私の原点の一つは高橋まつりさんの自殺です(元電通社員)労働法でブラック企業から命を守ろうのお話し
※この記事は、内容自体は全文無料で読めます。どういうことかは、最後に趣旨説明を致しますので、安心してこのままご覧ください。では、始めます。
☆時には昔の話を
新シリーズ「労働者の権利は堂々と主張しよう!命を守る労働法講座!」を立ち上げます。同名のマガジンも作成したので、よろしければフォローしてくれたら嬉しいです🙇♀️
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今となっては昔のことですが、私は司法書士時代に法律の一般書を出版しています。(本名がバレてしまうので書名などは内緒です🙇♀️探さないでください。おかげさまでまったく売れてないので既に書店にはありません、たぶん😝)
私が法律の本を世に出そうと決意した最初のきっかけは、電通の高橋まつりさんの事件、そしてNHKの番組でやっていたブラックバイトの特集を見たことでした。(当時は家にテレビがあってNHKなども視聴しておりました🙇♀️)
司法書士として、居ても立っても居られないと思いました。私が呑気に過ごしている間に、多くの人がブラック企業・ブラックバイトで苦しみ、貴い命まで奪われてしまった方もいる。
その後調べていくと、わが国では未遂も含めて、労災で自殺している方が年間で100人近くもいらっしゃることがわかりました。
そして15歳~34歳の死因のトップは、2位の「がん」「不慮の事故」を大きく突き放し、断トツで「自殺」になっています。それも私の知る限り、2015年~2018年と4年連続です(「自殺対策白書」より)。想像ですが2019年と2020年も同じ状況でしょう。
自殺対策白書の記載を引用すると、「こうした状況は国際的に見ても深刻であり、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進国では日本のみ」とのことです。(そもそも日本は先進国か、という議論はここではしません。たぶん違うでしょう。)
自殺の死亡率(人口10万人あたりの死亡者数)も、日本は17.8と高い傾向にあります。(参考:ドイツ🇩🇪は7.7、アメリカ🇺🇸は13.3、イギリス🇬🇧は6.6)
つい先日も、8月の自殺者が例年に比して大幅に増加しているというニュースがあったばかりです。
これを異常事態と言わずして何というのでしょうか。
この要因は様々あろうかと思いますが、とりあえずこの記事では政治的な話はなるべくやめにして、私が司法書士時代にブラック企業と対峙してきた経験を踏まえ、ブラック企業論を展開してみます。
昨日9/10は世界自殺予防デーでした。日本は9/10から9/16を自殺予防週間としています。そんな時期に、若者の自殺原因の大部分を占めることが予想される、ブラック企業問題を考えてみることは大いに有意義なことでしょう。
元電通社員、高橋まつりさんの自殺の問題は、私の執筆活動における重要な原点でもあるのです。
☆ブラック企業クイズ
さて、堅い話ばかりしてもアレですから、ちょっとここでクイズです。
✅問1 ファミレスでアルバイトの学生さんが、うっかりお皿を割ってしまった!給料からお皿代を天引きされても文句は言えない。〇か×か?
✅問2 残業代は、1分単位で請求できる。〇か×か?
✅問3 残業のやらせ過ぎは犯罪である。〇か×か?
✅問4 会社やバイトを退職するには会社側の許可が要る。〇か×か?
✅問5 ロッカーに物をしまったり着替えたりする時間に対しても給料は請求できる。〇か×か?
さあ、全部で5問です。考えてみてください…。
・・・
はい、タイムアップです!では、答え合わせ!
問1 × いかなる理由でも、給料の天引きはNGです(労働基準法24条)。
ついでに、よく夜のお仕事とかでありがちな、遅刻や欠勤したら罰金いくら、みたいなのも違法です(労働基準法16条)。
問2 〇 30分未満や15分未満などで切り捨てるのは違法です(労働基準法24条)。
問3 〇 詳細はこの後で。懲役刑まである重い罪に問われます。
問4 × ですから、辞めたいときに会社に出すのは「退職届」です。「退職願」ではありません。
問5 〇 仕事のために会社に命じられてそうしているのですから、職場に入ってから職場を出るまで、すべての時間が労働時間であり給与を支給しなければなりません。
いかがでしたか?サラリーマン歴の長い方でも、けっこう知らなかったでしょう。労働基準法ほど平然と無視されている法律を私は知りません。私が「日本にはブラック企業しかない」と主張するのはこういう部分です😝
詳しく説明しようと思えば各問だけでかなり長く解説できますが、今日のところはこのくらいにしておきます。興味ある話題などありましたらコメントなどでリクエストください🙇♀️
☆司法書士時代に多かったのは?
