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【エレベーター広告をマスメディアに】株式会社東京羅社長インタビュー

GMOアドマーケティングは、株式会社東京が提供するエレベーター広告『GRAND』に対する認知度調査サービスの提供を開始しました。

プレスリリースはこちら↓

今回は、いま注目のエレベーター広告『GRAND』を提供する株式会社東京の羅悠鴻社長にお話を伺いました。

羅 悠鴻(ら ゆうほん)氏
株式会社東京 代表取締役。
2017年2月、“手ぶらな世界”をミッションに株式会社東京を立ち上げ。
新体験エレベーターメディア『GRAND』、
高視認性、ELVホールモニター『エレビGO』、
唯一の体験、ELVプロジェクター『エレシネマ』を提供する。



羅社長と“DOOH”の意外な関係

ー近年、DOOHの市場は右肩上がりだと考えられますが、その背景には何が影響していると考えられますか?

インターネット広告が飽和状態に達し、Cookieの収集が難しくなり、DSPやSSPに頼っていた広告主は1stパーティーデータに注目するようになりました。こうした変化が、DOOH市場の成長に寄与していると考えられます。

……と答えましたが、じつは、会社を設立したときは、DOOHという言葉を知らなかったんです(笑)。DOOHの領域を意識していまの事業を始めたわけではありませんでした。
学生起業で何も知らずにエレベーターという場所を活かしたビジネスを始め、あるとき「これってDOOHだよね?」と周囲から指摘され、初めてその存在を知りました。

DOOH広告:Digital Out of Homeの略。看板や駅構内広告など、家庭外の広告全般を指すOOH広告(Out of Home)の一種であり、デジタルサイネージなど、デジタル技術を活用したOOH広告を指します。

ーそうだったんですね。では、エレベーター広告事業をやろうと思ったきっかけはなんだったんですか?

私がエレベーター広告事業に取り組むきっかけは、大学生の頃の経験にあります。
当時、大学のエレベーター内に掲示板があるのを見つけたんです。通常、掲示板は建物の外にあるものだと思っていましたが、エレベーター内にさまざまな英語の張り紙が貼られており、大学関連の心理学セミナーやイベントの告知が行われていました。
母国語ではない英語の張り紙なのに、エレベーターの中であるという理由で注目してしまうことに驚き、これが凄いと感じたのが一番のきっかけです。

密閉されていて、かつ、一定時間その場所にとどまる、という特殊な状況を備えている場所はあまりないので、その特性を生かすようなビジネスの可能性を感じました。

その後、中国で成功を収めている企業を見つけ、その会社を徹底的に分析して、日本市場へカスタマイズして応用することで、事業を加速していきました。


都市発展がもたらすエレベーター広告の変容

ー中国と日本ではビジネス構造に違いがありそうですが、具体的になにかあれば教えてください。

日本では主に都心の大型オフィスビルがエレベーター広告の主要な展開先です。マンションビルも一部で試みられていますが、日本国内で広く知られているかというとまだまだです。一方、中国ではほぼすべての人々がエレベーター広告に触れています。雑居ビルのような建物ではなく、多くの人が集まる都会のビルならば、ほぼすべてのエレベーターに広告が表示されています。

中国と日本のエレベーター広告事業の大きな違いは、純粋にエレベーターの台数です。人口あたりではあまり変わらないのですが、総数で見ると中国では約800万台のエレベーターが稼働しており、日本の70万台と比べると圧倒的な差があります。中国のエレベーター広告市場はエレベーターの普及とともに急速に成長しましたが、日本では20年前からエレベーターの数はほとんど増加していません。

中国ではエレベーターの普及過程でエレベーター広告もデフォルトでスタンダードな存在となっています。日本のデベロッパーは土地を購入して建物を建て、その後は基本的に持ち続けることが一般的です。一方、中国はお金の回転を効率的にするため、不動産を売却して新たな土地を購入するスタイルが一般的です。中国のデベロッパーは開発するだけでなく、売却して新たなプロジェクトを展開することで資金の効率的な循環を図っています。

また、日本のデベロッパーは比較的垂直統合されており、開発から管理までを一貫して行うケースが多いです。一方で中国では、売却した不動産を他の会社が管理し、さらに新たなプロジェクトを展開するスタイルが一般的です。日本と中国の不動産ビジネスの文化やアプローチには大きな違いがあります。中国では収益重視が強く、不動産は純粋に投資対象とされています。


ー中国と日本のエレベーター広告ビジネスの違いは、不動産のビジネス構造や文化の違いにも関わっているんですね。広告費が世界でも多いアメリカでもエレベーター市場は盛り上がっているのでしょうか?

