片帆

徒書 わたしのお空は遠くに

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最近の記事

光る君へ 感想② 第11話〜

第11話 まどう心 花山天皇が出家し、兼家が摂政になったことで官職を解かれてしまったまひろの父・為時。 まひろは倫子を訪れ、父の復職への口添えを頼む。 力になってあげたいけど摂政の決断は天皇の決断と同じ。左大臣である父が覆すことはできないと断る倫子。 諦めきれないまひろは摂政となった兼家に直談判に行く。 「わしの目の黒いうちにそなたの父が官職を得ることはない。下がれ」 自ら離れていった為時を、一切呼び戻すつもりはないと言う非情な兼家。 右大臣家を去るまひろに帰宅した道長は

    • 心的時間旅行と夕暮れ

      空港や駅が好きだ。 旅行に帰省、懐かしい人や大好きな人たちに会える機会。 構内の音も心地良い。 そして、目的地に運んでくれる乗り物たち。 だから飛行機や電車も好き。 今日は4日ぶりの晴天だった。 午後3時、やや陽が傾き始めた空を眺めているとキラリと光るものが。 西日を浴びた飛行機だ。 もっと近くで見たい。 わたしは空港近くの広場に向かった。 飛行機というのはなぜこうも胸を高鳴らせるのだろうか。 何もない空に突如、ランディングライトを灯した飛行機が現れるあの瞬間の心強さ。 手

      • 光る君へ 感想①

        第1話 約束の月 雀の子を犬君が逃がしてしまったの。 伏籠の中に入れておいたのに。 光源氏と若紫の出会いを初めて読んだ小学生のわたしは、妙な興奮を覚えたのを今でも忘れられずにいる。 まるで、光源氏自身になったかのようにその童女を見つめる自分がいたのだ。 そして、2024年の大河ドラマ「光る君へ」 平安時代を舞台に、かつて夢中になった源氏物語の作者である紫式部が主人公とは…!と心が弾んだ。 反田恭平さんのピアノと映像があまりにも美しい官能的なオープニング。 冒頭から胸がざわ

        • サニーのラブレター

          トッケビの好きなシーンの中で、もうひとつ。 イ・ドンウクさん演じる死神とユ・インナさん演じるサニーの物語もトッケビを語る上で欠かせません。 第15話のサニーがウンタクのラジオ番組に送った一通のメール。 初めて聴いた時、胸が締め付けられて泣きました。 書き起こしてみると、言葉の美しさと恋しさに指先が震えます。 宿縁や運命が実際あるかどうかはわかりません。 でも、どうしようもなく相手に惹かれて懐かしく感じたり、叶わぬ恋を来世に託したいと思うことは、輪廻転生のもとにわたしたちは生か

        光る君へ 感想② 第11話〜

          トッケビ/도깨비

          わたしの推しの諏訪部順一さんが、吹き替えでご出演されている「トッケビ」 あまりに有名な作品なので、ご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが簡単に内容を少し。 コン・ユさん演じる高麗時代の英雄キム・シンは、王の嫉妬から逆賊として命を落とします。 その後、神の力によって“不滅の命”を生きる“トッケビ”となってしまったシン。 トッケビとは朝鮮半島に伝わる精霊や妖怪のことです。 彼を永遠の命から解き放つことができるのは"トッケビの花嫁"と呼ばれる存在ただ一人。 その人こそがキム

          トッケビ/도깨비

          プレミア音楽朗読劇VOICARION スプーンの盾

          2023年12月10日、有楽町のシアタークリエにて『VOICARION スプーンの盾』を観劇した。 この日のランチはカレーム福山潤さん、ナポレオン立木文彦さん、マリー日笠陽子さん、タレーラン諏訪部順一さん。 諏訪部さんタレーランにお会いするのは初めてで、匂い立つほどの色気と、気品と才智を纏ったお姿はまるで18世紀末のフランスから降り立ったよう。 タレーランとナポレオンとの掛け合いは、ふたりが歩んできた年月を自分も共に見てきたかのようなリアルさがあった。 だからこそ、そんなふた

          プレミア音楽朗読劇VOICARION スプーンの盾

          「キングダム」ラース・フォン・トリアーに恋して

          推しの諏訪部順一さんが少し前にポストされていた11月にWOWOWで完全放送されるという『キングダム』シリーズ。 ラース・フォン・トリアー監督が手掛けたデンマークのTVドラマ。 無知なわたしも北欧の鬼才と呼ばれるこの監督の名前と作品はちょっとだけ知っていて、「ダンサー・インザ・ダーク」で打ちのめされて、「メランコリア」で好きかもと思いつつそれ以上踏み込んでいない世界だった。 推しのポストで俄然興味が沸いたわたしはWOWOWの完全放送の扉をたたいた。 キングダム2Kレストア版第

          「キングダム」ラース・フォン・トリアーに恋して

          推しと出会わせてくれたもの

          この企画、いくつも投稿していいのかな。 でも今のわたしは書かずにいられない。 「テニスの王子様」 この作品はわたしの人生になくてはならないものだ。あまりに好きで安易に触れたり発言できなかったりもする。 2002年の3月13日の夜。 テレビから流れた跡部様の声に心を奪われた。 わたしは夕食の支度をしていた。 2DKのアパート、狭いキッチンで麻婆豆腐を作っていた。 水曜の夜7時はテニスの王子様と決まっていた。 背後にあるテレビから聴こえた声にハッとなって振り向いた。 それまでアニ

