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#読書感想文

SF短編集2冊の感想

SF短編集2冊の感想

少し前に読んだ作品の感想を2件、まとめた記事です
どちらもジャンルとしてはSFに相当する作品なのですが、SFってこんな作品もあるんだ、こんな切り口のSFもあったのか、と、意外性を感じ取れる作品集ですので、普段SFというものを読みつけてない方へも、どっぷりSF沼に漬かっている方へもおすすめしてみたい作品となっております

高山羽根子/うどん キツネつきの

タイトルにきつねが入っているので読んでみ

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きつねの登場する絵本感想、10冊分詰め合わせ記事②

きつねの登場する絵本感想、10冊分詰め合わせ記事②

序文

以前、きつねが登場する絵本を10冊読んで、その感想をご紹介する記事を書いたのですが、こちらは第二弾です
前回のご紹介からこっち、更に意識してきつねの本探しをしてみたのですが、きつねの登場する本って世にたくさんあるもんなんですね
また、前回の記事に寄せられたコメントを参考にさせて頂いて、読んでみた作品もあります
コメントを下さった方、前回の記事を読んで下さった方、どうもありがとうございます

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読書感想『きつねの窓』

読書感想『きつねの窓』

こちらは、前回のきつねさん絵本紹介シリーズの番外編のような記事になります

ポプラポケット文庫『きつねの窓』
 作・安房直子 絵・吉田尚令

こちらはちょうど絵本一冊分ほどのボリュームの作品が10編収録された短編集なのですが、表題作のきつねさん作品にとどまらず、いずれもとても面白く、しかしちょっと怖くて、悲しくて、でもとびきり美しい話が取り揃っていて、すごくうれしくなる作品集です
10編どれもが、

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きつねの登場する絵本感想、10冊分詰め合わせ記事

きつねの登場する絵本感想、10冊分詰め合わせ記事

はじめに、きつねとは?

以前、くま🐻の出てくる絵本もしくは小説をまとめて読んでその感想を書く記事を出したのですが、そんな動物特化型記事の第2弾です
今回はきつね🦊の登場する絵本作品を10冊、選んでみました
以前から考えていたのですが、きつね🦊って物語の中のイメージが定まっているようで、つかみ所のない存在だなと感じていました
『源氏物語』では人を化かすとか人に化けるとか、もしくは荒れ果てた屋

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思い入れのある絵本とご紹介の絵本を10選取り上げる、絵本っていいですよねという記事

思い入れのある絵本とご紹介の絵本を10選取り上げる、絵本っていいですよねという記事

昨年末の話なのですが、
つぶやきの方で、このようなものを上げました

その中で頂けたご質問の中で、思い入れのある絵本を教えて欲しいという有難いものがあり、つぶやきのコメント欄でも回答しているのですが、改めてご紹介を記事のかたちでまとめたくなりました
また、フォローしている方の記事で拝見して新しく読んでみた絵本のご紹介も行っています
冊数が多めですが、よろしければご覧下さい
また、ご紹介して下さって

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『鏖戦/凍月』 グレッグ・ベア著 酒井昭伸/小野田和子 訳 とSFマガジンNo.757のグレッグ・ベア追悼記事の感想

『鏖戦/凍月』 グレッグ・ベア著 酒井昭伸/小野田和子 訳 とSFマガジンNo.757のグレッグ・ベア追悼記事の感想

まずは『鏖戦/凍月』の感想から

グレッグ・ベア氏の作品を読むのは初めてです
こちらの作品は、2023年にSF界において大変な話題となっていました
あまりに重く濃密で凄まじい、恐ろしい中短編集です
2作とも、もう30年以上も前の作品だとは信じられないくらいです

『鏖戦』は遠い未来の宇宙戦争の話で、すでに人間も進化の果てに、その姿や精神のあり方が大きく変わった世界において、異星人との激しい戦争を綴

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森達也『虐殺のスイッチ』と映画『福田村事件』の感想

森達也『虐殺のスイッチ』と映画『福田村事件』の感想

自分の住まいの最寄りの映画館(と言っても車や電車で30分くらい)に、以前から観たかった映画『福田村事件』が来ていたので、鑑賞してきました

その前に、この映画の監督である森達也氏の著作
『虐殺のスイッチ』を読んでいたので、そちらの感想から記入しておきます

虐殺と呼ばれる、人が人に行ってしまう行為はなぜ発生してしまうのか? というメカニズムを解析した本です
森達也氏は、あくまでも人類の歴史にあった

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『いずれすべては海の中に』 サラ・ピンスカー 著 市田 泉訳 感想