アメリカではエレベーター広告市場は伸びていません。基本的にアジア圏で展開されています。アメリカやヨーロッパでは高層ビルの建設があまり進んでいない地域も多く、たとえばパリのような都市でも一部の中心部を除いては、比較的低層の建物が多いです。このため、エレベーター広告市場の存在も限られています。

高層ビルやエレベーターの普及は、戦後、高層のエレベーターが発明されたあとに都市が急速に成長した国に特有の現象です。エレベーターの普及が都市の高層化を促進した国々では、エレベーター広告市場も成長しました。
1960年代以降に発展したアジアの国々(中国、シンガポール、ベトナム、タイ、台湾、韓国)においてエレベーター市場は非常に活発です。

エレベーターが多くない国や、伝統的な文化が強い国々では、エレベーター広告市場が育まれにくい傾向があります。エレベーター広告市場の成熟は、都市の高層ビル化や経済の発展と密接に関連していることが示されています。

エレベーター広告の成長への期待と市場の課題

ー日本でエレベーター広告の需要は今後も拡大していくとお考えですか?

国内のエレベーター広告市場は今後の拡大に大きな期待が寄せられています。日本には先述のとおり約80万台のエレベーターが存在していますが、そのうちのわずか0.3%程度しかエレベーター広告が導入されていません。このため、エレベーター広告市場にはかなり大きな伸びしろがあると考えられます。

一方で、中国では日本と比較してエレベーター広告が広く普及しており、全エレベーターの20%程度になんらかのデバイスが設置されています。また、韓国でもエレベーター広告は10%くらいのエレベーターに広告が配信されています。これらの国々と比較して、日本のエレベーター広告市場はまだ成長段階にあり、韓国と比べても浸透率は30倍くらい差があります。

私たちはプロジェクター型のエレベーター広告を提供しており、その独自性を活かして市場に新しい価値をもたらしています。とくに東京を中心に展開してきましたが、今後は大阪や名古屋など他の地域でも展開を広げる予定です。市場の成長に合わせて、より効果的な広告戦略を展開し、広告主のニーズに応えていくことが重要です。
弊社では物件リストのみでなくテナントリストを提供しておりますので、入居企業までの開示が可能となっております。これにより、どの企業にリーチできるかが分かるということは広告主にメリットに感じていただく機会が非常に多い印象です。

プロジェクター型のエレベーター広告『GRAND』の実装例

エレベーター広告市場はまだ発展途上であり、新たな手法やアプローチが次々と登場しています。その中で、よりクリエイティブな広告展開や効果測定の方法を模索し、市場全体の拡大に貢献していくことが私たちの目標です。今後も市場のトレンドに敏感に対応し、持続的な成長を遂げていく考えです。


ーエレベーター広告市場における課題についてどうお考えでしょうか?

エレベーター広告市場には幾つかの課題が存在します。まず、導入台数の問題が挙げられます。とくにBtoC向けのナショナルクライアントに対しては、現在の導入台数が十分ではありません。現在のエレベーター広告導入台数は約2200台程度ですが、この数字を1万台以上に増やすことが市場拡大の鍵と考えています。

さらに、エレベーター広告の効果測定においては、広告主と受け手のニーズの調整が課題とされています。効果測定を通じてコンバージョンを最大化する姿勢が求められ、効果的な広告戦略の展開が要求されています。

また、エレベーター広告とアウトバウンド営業の連携による相乗効果の追求も重要な課題の一つです。広告を見て直接的な問い合わせがくる確率は、エレベーター内よりもタクシー内のほうが高い傾向があります。しかし、アウトバウンド営業が行われる場合、エレベーター広告を通じて商品を認知したあとにアウトバウンド営業を行うことは非常に効果的です。そのため、マーケティング部ではなく営業部からも需要が高まっていたりしますね。


テレビ視聴率を超えるリーチを目指して

ー今後の展望を教えてください。

マスメディアになりたい!!!!

現在、私たちのエレベーター広告はデイリーのアクティブリーチが約55万人程度です。これはタクシー広告と十分比較できるレベルになってきています。

このリーチ数をテレビ視聴率に例えると1%くらいにはなってきていて、存在感が出始めてきたフェーズです。私たちは今後、テレビ視聴率換算で10%以上のリーチを目指し、メジャーなテレビ番組に相当するリーチを確立したいと考えています。
既に中国ではエレベーター広告がマスメディア化しており、視聴人数でランキングを作ると、エレベーター広告のトップの会社は、並みいる民放の会社を差し置いて、国営テレビに続く国内第2位のマスメディアという立ち位置まで上り詰めています。

あとは疑似タッチパネルや3D表示など、インタラクティブな要素も近未来で取り入れていきたいと思っています。これらの新しい技術を活用して、エレベーター内の広告体験をさらに楽しいものにしたいですね。

私たちはエレベーター広告市場が持つ成長潜在力に着目し、マスメディア的な展開を通じて広告市場に新たな価値を提供していくことを目指しています。エレベーター広告導入台数が飽和していない現状を活かし、柔軟な広告展開と新しい広告アプローチを組み合わせ、持続的な成長を遂げていきます!


(右)東京 代表取締役 羅悠鴻氏
(左)インタビュアー:GMOアドマーケティング 広告事業本部メディア企画部シニアマネージャー 佐々木 大

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、エレベーター広告『GRAND』を提供する株式会社東京の羅悠鴻社長にお話を伺いました。

エレベーター広告についてご興味を持っていただいた方は以下よりお問い合わせお待ちしております!


Text & Directed by. Shiho Odahara


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