          推しと出会わせてくれたもの

          ロンハールーム

          ラジオ関西で毎週土曜の夜24時から放送中の番組『ロンハールーム』 「ロング」こと石川英郎さんと「ハード」こと諏訪部順一さんのコンビがパーソナリティを務めるラジオ番組。 2007年4月にスタートし、当初は『工口x工口(こうぐちこうぐち)』という番組名。 わたしはまだリスナー5年目だけど、生活になくてはならない存在となっている。 ノンスポンサーで16年続くラジオ番組って凄くない!? ロングさんとハードさんのフリートークに楽しませていただく1時間は毎回あっという間。 お腹がよじれる

          ロンハールーム

          創作小説 ブロンズの神様

          振り返ると、あの人との会話で一番多く交わされた言葉は「さみしい」だと思う。 「さみしいね」 「さみしくなるね」 「さみしいこと言うなよ」 ふたりを繋いでいたのは欠けた感情だったのだ。 町外れのプラネタリウムに彼はいた。 館長のサポートをしたり、事務所で後方業務をしている姿をよく見かけた。 私はそのプラネタリウムにパンを届けるのが日課だった。 「天使の頬」というやわらかな白いパンはプラネタリウムの職員たちのお気に入りだった。 今から20年前、外国の惑星防衛調整局より

          創作小説 ブロンズの神様

          時を超えた贈りもの

          先日、森永製菓さんによる森永ビスケット名作朗読キャンペーンが展開された。 3年ほど前にも推しの諏訪部順一さんのAR朗読劇を楽しめる企画があったが、今回も諏訪部さんご参加ということで、張り切って仕事帰りにビスケット探しの旅へ出た。 各パッケージ、種類ごとに異なる1作品をパッケージ側面のQRコードをスマホで読み取ることでシークレット1種類を含めた全8作品の名作朗読劇場を鑑賞できるのだ。 諏訪部さんが参加されているのは、MARIE×銀河鉄道の夜(前編)CHOICE×銀河鉄道の夜(後

          時を超えた贈りもの

          別れる決心

          昨夜、WOWOWプライムにてパク・チャヌク監督の「別れる決心」が放送された。 今年の2月17日に映画館で吹き替え版を観た以来だ。 映画を観終わってすぐに席を立てないという経験は初めてのことだった。 10月のBlu-ray発売が待ち遠しかったので、今回のWOWOWでの放送(字幕版、吹き替え版)を観られるのは嬉しかった。 予期せぬ恋というのは恐ろしくて、そして甘美だ。 惹かれ合う場合は尚更。 特にこのヘジュンとソレの間には事件がある。 言語の隔たりがある。 疑惑、恋情、言葉の拙

          別れる決心

          思い出せるもの

          一日の中で夕方が一番好きだ。 昔、友人の弟を駅まで迎えに行ったのも夕方だった。 修学旅行から帰る彼を、忙しい家族は誰も迎えに行けないとのことでわたしが迎えに行った。 オレンジの陽に滲む街並みと少し埃っぽいロータリーの雑踏。 人混みの中からわたしを見つけて、手を振る弟。 その瞬間は友人の弟ではなく、わたしの弟だった。 まだあどけなさの残る彼の笑顔を今でもたまに思い出す。 遠くていとおしい、記憶の一片。

          思い出せるもの

          父親

          諏訪部順一さんが演じる父親。 最近では『マイホームヒーロー』の哲雄さんが印象的だけど、わたしが頻繁に思い出すのは『レイズド・バイ・ウルブス / 神なき惑星』のマーカス、『静かなる海』のハン・ユンジェ、『地球最後のバス』のモンクハウス博士、『コタローは1人暮らし』の田丸さん。 それぞれまったくタイプの違う父親たち。 でもね、どの父も魅力的なの。 決して理想の父親ではないんだけど、漏れ出る父性、欠乏した父性を絶妙に演じ分けられてて、わたしこの人の子どもなのかなと酷い勘違いをするほ

          備忘録 2023.6.4

          2023年 6月4日(日) ご縁をいただき横浜アリーナにて開催された『テニプリフェスタ2023 U-17WORLD CUP』に参戦。 初夏のような日差しの中、フォロワーさんとも無事合流し、デコガチャの列へ。 気が遠くなるような行列だったけどフォロワーさんと色々なお話ができたおかげで苦もなくガチャへ辿り着けた。 アニメイトカフェのレモンミントティーの涼やかさと美味しさを味わい会場内へ。 テニプリファンのみんなの胸の高鳴りを感じる中、一番最初に諏訪部さん登場。 それは紛うことなき

          備忘録 2023.6.4

          恋人たちの観覧車

          この世界の絶望をめいっぱい吸い込んだような曇り空の下に、観覧車はあった。 目を見て話してくれなくなってからあっという間だった。 嫌われたくなかった。 最後のわがままで私は一緒に乗ってほしいと強請った。 あれが無言の時間を一周して、扉が開けばすべて終了。 いつかのあの頂上での出来事や景色は淡く脆いものだった。 それなのに優しいあなたは「寒くない?」なんて残酷に訊いてくる。 平気で薄氷を踏むあなたに、私はさようならを告げる。 大丈夫。ひとりで乗るからと。 観覧車は子どものためのも

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