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そして第三次大戦ははじまった N97

 コロナの影響で健康と経済にしか目が行き届かなくなっている今日この頃だが、その隙を狙って戦争がはじまっている。その武器はもはや「こん棒」でもなく「核兵器」でもない。サイバーアタックという名のデジタルウェポンだ。1万キロ離れていても見事に敵国の主要設備を撃ち落とすことができる。  

 Borderに近くFringeでもあったりするオーストラリアとインドはこの数ヶ月中国からのサイバー攻撃を受け続けている。人々の生命に危害が及ぶ事態には至っていないのでまだ威嚇的な攻撃レベルとも言えるが、金銭的な観点では既に多大な被害が及んでいる。そしてオーストラリアではTelstra(日本でいうNTTグループ)が一昨日サイバーアタックされたことでネット利用に影響が出た。  

 この国家がらみのサイバーアタックの厄介なところは国家がテロリストを擁護すると(あるいは国家自体がテロをすると)犯人の追求ができないことだ。またサイバーアタックを受けても被害を公表すること自体リスクだし(さらなる攻撃を受けやすい、政府にとっても脆弱性の非を認めることになる)、犯人を指摘することも国際関係の立ち位置の居心地を悪くするリスクも高い。  

 そんな中でオーストラリアとインドは中国がサイバーアタックをしていると勇気ある公表を行なったのだが、もしかすると他の国でもこの二国ほどではないにしろ、サイバーアタックの被害を受けて何らかの譲歩をしている可能性はあるだろう。  

 主に狙われているのは政府機関、金融(銀行や保険)、インフラ(通信、運輸、ユーティリティ)、教育、民間企業などである。オーストラリアでは日系企業の子会社だけも既に複数社が被害にあっている。まさに日本人にとっても人ごとではない被害だ。  

 ファーウェイ問題に端を発する米中間の争いに両国の狭間にあるインドとオーストラリアが狙われた図式はとてもわかりやすい。バイトダンスのTikTokが米国から排除されたことでこの戦争はいよいよ単なる威嚇ではなく、生命に危害が及ぶデジタル武力行使に移る可能性はおおいにある。

  実際のAIの実用度はまだまだおもちゃレベルなのだが、デジタル化された現代においては設備の1つや2つをサイバー攻撃で止めることはそれほど難しくない。致命傷をもたらす設備を狙えば、このコロナ状況下では多大な人命を奪うことができる。あくまで想像だが全世界のテスラに暴走するバグを入れ込んだらどうだろうか? 

 デジタル化が遅れている日本は少し安心できる話かもしれないが、対岸の火事と安心していられる状況ではないのだ。

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