『いずれすべては海の中に』 サラ・ピンスカー 著 市田 泉訳 感想

こちらの美しい装丁の本を知ったのは、もう昨年だったのですが、ようやく読むことができました

淡い色調が美しく、タイトルが逆さまに沈むデザインも素敵です
ふんわりとした優しくせつない、叙情的な話が多数収められた短編集なのだろうと予想していました
読んだ結果、それはそれで間違いではないのですが、やるせなく悲しい話や、不条理な話もあり、かと思えばトンデモ科学が飛び出すヒーロー譚や、終末世界を彷徨う話もあ

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#私の最愛海外文学10選 をやってみる

#私の最愛海外文学10選 をやってみる

Twitter(X)で流れてきたタグで、#私の最愛海外文学10選 というお題を見つけたのでやってみる事にします
今年読んだ本から5冊、以前読んだ本から5冊、選びました

テッド・チャン 『あなたの人生の物語』 

Twitterにもnoteでも、感想を上げさせてもらった作品です
テッド・チャン氏は『息吹』も今年読み、そちらも素晴らしい作品集でしたが、こちらの作品は今年の5月末に入院中に読み、それが

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3つのくまさんの物語と、くまにまつわるよもやま話

3つのくまさんの物語と、くまにまつわるよもやま話

先日、たまたまなのですが
Twitter(X)とnoteで、くま🧸の関わる本をオススメしている方が複数人いらっしゃって、くま🧸と縁があるなあと思い、まとめて拝見してみたらそれぞれ個性的で、かつどれも面白かったものですから
ならば、3匹のくまさんとして1度にご紹介したくて記事にしてみました
かわいかったり、切なかったり、残酷であったりするそれぞれのくま🧸さんたちの物語に、ご興味をもって頂くきっ

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『プロジェクト・ヘイル・メアリー』 アンディ・ウィアー著 小野田 和子 訳 感想

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』 アンディ・ウィアー著 小野田 和子 訳 感想

近年の海外SF界において、『三体』と並ぶ傑作中の傑作と評判は拝見していましたし、アンディ・ウィアー氏の『火星の人』と『アルテミス』は読んでいたので、この作品も間違いなく面白いだろう、自分は夢中になって読むだろうと確信していましたが、なかなか手を付けられずにいました
理由として、文庫になった作品でないとなかなか購入しない上に電子書籍もほとんど利用していないので、コストがかかりますね、と購読を見送って

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『異常 アノマリー』 エルヴェ・ル・テリエ 著 加藤かおり 訳 感想 

『異常 アノマリー』 エルヴェ・ル・テリエ 著 加藤かおり 訳 感想 

(※この記事は前半はネタバレなしのパート、後半はネタバレありのパートになっています)

『異常』
エルヴェ・ル・テリエ 著
加藤かおり 訳  を読みました

アーティスティックな表紙写真に異常というシンプルで強いタイトルから、難解で癖の強い作品なんではないか…と、構えてしまった作品でしたが、読んでみたら軽妙な語り口とストーリーに引き込むエンタメ性に優れている上に、SFジャンルでの類型の話はあれど、

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『自生の夢』 飛 浩隆・著 感想

『自生の夢』 飛 浩隆・著 感想

飛 浩隆氏の著作は、恥ずかしながら初めて読んだのですが
すごく面白く、ページを繰る指が止まらなくて、紙面から溢れる言葉から恐ろしいことに、鮮やかな絵画、雅やかな音楽、墨の香り、密な砂浜を踏む時のぎぎゅっとした質感が伝わるように感じたのです
物語の中に引用される、小説や音楽に映画が、ことごとく好きなものばかりで、でもすべてが分かるわけではないので、早急に調べなければと慌てています

そして、この作品

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『祈りの海』 グレッグ・イーガン作/山岸 真編・訳 感想

『祈りの海』 グレッグ・イーガン作/山岸 真編・訳 感想

先日、グレッグ・イーガン氏の短編集『しあわせの理由』を読みましたが、そりゃあもうべらぼうに面白かったので、短編集としては先に刊行されていたこちら
『祈りの海』を読んでみました
するとやはりイーガン氏! という、どえらい面白さと、ちょいちょい襲いくる難解さと、その根底に流れる哲学的な思考がこちらの情緒を刺激する傑作揃いの短編集だったのです

以下は短編各話のネタバレを含んだ感想を列挙してあります。閲

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