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THE MARKETER with AIR Design:Carat 松本直樹氏

「すべての人をより輝かせる」をビジョンに、2016年に創業した株式会社Carat。複数の事業ピボットを経て開発されたロボキャリアアドバイザーアプリ「GLIT」の運営をはじめ、求人アプリの立ち上げサポートなど多岐にわたるサービスを展開している。事業成長を続ける同社のマーケティングはAIR Design導入後どのように変化したのか。CEOの松本氏、COOの中井氏、マーケティング担当の東海林氏に話を聞いた。

株式会社Carat 代表取締役CEO 松本直樹氏
2014年に同志社大学を卒業し、ソフトウェアテスト事業を行うSHIFTに入社。外資系大手SIer案件にてオフショアへのテストアウトソーシングのコンサルティングを行う。 新卒1年目から部署の立ち上げを行い、営業/顧客折衝/提案/プロジェクト管理/予算管理/採用と幅広い業務を経験後、 海外に設立した子会社の立ち上げ支援を行う。その後2016年12月に株式会社Caratを共同創業。
株式会社Carat COO 兼 PdM 中井悠樹氏
2014年に株式会社SHIFTに新卒入社。国内最大手Web企業のアカウントマネージャー兼
プロジェクトマネージャー、アジア拠点の立ち上げ、事業部の責任者を歴任し、
2020年に株式会社Caratに入社。
株式会社Carat マーケティング 東海林大夢氏
2015年に専門学校卒業後、アルバイトとしてSHIFTに入社。その後、契約社員として2018年まで勤務。 2018年11月、新しいことへ挑戦したいと思い、SHIFTで上司であった松本の立ち上げた株式会社Caratに入社。 入社後はカスタマーサクセス・サポートなどの業務を経験後、2019年2月頃よりマーケティング業務をメインとして担当。


仕事探しの不合理を解決したい


新卒でSHIFTに入社したという松本氏は、25歳で起業しようと決めていた。IT領域で事業を立ち上げようと考えていたが、自身はエンジニアではなかったため、コーディングやエンジニアリングについて理解している同期を誘って創業した。それがCaratだ。
Caratの主力サービスはロボキャリアアドバイザーアプリ「GLIT」。約30のサイトと連携し50万以上の情報からパーソナライズされた求人をAIが提案してくれる。採用市況やユーザーの動向を追いながら代表自らも手を動かしたという開発の背景にはどのような問題意識があったのだろうか。

松本「仕事探しの不合理を解決したい、という想いがありました。過去に何回か転職活動をしたことがあって、既存のサービスに対するミスマッチや違和感を感じていたんです。」

より使いやすいUI、UXを備えたサービスが台頭する中で、求人領域におけるアプリのポテンシャルを感じていたという松本氏。仕事を探す上で求人サイトを選ぶことの難しさや、エージェントに登録したとしても求人情報が多すぎて読み切れないといった、非効率な課題を解決するため『GLIT』が開発された。それは、仕事探しから応募まで一気通貫にサポートすることを目指したサービスだった。

ロボキャリアアドバイザー「GLIT(グリット)」  https://glit.io/


劇的に上がった「改善」のスピード


「GLIT」が徐々に軌道に乗ってきた頃、松本氏はアクセラレータープログラム「B-SKET*」に参加。そこでガラパゴス代表の中平と出会う。「デザインのAI化・定量化」を標榜するAIR Designの話は一風変わっていて、強く印象に残ったという。

 *起業家支援の理念を持つ3社(株式会社ベーシック、株式会社クロス・マーケティンググループ、株式会社ファインドスターグループ)が提供するSaaS領域スタートアップ支援プログラム。

松本「両社は“人”にフォーカスしたビジョンやコンサルティング会社出身であることなど似ている点がいくつかありますが、そのバックグラウンドゆえか、効率化や構造化を重視する点についても共感を覚えました」

事業の拡大に合わせて、Caratではマーケティングに注力しはじめる。しかし、GLITならではの訴求軸とは何なのか、その独自性について模索する状態が続いていた。新しい施策を検討するにもリソースが足りない。課題と向き合う日々の中、既存の広告代理店とは異なる趣向を持つAIR Designを導入することとなった。

中井「広告代理店の力も借りながら、基本は社内でWEB広告を運用していたんです。しかし、リソース面・品質(スキル)面でも必要十分なものを作ることが難しい状況でした。AIR Designの話は松本からも聞いていたので、まず動画広告の制作をお願いしたんです。」

東海林「トレンドや当社が調査しきれていない部分も含めてご提案いただける点もありがたいです。複数の業務を並行して進めていて時間もあまり取れない状況なので...課題を感じていながらも対応しきれずにいた部分をカバーしていただいています。」

