどちらが儲かるのか~の第三章に沿って進めます。(本のリンクは最後に貼っています。)

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👱🏼‍;おはよう。

🧒;おはようございます。前回、B/Sの解説をしてもらって、利益と現金は異なるってところで混乱してしまいました。キャッシュフロー経営を学ぶことで理解したいと思います。

👱🏼‍;そうだね。安曇先生の由紀さんへの第三回目のレクチャーはお寿司屋さんで行われるんだ。そこで、キャッシュフローについて学んでいくよ。

🧒;毎回いいところですね・・。

◆現金の有無と(単位当たり)利益の違い

👱🏼‍;今回は、このお寿司屋さんのネタをを使ってキャッシュフローについて解説されていくんだ。ちなみに、引き続き由紀さんは経理部長に嫌味を言われる日々だそうで、先日も下記のような会話があったようだ。

経理部長「社長、今月は久しぶりに利益が出そうですが、支払い資金が足りないので、銀行価値入れをしたく思います。」

由紀さん(社長)「借入って、利益が出たのなら資金繰りはよくなはずですよね?」

経理部長「社長!!!!!!!!もっと会計を勉強しなさい!!」

だそうだ。

🧒:あらま、、だいぶ怒られてしまったのですね。

👱🏼‍;でも、経理部長が言っていることは間違いではないんだよね。現金の有無と利益の違いという話につながってくるんだ。

🧒;そこを教えてほしいのです!

◆大トロとコハダどちら儲かる?

👱🏼‍:了解。ところで、大トロの握りは儲かると思うかい?

🧒;はい。1貫500円以上もするので、儲からないはずはないですよね?

👱🏼‍;安曇先生の説明では、結論から言うと大トロは儲からないんだ。1貫当たりの利益が高くても儲からないんだ。

🧒;え?利益が高くて儲からない??単価が高い大トロが売れれば儲けは増えるはずでは?

👱🏼‍;ここでヒントだ。コハダは儲かるけど、大トロは儲からない。寿司屋全体を現金製造機とみなして考えてみて

🧒;普段使う「儲かる」という言葉の意味は「現金が増える」ことで、会計でいう利益とはニュアンスが違う大トロよりもコハダを打ったほうが現金が増えるいっているのですよね?

👱🏼‍:そうだ。

🧒;クロマグロの大トロは、仕入れ値が高くしかもいつも手に入るとは限らない。だから、市場に行ったとき、気に入ったマグロが見つかれば多めに仕入れようとする。そうなるとすべて売り切るのに、例えば1か月かかるとすると、最初に支払った現金すべてが回収されるまで1か月もかかるということになります。

👱🏼‍:おお、いいね。

🧒;よく考えると、コハダはそうではないですね。仕入れ値は安い。1貫当たりの売値も安いから客は気軽に注文する。新鮮さがうちものだから1度に大量に仕入れることはしない。1日分仕入れて、その日のうちに売り切るとしたら、今日仕入れたコハダは閉店の時にはすべて現金に代わっているんですね。つまり、在庫として溜まっている時間が違う!!

◆儲け(現金の増加)と滞留資金量

👱🏼‍;おー、在庫に着目できるようになってきたね。さらに、安曇先生は考えるポイントは儲け(現金の増加)と資金量だと言っている。確かに1貫当たりの利益は大トロの方が大木からコハダより儲かるように、錯覚する。しかし資金量に着目するとコハダの方が儲かる。それぞれを購入した資金が再び現金になるまでの時間が第一のポイントなんだ。

🧒;おー、在庫。また出てきましたね。やはりこれをいかに小さくするかですね。

👱🏼‍;そう。コハダは大トロよりずっと短い時間で現金に代わる。だからコハダは少ない資金を繰り返し回転させることで、現金を稼ぎ出せる。しかし、大トロを売り切るまでは1か月もっかるからその間資金が寝てしまうわけだ。

🧒;ですね。

👱🏼‍;具体的に、本に沿って数字を使って説明するね。

・このお寿司屋さんは毎日コハダを100匹5千円で仕入れてその日のうちにすべて売りつくす。そして毎日仕入れる。

・一方クロマグロの大トロは月1回10キロ5万円で仕入れて25日間(1貫50g×1日8貫×25日=10Kg)で売ると仮定する。

👱🏼‍;そして、最初に必要な資金は“コハダ:5千円”と“クロマグロ:5万円”。しかし1か月間で稼ぎ出す現金の大きさは全く異なる。

🧒;そうなのですか?

👱🏼‍;そうだ計算してみよう。まずは現金の増加。表も確認してくれ。

・コハダを1巻100円(原価50円)で売れば1か月後の現金は、12万5千円(1日の儲け=利益50円×100匹=5千円、これが25日で12万5千円)に膨らむ。

・大トロは1か月かけて1貫500円(原価250円)で売るとした場合、増える現金は5万円(1日の儲け=利益250円×8貫=2000円、それが25日で5万円)

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🧒;なんか、嘘みたいですね。。計算すれば確かにそうですが。。。。ちんたらちんたら売っていたらいくら利益が高くても現金は増えは遅いということですね。

👱🏼‍;そう。そして、資金量について、これも表も見てくれ。

・コハダに使う資金5千円は1日で回収れるから、滞留資金は12万5千(5千円×25日)
・ところが、大トロすべてが売り切るまでに延べ62万5千円の資金が滞留してしまうことになる。(表を参照。)


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つまり、少ない資金を高回転で回すコハダの方が経営上圧倒的に有利と言えるんだ。

🧒;なるほど、つまり工場で考えると、将来の注文に備えて、材料を大量に保管していると滞留資金量が増えて、現金が足りなくなるのですね。

👱🏼‍;そうだ。ハンナの場合も、新作に備えて、大量に生地と付属品を購入して在庫にしていて、資金量は10億に上るそうだ。

🧒;つまり、ハンナもコハダのように現金の回転速度を早くすることが必要なのですね。もちろん注文がある前提ですが。

👱🏼‍;その通りだ。これまで、ずーとやってきている、在庫を減らすということは、現場の効率を上げるだけでなく、少ない資金量で商売をするということでもあるんだよ。

🧒;何度も何度も出てきますね。。さすがに意識高くなってきました。

👱🏼‍;でも、その大トロが儲からないという常識をひっくり返したのがスシローなどの回転ずしなんだ。

🧒;どういうことですか?

👱🏼‍;クロマグロの大トロであっても仕入れルートが確保でき客がどんどん来てくれれば回転速度は高まる。1本100万のまぐろも1日で売り切ることが出来たら資金が滞留する期間はコハダと同じだ。だから、多少安く売っても大トロの握りは儲かる商品に代わる。これが回転ずしが儲かる仕組みだ。

🧒;恐るべし回転ずし。。。

👱🏼‍;経営における、単位当たりの利益の盲点、キャッシュフローにおける在庫の影響(高回転の重要性)は分かってもらえたかな?今回は少し短いけども、区切りがいいのでここで終了とするよ。次回は現金の流れを可視化するキャッシュフロー計算書について解説するよ。

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◆最後に
今回は、単位あたりの見た目の利益だけでない、現金の増加の確認方法、そして滞留しているキャッシュの問題について、簡単に解説しました。次回は、現金の流れを会社として見える化するキャッシュ計算書について解説を実施します。引き続き、フォロー、スキよろしくお願いします。

今回は下記の本に沿って、解釈を入れながら投稿しています。


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