ブラック企業・ブラックバイト問題としては、例えば以下のようなものが知られています。
ア 求人誌と面接での提示で時給が異なる、最低賃金違反など
イ 30分単位の切り捨て
ウ サービス残業の発生
エ 従業員のミスによる給与からの天引き
オ 希望通りにシフトを減らしてくれない
カ 急に、あるいは無理やりシフトに入れさせられる
キ 求人票と面接での提示での出勤店舗の違い
ク 研修体制の不十分
ケ 未成年者の深夜労働
コ ワンオペ体制の不備
サ 業務上のケガ
シ 辞めさせてくれない
ス 店長、管理職の長時間労働
セ 店長、管理職の残業代不払い
ソ 有給休暇を取得させない
タ パワハラ・セクハラ
チ 不当解雇、不当降格、不当異動など
それぞれで対処法も異なり、いろいろやってきましたが、最も想い出深いのは、やっぱり残業代請求でしょうか。特に、「1億円を超える残業代請求訴訟」に関わったときはなかなかシビれました💦
あとは「辞めさせてくれない」もけっこう多かったですね。当時はあまりなかったと思いますが、「退職代行サービス」が流行るのもよくわかります。辞めてほしくないくせに粗末に扱う、ブラック企業の考えることはまったくもって意味がわかりませんな💢
☆超長時間労働の有無が「ブラック企業」の分水嶺
よく調べてみると、ブラック企業の多くは超長時間労働を労働者に強いています。超長時間労働の有無が、ブラック企業かそうでないかの1つの分水嶺であるとも言えます。
電通の高橋まつりさんの案件でもそうでした。
☆電通はなぜ悪質か
電通の極めて悪質なところは、高橋まつりさんの自殺が、従業員が自殺した初めてのケースではないということです。過去にも自殺された方はいます。つまりは、まったく反省してないということが言えると思います。
労働基準法の定めに違反して残業させると6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(労働基準法第119条)。つまり、残業代を払う・払わないの問題ではなく、超長時間労働それ自体が犯罪行為なのです。(すべての残業が労働基準法に反するわけではありません。詳しい説明は別の記事に譲ります。もちろん、残業代を払わないことは別の法律違反を構成します。)
電通は、高橋まつりさんの件その他で、刑事裁判で有罪が確定しています。事実なのでそう書きますが、電通という会社は前科者なのです。
この件は、当初は「略式起訴」(刑事訴訟法461~470条)で行われるところでしたが、東京簡裁が非公開の書面審理だけで結論を出すのを「不相当」と判断したため正式な裁判が開かれる、という違法残業の事件としては極めて異例な展開をしました。それだけ電通が悪質だったと評価せざるを得ないと思います。
実際、判決文の中で、「尊い命が奪われる結果まで生じていることは看過できない」「(電通は)形式的に違法状態を解消しようとする対応に終始した」「労働時間削減の具体的対応は各労働者や部長らに任されており、サービス残業が蔓延するなど労働環境の一環として生じた」「刑事責任は重いと言わざるを得ない」などの極めて厳しい言葉が並びました。人が亡くなっているわけですから当然でしょう。
その割には、具体的に確定したのは罰金50万円という、電通にとっては痛くも痒くもないであろうタダの罰金刑であったことは甚だ不服でしたが、そもそも違法残業が刑事裁判の俎上に載るだけでも稀なので、ここではこれ以上そのことは言及しません。
※詳しい説明は省きますが、複数の罪が併合されて法定の上限30万円を超える罰金となりました。
さて、既に3000字を超えました。私にブラック企業を語らせたら千夜一夜お酒が呑めてしまうので😝今日のところはそろそろまとめに入りましょう。
☆まとめ そもそもどうして急に電通を語ったか
私の熱心なファンの方は、「今日は市民と野党の共闘の話じゃなかったの?」という疑問を持たれたことでしょう。実際、私は11:55にこのようなツイートをして家を出ました。
実は、ネカフェに入る前、昼食時にある方とTwitterでやり取りがありまして、もうこの記事では詳細は省くのですが、その方が
✅「マスコミ全般の批判には同意するが電通という特定企業に対しての批判には反対」
✅「本当に電通の内情を知っているのか?」
✅「一方的にブラックと決め付け、一企業を攻撃することは大反対」
✅「実際に中で働いている社員がいる、護るようで攻撃してはならない」
✅「電通を批判する、私のリプ欄へのコメントのリツイートやご主張はお控えください。私のツイート上のコメントのリツイートの取り消しだけお願いできますか?不本意ですので。」
のように主張されていました(適宜私のほうで要約しています)。
もう詳細に反論するだけの気力も体力も時間も私にはありません。この場では、
「上記の経緯を知った上で、それでもなお電通批判をしないほうがいいとお思いになりますか?」
とだけ疑問を呈するに留めます。
私は一昨日、「議論してアウフヘーベンすることの重要性」を主張したばかりです。逃げも隠れも、ブロックもミュートも致しません。
私は、少しでも立場の弱い労働者を救う、自殺者を減らす、第2の高橋まつりさんを出さないようにするべく、精神保健福祉士さんや他の士業の方などとコラボしながら、全身全霊を傾けて、人生のすべてを賭して労働問題(だけではないですが)に取り組んでまいりました。今は司法書士としては仕事を請け負っていませんが、やってることの根本には変わりはないと思っています。政権交代のために動くというのは、そういうことです。
徹底的に社会的弱者(というよりも、日本における極めてフツーの方)に寄り添う、虐げられている方の力になる、自殺を止める。今も私にできることは何でもやる決意です。もちろん、必要であれば特定企業の名を挙げた批判も。
そのことが、文筆家たる私の唯一存在の意義であり、私の誇りでもあるのです。
今日のところは以上です。この記事を作成するに当たり、足への負担を軽減すべく普段は使わないバスや近距離タクシーを使うためネカフェに来て帰るだけで約1500円、ネカフェ8時間で2310円、合計で4000円弱がかかっております😱少しでも役に立ったと思ってくれたなら、100円でもいいのでサポート、またはこの記事のご購入を何卒よろしくお願いいたします🙇♀️貧困層コンビに何卒、愛の手を🙇♀️
コペル&アヤでした。高橋まつりさん、その他たくさんの方のために黙祷を捧げます。自殺される方が少しでも少なくなりますように。
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