特に驚いたと言うのが対応スピードの速さだ。Caratでは非常に細かく日々の数値進捗を追っている。改善すべき点は改善し、良いところはさらに改良する。そのためにPDCAを迅速に回すことにこだわっているが、AIR Designの導入により、このPDCAと改善のスピードが格段に上がったと言う。また、動画からバナーに至るまで複数パターン提示されたデザイン案を見て、自社サービスへの理解の深さを感じたと、中井氏、東海林氏の両名は口をそろえる。

東海林「やはりデザインのクオリティは非常に高いですね。正直なところ、それまではあまり戦略的にデザインを検討することができておらず、まずは作って、回してみるという状態になりがちだったんです。AIR Designでは独自のデザイン案が複数提示され、“なぜそのデザインを提示したか”という根拠もある。その点に説得力を感じました」

▲実際に提示された複数のデザイン案


検証により明確になったユーザーインサイト


訴求軸の提案はもちろん、多数のデザイン案を提示し、スピーディーに検証を重ねていく点も特徴であるAIR Design。バナーの検証を繰り返すことで、ユーザーの反応が得やすい訴求ポイントが明確になったという。

以前は、“AIによる◯◯”や“求人情報をパーソナライズ”など、サービスの特徴や機能について前面に押し出していた「GLIT」。しかし、検証していく中で、顧客が持つ“悩み”や“興味”を言語化して前面に出した方が反応が良いということがわかった。
特定の求人や、年収BeforeAfterの具体的な金額を打ち出してみると、一気に反応が良くなった。これは複数のバナーで、データによる検証を重ねなければ明確には分かり得なかったことだと感じたそうだ。

▲実際に運用していたバナー(上)                     
反応が得やすい訴求ポイントが明確になったのちに制作したムービー(下)


中井「インサイトがはっきりしたことは良いことですよね。ただ一方で、別の悩みも発生するんです。仮に反応が良かったとしても『その打ち出し方はGLITらしいのか?』という独自性。」

その観点ではまだ課題が残っていると言う。『反応が良いクリエイティブ』と『届けたいクリエイティブ』は違う。このテーマについては、AIR Designの担当と、今もなお議論し続けている。
「反応」と「独自性」、その両方を兼ね備えたクリエイティブの実現には、AIR Designによるさらなる検証、提案が必要だ。とは言え、Caratではその結果をネガティブには捉えていない。想定や理想と異なっていても、まずはそこにユーザーインサイトがあることを誠実に受け止め、その上で自社のサービスについて知ってもらうきっかけだと考えている、と中井氏は話す。

どのような結果が出ても、認知の仕方次第で数値の意味合いが変わる。例えば、期待と異なるワードで反応したユーザーにインタビューしてみると、UI・UXや機能面も気に入ってくれていることがわかり、それはターゲットが外れているわけでも、訴求できていないということでもない。数値は重要ではあるがそれだけで判断することはせず、本質的なユーザー理解をしていきたいのだと。

マーケティングにおけるパートナーとして、今後AIR Designに期待することを尋ねた。

中井「施策の内容、打ち出し方や結果などをサマライズして、マップのような形で俯瞰して見られるようになるとさらに戦略がたてやすいですね。また、過去データを咀嚼した上で定期的にフィードバックをいただけるとより深いディスカッションができて、パートナー関係も今以上に強くなるように思います」

必要なのは、ビジョンと目的を見据えて戦略設計に貢献できるコミュニケーション。AIR Designも次のステージに上がるべくサービス改善を重ねていく。


テクノロジーでペインを解消する


最後に、Caratが目指す姿について代表の松本氏が話してくれた。

松本「“本来人がやらなくても良いことを人がやっている状態”にもどかしさを感じているんです。テクノロジーやAI技術を使って、ユーザーの時間や余裕を生み出せれば、多くの人がもっと輝ける。『人をより輝かせる』というビジョンには、そんな想いを込めています。」

誤解を恐れずに言えば、事業領域は限定しなくて良いと松本氏は語る。ユーザーに不満がある状態をテクノロジーでより良くする。そのためのサービスを提供することこそがCaratの存在意義であり、そのためにもマーケティングにより注力し、AIR Designチームと共にユーザー理解を深めていきたいのだと。

マーケティングにおいて、PDCAと改善のスピードを上げながら、目の前の数字を追うだけでなく、ユーザーを本質的に理解していく。そんなCaratにAIR Designも伴走しながら、事業を中長期的な成長スパイラルに導き、共にビジョンの実現を目指していきたい。


●AIR Designサービスサイト


(文責:武石綾子・前川敦子)